Highlights from the 2025 Goodwood Revival
「グッドウッド・リバイバル」2025 ハイライト
October 2025
グッドウッド・リバイバルは英国南部サセックス州にあるグッドウッド・サーキットを舞台に、毎年9月に開催されるクラシックカー&スタイルのお祭りだ。ヴィンテージカーとファッションが集うこのイベントは、今年も大成功を収めた。
author charlie thomas
photography Courtesy of Nick Dungan
英国南部サセックス州のグッドウッド・エステートは、クルマ愛好家にとってまさに聖地だ。1998年、この地を領有するリッチモンド公爵がモータースポーツの祭典を開くことを思いついたのが「フェスティバル・オブ・スピード」の始まりである。イベントは年を追うごとに規模を拡大し、いまや世界最大のモータリング・フェスティバルへと成長した。毎年6または7月に開かれ、多彩な催しが繰り広げられる。
しかし、年間カレンダーのなかでひときわ心躍るのは、むしろ9月に催される「グッドウッド・リバイバル」のほうだ。1948年から1966年にかけて続いたサーキットの黄金期を讃えるこのイベントで、クラシック・スタイルとヒストリック・レースを融合させたお祭りである。モータースポーツ界の錚々たる顔ぶれが集い、当時の空気をそのまま纏ったマシンが熱戦を繰り広げる姿は、まさにタイムスリップのような体験をもたらしてくれる。
グッドウッドは、その公式サイトが述べているように「世界で唯一、完全にオリジナルの姿を保ち続けているクラシック・サーキット」である。シルバーストンのような他のサーキットは、過去数十年にわたって大きく近代化され、FIAの厳格な規定に従った広いランオフエリアやグラベルトラップを備えるようになった。
一方グッドウッドは、1948年の開設当時のレイアウトをそのまま維持している。第二次世界大戦後に英国で初めてプロドライバーによるモーターレースを開催したサーキットである。
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加えて、サーキットや関連施設を1940年代の黄金期の姿に復元しようとする努力も重ねられてきた。これが、グッドウッドを特別な存在としている。あらゆる要素が細部に至るまでこだわり抜かれている。
マーシャルの作業着から、スターターが掲げるスタート前のカウントダウンボードに至るまで、すべてが当時のままだ。セーフティカーは往年のジャガーが用いられている。来場者の服装は、グッドウッドがレース用サーキットとして幕を閉じた1966年までのヴィンテージスタイルが推奨されている。
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グッドウッドの伝統を称える精神は、サーキット上にて披露される。かつて実際に走ったクラスや時代、そして名ドライバーたちに捧げられた数々のレースが行われるのだ。
今年はスコットランド出身のF1ドライバー、ジム・クラークの偉業を称える特別な年でもあった。彼が最も輝いた1965年シーズンから60周年を迎えたからである。その年、クラークはロータスを駆り、F1世界選手権のドライバーズタイトルを獲得すると同時に、インディアナポリス500でも勝利を収めた。
その栄光を讃えて、彼のチャンピオンマシンがグッドウッド・サーキットをパレードした。F1世界選手権制覇のロータス33と、インディ500優勝のロータス38──この2台が揃って披露されるのは史上初めてのことであった。
さらに会場には、クラークの親友でありライバルでもあったサー・ジャッキー・スチュワートも姿を見せた。1965年のイースター・マンデー・ミーティング(復活祭の翌月曜日に合わせて開催されていたレースイベント。1950〜60年代のグッドウッド・サーキットでは、この日がシーズン開幕戦となっていた)において、両者が共同でラップレコードを打ち立てたという縁を思えば、これ以上にふさわしい追悼はなかっただろう。
今年の戦いも、60年前に劣らぬ興奮に満ちていた。週末を通じて13のレースが行われ、グッドウッドの黄金期を彩ったマシンが登場した。ハンドルを握ったのはモータースポーツ界のヒーローたちである。
F1ワールドチャンピオンのジェンソン・バトンとジャック・ヴィルヌーヴ、インディ500優勝者のトニー・カナーン、インディカー・シリーズ王者のダリオ・フランキッティとスコット・ディクソン、さらにはNASCARカップチャンピオンのジミー・ジョンソンといった錚々たる顔ぶれが並んだ。
加えて、トム・イングラム、ゴードン・シェッデン、クリス・ウォードといった英国のレーシングドライバー、カルロス・チェカ、トロイ・ベイリス、マイケル・ダンロップ、ジョン・マクギネスといったモーターサイクル界のレジェンドたちも姿を見せた。
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注目すべきは、そこに集ったマシンそのものだ。グッドウッド・リバイバルには、毎年世界屈指のヴィンテージレーサーが集結する。今年は、ジャガー・ライトウェイトEタイプとACコブラの対決、ポルシェ904とロータス・エラン26Rの激戦が繰り広げられた。さらに、フェラーリ250 GT SWB、ジャガーMk1、アルファロメオ・ジュリエッタT.I.、TVRグリフィスといった名車が揃い、グリッドの総額は60億円に迫った。
とりわけ印象的だったのは、小さなオースチン・ミニが巨大なV8エンジン搭載のフォード・フェアレーンを追い抜いた場面。イベントの醍醐味を象徴する光景だった。さらに、V.E.デイ(欧州における対独戦勝記念日)80周年を祝うストリートパーティも催され、レースの合間にはコース脇の家々を舞台に、コミュニティが一体となる感動的なひとときが持たれた。






















