DORMEUIL “15.7 Royal Blazer” “15.7 Flannel”

ドーメルの名作生地“15.7”
ふたつの新クオリティ

October 2023

フランスの名門ドーメルきっての人気服地となった“15.7”の新作生地「15.7 ロイヤルブレザー」と「15.7 フランネル」がこれまた大変素晴らしい。
text yuko fujita
photography jun udagawa
styling akihiro shikata

15.7 Royal Blazer(左)
15.7で初となるジャケット用三者混生地
「15.7 ロイヤルブレザー」の生地の膨らみ感がとてもいい雰囲気を出している。ウール×カシミア×シルクのラグジュアリーな英国生地であるところも斬新だ。ジャケットは国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約6週間。ジャケット¥347,600~(オーダー価格)Cifonelli、シャツ¥70,400 Fray、タイ¥19,800 Franco Bassi、トラウザーズ¥48,400 PT Torino、チーフ¥7,700 Stefano Cau / all by Isetan Shinjuku(伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111)

15.7 Flannel(右)
新たに登場した15.7の梳毛フランネル
「15.7 フランネル」で注目すべきは、こちらのワイドピッチストライプ然り、生地デザインに程よいスパイスが効いている点だ。バンチで見ると結構なインパクトだが、仕立て上がりはクラシックで落ち着いていて、とてもいい雰囲気。スーツは国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約6週間。スーツ¥418,000、シャツ¥44,000(以上オーダー価格)、タイ¥19,800、チーフ¥9,900 all by Dormeuil(ドーメル 青山店 TEL.03-3470-0251)

荒幡 徹(左)鷹岡1988年生まれ。アメリカブランドでの販売を経て、生地卸の鷹岡。生地の卸とカット販売、ドーメルの2018年に始まった「15.7 4プライ」から携わり、ひとつのバンチになるまで携わってきた。15.7の中で特に好きなのは、「15.7 4プライ サキソニーミルド」。

鈴木 学(中央)ドーメル ジャポン1979年生まれ。伊の名門生地マーチャントのエージェントを経て、2015年よりドーメル ジャポンの営業職。「15.7 ブリオ」、「パルムドール」などの企画に携わる。15.7の中で最も好きなのは、素晴らしい生地であることが触れた瞬間に伝わってくる「15.7 4プライ」。

松田修和(右)ドーメル ジャポン1974年生まれ。テキスタイルデザイナー、セレクトショップの販売員を経て、2011年よりドーメル ジャポンに入り、青山店の店長を務めている。15.7の中では、実際に着て耐久性があることに驚いたという通常の2プライの「15.7」バンチの生地が好み。

THE RAKE:ドーメルのラグジュアリー生地の代名詞となった「15.7(フィフティーン・ポイント・セブン)」は、「4プライ」と「4プライ サキソニーミルド」を筆頭に、ビスポーク界での評判がとてもいいですよね。今春夏の「15.7 トニック」も見事な高級感があって、大変素晴らしかったです。

鈴木:2018年、三越伊勢丹さんとの企画で、2プライだった15.7を「4プライ」にして織り上げた生地からスタートし、それから「4プライ サキソニーミルド」、「6プライ」、「8プライ」、「15.7ブリオ」、「15.7 トニック」といった生地を手がけてきましたが、どれもスーツ用の生地でした。そこで15.7で初となるジャケット生地を企画してみようということで生まれたのが、「15.7 ロイヤルブレザー」になります。経糸に15.7の2プライを、緯糸に15.7の2プライとカシミアシルクのブレンド糸を使用して織り上げた三者混の生地になります。こちらもまた、「15.7 4プライ」を筆頭とするスペシャルな15.7の生地を集めた「マスターピース」バンチに収められます。

Masterpiece
特別企画の名作生地のみを揃えた限定展開のバンチ
通常の2プライではない“15.7(4プライ、6プライ、8プライほか)”シリーズを中心に、オリジナルトニックなど、特別企画によって生まれた厳選のスペシャル生地のみを揃えているのが、「マスターピース」バンチ。限られた店舗のみで展開されている。

荒幡:イタリア生地ではよく見られるウール×シルク×カシミアの三者混を、イギリス生産にこだわりながらとことんラグジュアリーな雰囲気に作り込みたいという思いのもとに「15.7 ロイヤルブレザー」を企画したこともあり、今までの英国生地にはない雰囲気に仕上がっています。そういった点でも非常に面白いのではないでしょうか。

松田:柔らかでラグジュアリーなこのタッチって、今の時代にちょうど合っていると思うんです。昨今、お客様は軽さをもの凄く求められるのですが、この生地は本当にラグジュアリーで軽やかですので、そういった方にお勧めしたいですね。

荒幡:ラグジュアリーで上質な生地を好まれるお客様にも、ファーストタッチで「何これ!」っていうインパクトを十分に与えられる生地に仕上がっていると思います。それと発色もとてもきれいですよね。特に自分はシルバーグレーを気に入っています。これにタートルネックのニット、下はジーンズを合わせてサラリと着てもカッコいいだろうなって思います。

松田:15.7の原毛はスーパー160’sのウールに相当するのですが、繊細すぎて日常で着るのには向かないというイメージをお持ちの方が多かった中で、15.7は4プライや6プライはもちろん、2プライの生地に関してもお客様に日常使いしながら何年も着ていただけています。大変満足していただけているので、そこも15.7の魅力だと思います。

もうひとつの新作220/240g/mの「15.7 フランネル」THE RAKE:そういえば今季、2プライの糸で織り上げている従来の「15.7」バンチをリニューアルされましたよね。

鈴木:そうなんです。そのリニューアルしたバンチには新しく登場した「15.7 フランネル」が加わっていて、これがとても興味深い生地なんです。220/240g/mの梳毛フランネルで、伝統的なフランネルと比べるととても軽いのですが、今日の気候、ライフスタイルの中で、凄く求められている生地だと思うんです。

荒幡:昔ながらのゴリッとしたフランネルも素晴らしいですが、この「15.7 フランネル」のようなライトウェイトで柔らかなフランネルが新しい提案としてあって、次に来る流れなのかなと感じています。ドーメルはテキスタイルデザイナーがイタリア人女性で、会社はフランスで、モノ作りはイギリスが中心なわけですけれども、いい意味でそれぞれの要素が強く出すぎておらず、そのバランス感にとても魅力を感じています。柄出しも独特ですし、色使いもとてもきれいです。

鈴木:確かにドーメルの生地って英国すぎないですし、フランスすぎもしない。でもしっかり個性があって、そこが魅力なんだと思います。

15.7
スーパー160’sの2プライを中心とする大定番バンチ
ニュージーランド産メリノ羊の厳選された15.7マイクロン(スーパー160’s相当)の原毛を用いていることから“15.7”と名付けられた。同シリーズにはさまざまなスペシャル生地が揃っているが、こちらの生地は経緯とも2プライの糸で織られたもの。

THE RAKE:さて、今季はいろいろとリニューアル&新バンチが登場しています。

鈴木:カシミア100%の生地を揃えた「カシミア」というバンチが新たに登場したのですが、ペールトーンの豊富なバリエーションなど、他社にはない色が揃っています。3クオリティあって、最も充実している290/310g/mのものに関しては41色のバリエーションを揃えていて、これは過去1番のラインナップになります。バンチを構成する際、最も自信のある色をトップにもってくるのですが、トップにあるテラコッタがまたいい色合いなんです。自分でもチャレンジしてみたいなって。

松田:「フォーエバーグリーン」も大変ユニークな新作です。柄物のジャケット生地とそれに合わせるトラウザーズのコットンコーデュロイがセットになって提案されているユニークなバンチです。ジャケットのコーディネイトが苦手な方でも、このバンチで提案している組み合わせで、きれいな色使いのチェックを楽しめるのが、魅力です。この中にウール×バンブー×リネンの生地があるのですが、バンブーが入ることでドライタッチになったりもするので普段は春夏の生地に使われることが多いんです。そのバンブーが使われていて、触るとそれがもたらす絶妙なドライタッチがとても気持ちいいんです。同じバンチ内でセットで提案されているパンツのコーデュロイもきれいな色が多いので、そこもお客様に楽しんでいただけたらと思っています。

鈴木:RWS認証原料を使用している「ミレニアル ジェネシス」は、今春夏に登場したナチュラルストレッチウール「ミレニアル」の第2弾です。ミレニアルが柄ものなのに対し、こちらは無地が中心で、独特の色合いの生地が揃っています。使い勝手がとてもよい、完全な10マンス生地になります。ストレッチ性を備えているところも高ポイントです。

荒幡:生地屋っぽいところでいいますと、クオリティ、色やタッチは見て触ると想像していたのとは異なることがほとんどです。本当にびっくりされるようなタッチの生地もありますから、それを実際に触って感動していただき、そこから考えて、どんな服に仕立ててどう楽しみたいのか、それを着てどこに出かけたいのか、そういった想像を張り巡らせるのってとても楽しいですよね。今季のドーメルにはそんな楽しさをもたらしてくれる生地がたくさん揃っていますので、ぜひお店に足を運ばれてみてください。

DORMEUIL FAIR INFORMATION

新旧の名作生地が揃うフェア開催!

9/27(水)~10/10(火)は日本橋三越本店本館2階 パーソナルオーダーサロン、11/1(水)~14(火)は伊勢丹新宿店 メンズ館5階 メイドトゥ メジャーにて、ドーメルフェアが開催される。今季デビューした、15.7では初となるジャケット用生地の「15.7 ロイヤルブレザー」を筆頭に、ドーメルの新旧のマスターピースファブリックが揃うまたとない機会ゆえ、足を運ぶ価値は大!

さらにお勧めしたい、ドーメルの新作生地コレクション

毎シーズン、リニューアルや新作を発表しているのがドーメルの魅力だ。今季さらにお勧めしたい、3つのバンチをご紹介。

FOREVER GREEN
持続可能な天然繊維を組み合わせたコレクション
三者混のきれいなチェック柄ジャケット生地を中心に、それに合わせる細畝のコーデュロイが1冊で提案されている。オフホワイト、パープル、黄緑、ピンクなど、計14色揃うコーデュロイの美しい色合いにも注目。

同バンチが提案している上下の組み合わせにて。ウール×バンブー×リネンの三者混ジャケット¥254,100、コーデュロイトラウザーズ¥82,500(以上オーダー価格)both by Dormeuil(ドーメル 青山店 TEL.03-3470-0251)

「フォーエバーグリーン」は、最高級ウールとシルク、リネン、バンブー、コットンなど、持続可能な天然繊維を組み合わせた4クオリティの生地コレクションだ。ユニークなのは、ここに収められているそれぞれのジャケット生地に合うトラウザーズ用のコットンコーデュロイが組み合わせで提案されている点。ジャケット&トラウザーズのコーディネイトがこのバンチ1冊で完結できるのだ。ジャケット生地はドーメルならではの非常にきれいな色合いの柄ものが充実。中でもオススメしたいのは、ウール69%、バンブー28%、リネン3%の三者混だ。温かみのある風合いにバンブー特有のドライタッチ感が加わったことで、ユニークな仕上がりとなっている。

CASHMERE
1クオリティで41色のピュアカシミアが収まっている!
41色を揃えた軽量の「カシミアエアー(290/310g/m)」は、いわゆるクラシックで重厚なカシミアの雰囲気を感じさせず、今の時代に求められる、軽やかで女性的な雰囲気も備えたとてもエレガントな生地である。色が大変美しいので、ぜひ手に触れて実際に見ていただきたいコレクションである。

 過去に展開されていたカシミアシリーズの流れを汲みながら、シンプルに「カシミア」の名で登場した新バンチ。収められているのは全種類ピュアカシミアで、ドーメルのカシミア史上、最多の色バリエーション数を誇っている。中でも充実しているのが、290/310g/mの「カシミアエアー」で、テラコッタカラーやモダンなブライトカラー、ソフトなパステルカラー、定番のネイビーのグラデーション、希少なホワイトカシミアもラインナップされている。330/350g/m(3色)と440/460g/m(黒1色)もあり。

MILLENNIAL GENESIS
ストレッチ性を備えたピースダイの無地が狙い目!
RWS認証原料(レスポンシブルウール スタンダード)を使用した生地コレクションで、ストレッチ性を備えている。「ミレニアル ジェネシス」の生地は、バンチの最初にあるピースダイのコレクションの色合いが特に秀逸だ。トラウザーズ用の生地をその中から選ぶと使い勝手がよく重宝しそうだ。

 2023年春夏に第一弾が発表された「ミレニアル」の第二弾として今秋冬に登場したのが、「ミレニアル ジェネシス」だ。ミレニアル同様にRWS認証原料を使用し、自然環境、動物愛護を考慮した、次世代に向けたオールシーズン用のファブリックとなっている。中でも注目したいのは、スーパー110’sの原料を使用した、綾織りのバーション。後染め(280/300g/m)と糸染め(270/290g/m)の2タイプがあるが、無地の後染めのタイプは表情が独特で、絶妙な中間色が揃っている。