Eighty Years of Brioni: A Legacy Tailored in Time

ブリオーニ、80年のレガシー:伝統とモダンを紡ぐローマの盟主

January 2026

イタリアの最高級メゾン、ブリオーニが創業80周年をローマにて祝った。来場者はローマの歴史的建造物にて行われた、没入感溢れるイベントを通して、このメンズウェア界の象徴的存在の歩みを追体験した。

 

 

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 1945年、第二次世界大戦の混乱が収まろうとしていたイタリア・ローマで、ひとつのメンズテーラリングの名門が産声を上げた。それが、ブリオーニ(Brioni)である。創業当時、多くのテーラーがフォーマル一辺倒のスーツを作るなかで、ブリオーニは軽快でリラックスした着心地を備えながらも細部の作りに妥協しない、当時としては革新的なスタイルを提示した。

 

 その独自のアプローチが、「リラックスしたイタリアの高級紳士服」として世界に広がっていったのだ。

 

 

 

 

80年の軌跡をローマで祝う

 

 ブランドは2025年に80周年を迎え、その節目を祝う特別なイベントがローマの歴史的建造物キオストロ・デル・ブラマンテで開催された。大理石がふんだんに使われたルネサンス様式の空間で行われたこのイベントは、単なる記念行事ではなく、戦後のアトリエから現在に至るまでのブリオーニの歩みを丹念にたどるものとなった。

 

 会場には歴史的なアーカイブ・ガーメントや職人の手仕事を紹介する展示が並び、80年分のテーラリングの知恵と美意識が披露された。

 

 

 

 

 

映画とともに歩んだスタイル

 

 ブリオーニと映画界の関係は深く、戦後すぐにイタリア映画の撮影現場で採用されたことから始まり、やがてハリウッドの大スターたちにも支持されるようになった。

 

 ジェームズ・ボンドをはじめとするアイコンが着こなす姿は、ブランドのステイタスを象徴してきた。今回の80周年イベントにも俳優や映画関係者が数多く訪れ、エンターテインメント業界とブリオーニとの蜜月関係が改めて示された。

 

 

 

 

 

真の贅沢とは何か

 

 展示のなかで職人が布地を仕立てる様子が紹介されたが、そこには単に物を作るという域を超えた、伝統技術の継承が映し出されていた。80年という長い歳月の中で変わらず受け継がれてきたクラフツマンシップこそが、ブリオーニの強みであり、進化を続ける現代的なエレガンスを支える礎となっているのだ。

 

 ブリオーニは、戦後のイタリアで始まったひとつのメンズテーラーだった。しかし、数々の革新的なアプローチを経て、その影響力は単なるテーラーの枠を超え、メンズファッションや映画文化リードする象徴的存在となった。

 

 軽やかでありながらきちんとみえる構築性を備えた服作り、クラフツマンシップ、そしてローマという永遠の街の気品━━これらが長年のレガシーを紡ぎ続けているのである。