BEGG X CO

GINZA SIXで160周年ポップアップ開催中のベグ アンド コー CEOブルーノ・ギヨン氏インタビュー

January 2026

今年、創業160周年を迎えるスコットランドのカシミアブランド「ベグ アンド コー(BEGG X CO)が、2026年1月7日~2月23日、GINZA SIX 3階に、ポップアップショップをオープン。それを機に来日したブルーノ・ギヨンCEOに、インタビューする機会を得た。ベグ アンド コーが160年守り続けてきたクオリティと、今の時代に響く新しさの正体とは?

 

 

text yuko fujita

photography setsuo sugiyama

 

 


Bruno Guillon ブルーノ・ギヨン

1965年生まれのフランス人。ラグジュアリー業界でキャリアを重ね、エルメスではフランス市場のマネージング・ディレクターを務めた。英バッグブランド、マルベリーのCEOに就任。2020年にベグ アンド コーのボードメンバーとして参画し、2024年よりCEOを務める。

 

 

 

 

━━創業160周年おめでとうございます。初めてベグ アンド コーに触れる読者もいると思いますので、自分たちのまず「ここを見てほしい」というポイントを教えてください。

 

 ありがとうございます。ベグアンドコーは1866年に創業したスコットランドのカシミア製品ブランドで、今年で160周年を迎えます。最初にお伝えしたいのは、その長い歴史のなかで、クオリティに関して今日まで一切妥協してこなかった私たちの姿勢です。私たちのモノ作りの根底にはクラフツマンシップが宿っています。品質の高さを常に守りながら、現代の感覚で磨き直し続けてきたことが、ベグ アンド コーの強みです。初めて触れる方に感じていただきたいのは、まずは特別なカシミア素材のタッチと美しい色合いです。触った瞬間、見た瞬間に「違う」と感じていただけるはずです。

 

 

 

━━実際、カシミアの中でも特別なタッチやあの美しく洗練された色合いなど、ベグ アンド コーらしさはどこから生まれるのでしょうか?

 

 ありがとうございます。ベグらしさは、大きく三つの要素が重なって生まれます。クリエイティビティ、クオリティに妥協しない姿勢、そして色の美しさです。美しい色ほど生み出すのは難しいのですが、そこから逃げないことが私たちのモノ作りの強みです。触感について言えば、素材だけで決まるものではありません。最終的な仕上げで決定的な差が出ると考えています。織ること、洗うこと、ブラッシング、そして仕上げの最終チェックまで、積み重なった工程が最後の手触りを決めます。だから「柔らかい」で終わらず、奥行きが出ます。そこにベグらしさが現れます。

 

 

 

━━160年の歴史のなかで、決定的なターニングポイントはどこにありますか?

 

 大きな転換点は1902年にあります。創業者アレックス・ベグが、ペイズリー(Paisley)から約35マイル離れたスコットランド西海岸の海沿いの町エア(AYR)に拠点を移しました。理由の一つが水です。より柔らかくミネラル分を含む水は、仕上げにおいてカシミアの風合いを大きく左右します。エアに移ってからは設備投資を進め、機械を導入しながら、新しい製造技術や手法も積極的に取り入れていきました。品質の条件を整えることと、ものづくりの可能性を広げること。その積み重ねが今日のベグに繋がっています。私たちは現在も同じ場所で作り続けていますが、エアという場所は、私たちにとってクオリティの条件そのものなのです。

 

 

 

━━スコットランドのストールはタータンのイメージが強い一方で、ベグは「スコットランドっぽすぎない」ようにも思いますが、実際は自分たちをどう捉えているのでしょう?

 

 私たちはスコットランドで作っていることを誇りに思っています。ただ、スコットランドを記号として使うことが目的ではありません。伝統は大切にしながら、色や柄、仕上げで現代の感覚へアップデートしていきます。スコットランドの荒々しい海岸線や雄大な山々、そして映画のような空に加えて、工業的で無骨な輪郭まで含めた土地の空気が、私たちのクリエイションを動かしているのです。その結果として、色も柄も、いわゆる英国クラシックの範囲に留まりません。スコットランドの工房から生まれるのに、都会のワードローブにも自然に入り込んでくる。そのバランスがベグの個性となっています。

 

 

 

 

━━ベグをベグたらしめている工程、他社との決定的な違いは何でしょう?

 

 何よりも自信をもっていえるのは、全工程でクオリティに妥協しないという姿勢です。私たちは著名なサプライヤーと共同開発したベグだけのエクスクルーシブのカシミアヤーンを持っています。それは糸の設計自体が異なります。そこに独自のカラーリングを重ねることで、他にはない色合いと表情が生まれるのです。

 

 さらに、私たちは10名からなるインハウスデザインチームを抱えています。新しい発想を生み出す若い視点があり、その一方で工場には長年働いている我々が誇る職人がいて、伝統とクリエイティビティが、同じ場所で同じ方向を向いて動いているわけです。新しい提案、ベグの独自性が生まれるのは、常に職人の高い技術があってのことです。

 

 

 

━━色作りで、最もこだわる部分はどこですか?

 

 色の美しさはベグの大きな武器ですが、狙っているのは派手さではありません。深みがあり、光の当たり方で表情が変わり、長く使っても古びない色です。私たちの色には奥深さ、落ち着きがあります。

 

 美しい色ほど作るのは難しいです。だからこそ糸の設計とカラーリングの精度が必要になりますし、最後は仕上げが効いてきます。色は染めで終わりではなく、風合いの中で完成します。ベグではそう捉えています。

 

 


薄手のカシミアストール「ウィスピーソリッド(Wispy Solid)」は、羽根の軽やかさと優しいタッチを備える。そして何より色合いが美しい。各¥143,000 (70 ×200㎝)

 

 

 

━━読者が実際に選ぶ場面を想定して伺います。ベグ アンド コーのストールを選ぶうえで、分かりやすい入口があるとしたら何でしょう?

 

 分かりやすい入口として、三つのシリーズがあります。

 

 まず「アラン(Arran)」は、触感と陰影で選ぶ定番です。1970年代から続く代表作で、ベグらしさが最も分かりやすく出ます。最大の特徴は仕上げにあります。手で収穫したイタリア産の乾燥チーゼル(アザミ)で繊維をブラッシングし、象徴でもあるさざ波のような立体感を生み出します。見た目の表情だけでなく、触ったときの奥行きにもつながる工程です。冬の装いで「一枚で成立する」強さがほしいなら、まず「アラン(Arran)」です。

 

 

天然アザミを用いた伝統的なブラッシュ仕上げがアザミのとげが繊維を優しく起こし、豊かな風合いと奥行きを引き出すのだ。

 

 

独特のさざ波が美しい「アラン ソリッド(Arran Solid)」。各¥12,1000 (36×183㎝)

 

 

 

 次に「ニュアンス(Nuance)」は、色の移ろいで選ぶシリーズです。色が途切れずに滑らかに移っていくグラデーションが核になります。柄で主張するのではなく、色そのものがデザインとして立ち上がってくる感覚です。巻き方で見える色の面積が変わるので、同じ一枚でも印象が変わります。シンプルな装いに奥行きを足したい方、色で空気感を作りたい方には、「ニュアンス(Nuance)」にはとてもいい入口になるのではないでしょうか。。

 

 


グラデーションカラーが美しい「ニュアンス(Nuance)」。¥198,000(36×183cm)

 

 


ギヨンCEOが巻いている「ウィスピー アニタ(Wispy Anita)」。¥86,900 (80×80㎝)

 

 

 

 三つ目の「ウィスピー(Wispy)」は、薄さと軽さで選ぶカシミアです。透けるほど繊細な薄さでありながら、柔らかさと実用性を両立させているのが特徴です。防寒のためだけのストールではなく、持ち歩ける軽さがあるから、季節をまたいで使えます。室内の冷え対策や旅先の温度差、春先の羽織りとしても活躍します。カシミアを軽やかに楽しみたい方は、「ウィスピー(Wispy)」が最適です。

 

 簡単にまとめると、「アラン(Arran)」は触感と陰影、「ニュアンス(Nuance)」は色の移ろい、「ウィスピー(Wispy)」は薄さと軽さが魅力です。

 

 

薄さと抜群の軽さが際立つ「ウィスピー ソリッド(Wispy Solid)」。各¥143,000 70×200cm

 

 

 

━━国によって顧客像は違いますか。日本の顧客についてはどう見ていますか?

 

 国ごとの違いはありますが、本質は同じです。私たちの製品は、価格ではなくクオリティで納得してくださる方、ブランドのアイデンティティを理解してくださる方がターゲットになります。日本のお客様は特に品質への理解が深く、価値をきちんと見てくださいます。その意味で非常に重要な市場です。

 

 

━━今後の展望を教えてください。ベグ アンド コーはどこへ向かいますか?

 カシミアのリーディングブランドであり続けたい、という思いは常にもっています。そのために最初にやるべきことは、それぞれのマーケットでの需要を正しく理解し、きちんと伝えることです。結局のところ、私たちが守るべきものは明確です。伝統も、色も、クリエイティビティも、すべてはクオリティ、それを支える職人の力があってこそ成立します。お客様に心から満足していただけるものを作り続ける、それが一番の目標ですね。ぜひ、160周年を記念した、今回のポップアップイベントに足を運ばれてみてください。

 

 

【BEGG X CO ポップアップショップ】

開催期間:2026年1月7日(水)〜2月23日(月)

東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 3階 ベグ アンド コー

さざ波状の毛並みが特徴のストール「アラン(Arran)」や、特許技術で織られた軽やかなスカーフ「ウィスピー(Wispy)」ほか、日本限定のロゴ入りスカーフ、メンズ&レディースのカシミアニットウエアもラインナップ。

 

 

お問い合わせ先

トヨダトレーディング プレスルーム

TEL 03-5350-5567