Jérôme de Lavergnolle Interview

手仕事が担う“伝統”と
メゾンを前進させる“革新”

Friday, July 13th, 2018

 

 だから新作発表には毎年力を入れている。特にメゾンの歴史が凝縮された、アイコン的な存在として知られるペーパーウェイトコレクションは、大きさもデザインも技も異なる新作を毎年約5種類ほど、数量限定生産で発表している。

 

「ペーパーウェイトコレクションは、日本では特にご好評いただいています。日本の文化の多くに“職人”の長い歴史があるだけに、日本の方々は私たちの品質に妥協することのない姿勢に共感していただけるDNAをお持ちなのだと感じています」

 

 

ペーパーウェイトコレクションの今年の新作。左から、『おとぎ話の王子様』(50点限定生産。¥607,000)、『桜』(50点限定生産。¥544,000)、『雲』(68点限定生産。¥327,000)、『春』(8点限定生産。¥1,480,000)。いずれもシリアルナンバーと製造年、証明書が付属する。

 

 

「今年のペーパーウェイトの新作をご紹介します。まずは『おとぎ話の王子様』をモチーフとしたペーパーウェイトです。西洋ではカエルにキスをすると魔法が解ける、という可愛らしいストーリーで知られますが、カエルは世界中でさまざまな意味を担う生き物です。鎮座する花壇には、ミルフィオリ技法という非常に難しい技術が込められています。

 

 王冠の部分は24金の金彩となっています。こちらは『桜』です。内側に桜の花がありまして、枝が花を包み込むように取り囲んでいます。覗き込むと内側の桜の花が大きく映り込む。まるで魔法のようでしょう?

 

『雲』はドームの下から太陽の光が見える仕組みになっています。そしてこの最も大きいサイズのものは、『春』という作品です。野菜や植物でポートレイトを描き出した16世紀の画家アルチンボルドの絵画を私たちの技で再現したもので、ひとつひとつの花が手仕事によるバーナーワークの技法によって生み出されています」

 

 

『春』を上から見た写真。繊細なバーナーワークによってつくられた100以上の花をひとつひとつセッティングして作られている。花々が浮かび上がるような深い黒の背景もまた、ジュゼッペ・アルチンボルドの作品と同様だ。

 

 

「好評により今日はご用意できなかったのですが、毎年恒例の干支のシリーズのペーパーウェイトもあります。今年は大変愛くるしいデザインの『犬』です。既にほとんど売れてしまいましたが」

 

 クリスタルのペーパーウェイトは、歴史に名を残す王侯貴族や文人たちをも虜にしてきた。芸術作品かと見紛うようなこの美しい小宇宙の数々を目の前にして、ひとつひとつ丁寧に解説をする氏の目は、まるで少年のように輝いている。それぞれが異なるコンセプトで、異なる技術によって作られているため、語るべきところが溢れるほどあり、話題は尽きない。

 

「よく『社長の仕事って何でしょう?』と聞かれるんですが、物語を語って聞かせることです、と答えています。サンルイの製品にまつわる物語は、枚挙に暇がないですからね」

 

 

サンルイ

03-3569-3300(エルメスジャポン)

www.saint-louis.com/

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