Dovetale at 1 Hotel Mayfair, London

ロンドンで人気沸騰、「1 Hotel Mayfair」のダイニング「Dovetale」

August 2025

ロンドン・メイフェアの「1 Hotel Mayfair」に誕生したダイニング「Dovetale」が注目を集めている。サステナブルを理念に掲げ、今年は東京にも上陸予定のブランド「1 Hotel」。そのホテルブランドの魅力とともに、「Dovetale」の世界をお届けする。

 

 

text yukina tokida

 

 

 

 

 2005年に米国・マイアミを第一号として誕生した「1 Hotel」は、サステナビリティをキーコンセプトに掲げるラグジュアリーホテルブランドだ。ブランドの根底にあるのは、「旅人は世界を巡ると同時に、その世界を守る存在でもあるべき」という理念。『結局のところ、私たちの世界はひとつしかないのだから』という思いを映し出したものだ。

 

 マイアミでの誕生以来、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ハワイなど米国各地から中国・三亜、カナダ・トロントと世界各地へ展開し、2023年にはヨーロッパ初の拠点としてロンドン・メイフェアに「1 Hotel Mayfair」が誕生した。日本にも今年秋、赤坂のTokyo World Gate Akasaka上層階に誕生予定で、いま最も業界から注目されていると言っても過言ではないホテルブランドである。

 

 弊誌の本国版が編集部を構えるイギリス・ロンドンを訪れると、Brexitを経た今も、世界各国から多くの観光客が押し寄せていて、一歩街へ出るだけでその多国籍性に驚くだろう。多くの人々が集い、美食や美酒を追い求める中、注目を集めているホテルダイニングが「1 Hotel Mayfair」内にあるダイニング「Dovetale」だ。

 

 

ロケーションはグリーンパーク駅の程近く。一際目を惹く洗練されたホテル外観。

 

 

 

 数多くのホテルや有名ブティックが立ち並ぶメイフェアのなかでも、シックな黒色の壁に鮮やかなグリーンの植物が溢れる「1 Hotel Mayfair」は、一際目を引く存在。外にホテル名を記した大きな看板は出ていないため、この素敵な外観と、モスグリーンのジャケットを纏ったドアマンを目印にするのがおすすめ。溢れんばかりの笑顔とともに迎えてくれる。

 

 入り口を抜けると、石や緑、木々がふんだんに使われたナチュラルな空間が広がる。思わず深呼吸したくなるだろう。ホテルのメインダイニングでもある「Dovetale」へは、このメインエントランスからはもちろん、外から直接アクセスすることも可能。外からも見える豊かな植栽を目印に進むと、右手にダイニングのエントランスが現れる。

 

 

植栽と木材、石材の豊かな質感に溢れるホテルエントランス。

 

 

 

 店内は暖かな色味の照明と、白い柱、豊富な植物、そしてシックなピンクや黄色の座席、キャラメル色のテーブル、そして明るい木材の天井が印象的な落ち着く空間。緑が周囲を囲む屋根付きのテラスには自然の光が降り注ぐため、まるでピクニックしているかのような気分になるだろう。

 

 

「Dovetale」の店内。

 

 

「Dovetale」には広々としたテラス席も備えている。

 

 

 

 同店のコンセプトは「過去を振り返りながら未来へ進む」こと。クラシックな調理技法を大事にしながら、驚きに溢れた斬新な料理を提供している。旬の食材、地元のオーガニック食材、、サステナビリティ(持続可能性)を重視し、シェフのトム・セラーズ氏による、味わいと見た目の美しさを兼ね備えた一皿で人々を魅了している。

 

 ここでまず頼むべきは、新鮮なオイスター。アイルランド沿岸最大の島であるAchill(アキル)産のものにこだわっており、海洋ミネラルを豊富に含んだ澄んだ味わいが特徴だ。定番のタバスコにレモン、ビネガーで味変しながら楽しみたい。

 

 次に忘れてはならないのが「Carpaccio(カルパッチョ)」。薄〜くスライスされた英国産和牛に細かく削ったチーズ「オールド・ウィンチェスター」を重ね、ホットマスタードを使ったソースで味を整えたもの。細かく刻まれたチャイブも散りばめられており、その絶妙なバランスに悶絶するだろう。付け合わせの牛脂でカリッと揚げられたポテトに巻いて食べると、これまたワインが進むはず。

 

 

「Dovetale」のシェフのトム・セラーズ氏。

 

 

名物のカルパッチョ。写真右に写っている付け合わせのチップスに巻いて食べてほしい。

 

 

 

 複数名で行けるようであればぜひ1キログラムのTボーンステーキ「1kg Grain-fed Lake District T-bone」を選んでほしい。ラム好きなら「Grilled Herdwick lamb cutlets & confit shoulder」もおすすめだ。骨付きのラムチョップに加え、スパイスがまぶされたほろほろ柔らかな肩肉のコンフィは記憶に残る美味しさ。さっぱりとした酸味の効いた玉ねぎやネギの付け合わせとのバランスも最高だ。

 

 乾杯にはイギリスのスパークリングワイン「RATHFINNY(ラスフィニー)」でいきたいところ。2010年に創業した比較的若いブランドだが、ワイン作りを始めてから10年経った2022年にはAOCに相当する「Sussex PDO」を取得するなど、実力派のワイナリーだ。日本にもまだ上陸していないようなワインも豊富に揃っているため、常駐しているソムリエにぜひおすすめのワインを聞いてみてほしい。

 

 ホテル全体の魅力として特筆すべきはスパだ。他のホテルではなかなか見られない取り組みが展開されている。筆者が訪れた期間には、イギリスを拠点に“コンシェルジュ医療”型のプライベート会員制医療サービスを提供する「SOLICE Health」とのコラボレーションで、点滴やレイキ、鍼治療を提供していた。

 

 なかでも点滴を施術に取り入れた「IVセラピー」では、美容・免疫力強化・時差ボケ回復・スポーツ後のリカバリーなど目的に合わせた多彩なメニューが揃っていた。例えば、「Beauty Tonic」(グルタチオン&ビオチン配合で美肌・美髪を促進)、「Jet Lag Reset」(電解質・Bビタミン・アミノ酸で時差ボケ解消)、「The Olympian」(抗酸化作用で筋肉疲労を軽減)など、看護師によるヒアリングをもとにその場で調合をしていた。ホテルのラグジュアリーな空間で、ゆっくりと内側からパワーアップできる時間は、とても居心地がよく、これ以上ない非日常な贅沢なひとときとなるだろう。

 

 

 

 

「1 Hotel」はいま、世界で最も注目を浴びるホテルブランドのひとつである。その魅力は豪華さや快適さだけではなく、自然とともにある暮らし方を未来へとつなぐ姿勢にある。ロンドン・メイフェアでの体験は、ただの滞在ではなく、環境や食、そして健康のあり方を見つめ直すきっかけを与えてくれる。今年秋、日本にも「1 Hotel Tokyo」が登場する。私たちの旅や暮らしにどんな新しい価値をもたらしてくれるのか、いまから期待せずにはいられない。

 

 

 

1 Hotel Mayfair

3 Berkeley St, London W1J 8DL

TEL. +44-20-3988-0055

www.1hotels.com/mayfair

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