LEXUS RX500H F SPORT PERFORMANCE

見事に新しい走りの世界を切り拓いてみせた

November 2022

レクサスのベストセラー、RXがフルモデル・チェンジをした。守りに入らず、変革を推し進めてきたニューモデルを、自動車評論家、島下泰久が試乗する。

 

 

 

text yasuhisa shimashita

 

 

 


Lexus RX500h F SPORT Performance
全長×全幅×全高:4,890×1,920×1,700mm/エンジン:直列4気筒2,399ccターボ/エンジン最高出力:275PS/6,000rpm/エンジン最大トルク:460Nm/2,000-3,000rpm/電気モーター:フロント 最高出力87PS 最大トルク292Nm/リア 最高出力103PS 最大トルク169Nm/システム最高出力:371PS(273kW)

 

 

 

 RXと言えばレクサス車の中でも1、2位を争うベストセラーであり、言わば“Center of LEXUS”。しかしながら新しいRXは、守りに入らず変革を推し進めてきた。

 

 印象が鮮烈なのがデザインだ。スピンドルグリルから進化した、ボディとシームレスに続くグリルを用いるスピンドルボディの採用は、まず大きなトピック。アイデンティティを感じさせつつ新鮮味がある顔つきは、インパクトがある。

 

 全長は4,890mmと不変だが、ホイールベースが伸ばされ、その分リアオーバーハングが削り取られている。その上で、前端が立てられたボンネットフード、手前に引かれたAピラーによってノーズの長さが強調された結果、フォルムはRXとしてかつてないほどに疾走感、勢いを感じさせるものになった。

 

 それだけじゃない。リアのトレッドは45mmも拡大されていて、スタンスは格段に安定感を増した。角度の寝かされたリアウインドウ、フローティングタイプのCピラーも相まって、いかにもRXらしく、それでいてエネルギッシュなデザインが完成したのである。

 

 同じくインパクト十分なのがその走りだ。新しいRXは、徹底的な走り込みによって、まずその素性を磨き上げている。

 

 とりわけ注目なのが、新しい電動化技術である四輪駆動力システム「DIRECT4」を採用したことである。そのパワートレインは、前輪を2.4ℓターボエンジン+6速AT+1モーター、後輪を高出力電気モーターを使ったeAxleで駆動する。

 

 

 

 

 

 

 何より好印象なのがレスポンスのよさと伸びやかな加速感。アクセルを踏み込んだときや変速の際には電気モーターの絶妙なアシストでターボラグを打ち消し、走りは常に意のまま。そして高回転域ではエンジンのパワフルさに後輪を駆動するeAxleが加勢して、清々しいほど伸びの良さを味わわせてくれる。

 

 更に、前後駆動力配分を自在に変化させるDIRECT4は、後輪操舵などと相まって軽快なコーナリングを披露。とりわけコーナーから加速する際の、まるで後輪駆動のような後ろから押し出される感じは、クルマ好きなら思わず頰が緩むに違いない。まさに電動化によって実現した、新しい走りの歓びである。

 

 それでいて快適性のレベルも高い。新開発のマルチリンク式リアサスペンションを採用し、それに合わせてボディ剛性を高めたことで、しなやかな乗り心地と目線のブレないフラットな姿勢を両立。ロングドライブでも寛いで過ごせる走りを実現しているのだ。

 

 走る歓びの深まりが持ち前の快適性の進化にも繋がり、新型RXは見事に新しい走りの世界を切り拓いてみせた。まさに会心の出来といえる。ブランドを牽引するグローバルコアモデルだからこその変革は、つまりレクサスというブランド自身のたゆまぬ変革への意思を示すものであり、その果実に大いに唸らされたのである。

 

 

 


通算5世代目となる新型レクサスRXは、複数のパワートレインを用意する。他のふたつはPHEVのRX450h+、ガソリンターボエンジンのRX350となる。大画面14インチタッチディスプレイや電子制御でドアのアンラッチを行なうe-ラッチなど先進装備も充実している。

 

 

 

 

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