ASIA’S 50 BEST BARS 2024 CEREMONY in HONG KONG

【香港の最旬情報も】アジアのベストバー50結果レポート

October 2024

いま注目すべきバーがわかるランキング「アジアのベストバー50」の授賞式が、今年もバーホッピングの聖地である香港で盛大に開催された。気になるその結果はいかに。香港のおすすめスポットも併せてご紹介。

 

 

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授賞式に参加したバーテンダーたち。互いの功績を祝福し合う彼らの笑顔が印象的だった。授賞式が終わった23時以降も街中のあらゆるバーでアフターパーティが開催され、香港の夜は更なる盛り上がりを見せた。

 

 

 

 今年で8年目を迎えた「Asia’s 50 Best Bars(アジアのベストバー50)」は、今やアジアのバー業界において非常に重要なイベントのひとつとなった。各国の優れた革新者たちを紹介するためにスタートした同アワードは、アジア全域のメディアやミクソロジー専門家など265名の有識者で構成されるアカデミーの投票に基づいて選出される。このリストを見れば、いま勢いのあるバーが一目でわかるというわけだ。それでは早速、今年の結果をいくつかの地域に絞って見ていきたい。

 

 開催地の香港からは全部で9軒が選ばれた。ハイライトは、2023年6月にオープンした「Bar Leone」が初登場にして堂々の1位に輝いたこと。これはアワード発足以来初の快挙となる。それまで3年連続で1位を保持していた、アガベスピリッツをメインに扱う「COA」(詳細はこちら)は、少しランクを下げたものの4位に踏みとどまり根強い人気を示した。一方で、COAのオーナーであるジェイ・カーン氏とアジット・グルン氏が手がける新店「The Savory Project」が19位という鮮烈なデビューを飾った。同店で楽しめるのは、“甘くない”カクテル。ビリヤニマサラとギー、ガリとポン酢、味噌とコーヒーを使ったカクテルなど、意外な組み合わせのものばかりが揃う注目の一軒だ。また日本の居酒屋がインスピレーション源の「The Aubrey」は、7つも順位を上げて10位という大躍進を見せた。

 

 日本からは5軒がランクイン。西新宿の「Bar Benfiddich」が5位に選出され、昨年同様日本のトップに輝いた。大阪から唯一のエントリーである「Craftroom」が28位に、フォーシーズンズホテル東京大手町の「Virtù」は昨年の20位から11位へとランクアップした。カリスマ的人気を誇る後閑信吾氏が手がけるバーは2軒ランクインし、「The SG Club」が23位に、「The Bellwood」は昨年から15位も上昇し34位に輝いた。後閑氏は日本におけるバーカルチャーに変革をもたらし続けている存在であるだけでなく、今年7月には新たなバー「Gokan」を香港にオープンさせるなど、世界を舞台に活躍するバーテンダーのひとりだ。

 

 

昨年同様ローズウッド香港で行われた盛大な授賞式では、さまざまな酒メーカーのブースが並び、各国のバーテンダーたちによるオリジナルカクテルが振る舞われた。写真は中国・広州のバー「Hope & Sesame」による、ブランデー「トーレス」のブース。

 

 

香港らしい華やかな獅子舞のパフォーマンスも行われた。今年は昨年よりパワーアップして、電飾がプラスされただけでなく龍も登場。ランキング発表前に会場のボルテージは最高潮に。

 

 

 

 韓国からは、サステナビリティを追求する「ZEST」(詳細はこちら)が2位に輝いた。カクテルに使用する材料はすべて自家栽培や地元産にこだわり、果物の残った果肉はコーディアルに変身させたり、皮は自家製ジンの製造に再利用したりするなど、“ゼロウェイスト”を徹底している。韓国からはそのほかに4軒がランクインし、なかでも「Pine & Co」は昨年から22位も順位を上げて50位に選ばれた。

 

 シンガポールの躍進にも目を見張るものがある。地域最多となる11軒がランクインし、「Jigger & Pony」が3位を獲得。5年連続で「The Best Bar in Singapore」に選ばれた。エドワード・ホッパーの絵画《ナイトホークス》にインスパイアされた「NightHawk」と、DJによる選曲とともにカクテルを楽しめる「Offtrack」はそれぞれ16位と25位に初ランクイン。いずれもオープンから数年しか経っていない新店だ。

 

 ほかに触れておきたいのは、フォーシーズンズホテルのバーが、香港、東京、ソウル、バンコク、クアラルンプールから計5軒もランクインしていたこと。ラグジュアリーホテルならではの高水準のサービスに加え、その土地を感じさせる個性豊かなコンセプトが評価されたのだろう。

 

 今回の取材を経て、香港がバーホッピングに最適な都市であることを再認識した。上環や中環(セントラル)には多くのバーが徒歩圏内に集まっているし、どの店も活気に満ちているため仲間と語るのにも最適。フードメニューに力を入れているバーが多いので、1軒目からこだわりのカクテルを楽しめるのも魅力である。

 

 以下では、今年ランクインした香港のバーの中からTHE RAKEが選ぶおすすめ3軒を紹介する。絶えず進化を続ける香港の最旬レストラン&バーも3軒ピックアップした。香港での滞在やバーホッピングをより楽しむための参考になれば、それ以上喜ばしいことはない。

 

 

ASIA’S 50 BEST BARS 2024

 


 

 

Where to Drink in Hong Kong from Asia’s 50 Best Bars

ランクインしたバーの中から、THE RAKEおすすめの3軒をピックアップ!

 

 

Asia’s 50 Best Bars 2024 1位:

Bar Leone

 

 2023年の6月にオープンし、初登場にして1位という快挙を成し遂げた「Bar Leone」は、バーがひしめく上環エリアに位置する一軒。ヴィンテージポスターやキャンドル、木材が彩るノスタルジックな店内には、70〜80年代のイタリアンポップスが流れ、イタリアの街中にあるバーのような雰囲気が漂う。ローマで生まれ育った店主ロレンツォ・アンティノーリ氏の人柄を表したような温かい空間だ。「cocktail popolari(人々のためのカクテル)」というイタリアの精神を大切にしており、旬の素材とクラフトスピリッツを使ったクラシックカクテルと、それらにひと捻り加えたモダンなクラシックカクテルを楽しめる。

 

 

左:シグニチャーカクテルのひとつ「Negroni」。右:店主のアンティノーリ氏。

 

 

名物の自家製スモークオリーブと、自家製フォカッチャにモルタデッラをたっぷり挟んだパニーニは必食。香港のバーは日本の多くのバーと異なりフードメニューも充実しているのが特徴。

 

 

11-15 Bridges St, Central

Email: tuttobene@barleonehk.com

Instagram @barleonehk

 

 

 

Asia’s 50 Best Bars 2024 9位:

Argo

 

 チャーミングなイタリア人のフェデリコ・バルザリーニ氏がマネージャーを務める「Argo」は、「IFCモール」直結のフォーシーズンズホテル香港の1階にある。“アグロフォレストリー(森林農業)”がコンセプトの同店では、ストーリー性に富んだカクテルを楽しめる。また、さまざまな蒸留所と協働でオリジナルスピリッツを定期的に作っており、名物の「Argo Martini」に使用しているジンもそのひとつ。老若男女誰もが楽しめる一軒だ。

 

 

目を奪われる高い天井とキラキラと輝くバーカウンター。奥のソファ席のエキゾチックな内装も必見。

 

 

マティーニ好きなら、ぜひ「Argo Martini」を。フードはフライドチキンやエッグワッフルがおすすめ。

 

 

8 Finance St, Central

TEL. +852 3196 8882

Instagram @argobarhk

 

 

 

Asia’s 50 Best Bars 2024 10位:

The Aubrey

 

「The Aubrey」があるのは、マンダリンオリエンタル香港の25階。ここでは約100種もの焼酎や泡盛をはじめとする日本産スピリッツが揃うが、それらをロックや水割りではなく、ツイストを加えた独創的なカクテルで楽しめるのが魅力。酒蔵を巡り焼酎について学んだというバーマネージャーのデヴェンダー・セガール氏が生み出す多彩なカクテルは、新たな感動を与えてくれるだろう。

 

 

非常に洗練されたラグジュアリーな店内。

 

 

マンダリンオリエンタルホテル60周年記念で誕生したスピリッツを使った「The Mandarin Gimlet」。

 

 

25/F, Mandarin Oriental,Hong Kong, 5 Connaught Road, Central

TEL. +852 2318 1588

Instagram @theaubreyhk

 

 


 

 

Must-Visit Spots For Your Next Trip to Hong Kong

〈番外編〉香港の最旬スポット3 軒

 

 

WING

 

 香港でいま話題の一軒といえば、ヴィッキー・チェン氏が手がける中国料理店「WING」だろう。今年発表された「Asia’s 50 Best Restaurant(アジアのベストレストラン50)」では前年の37位から大幅ランクアップの5位となるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を集めている一軒だ。唯一のコースである「テイスティング・メニュー」(HKD1,980 〜)では、主に地元の食材を使いながら、西洋の技法を取り入れたコンテンポラリーな中国料理を楽しめる。魚の浮袋や乾燥鮑、乾燥ナマコ、小鳩などの高級食材をはじめ、時期によってはマテ貝や日本産生牡蠣などの旬のものもふんだんに使用。伝統的な調理法とも異なるシンプルかつ革新的な方法で、それぞれが持つ風味や食感を最大限に引き立てている。アート作品のような繊細な盛り付けも必見だ。前菜からデザートまで感動が止まらない。

 

 

左:一般的にスープの具材に使われる魚の浮袋をご飯にのせたもの。鮑のソースとともに。右:シェフのチェン氏は、上階の「Vea」も手がける。

 

 

自家製ピータンと岩手産生牡蠣のチリソース添え。

 

 

「Hok Tau」と呼ばれる珍しい白菜の内側部分だけを使用し、新生姜のスープで仕上げた一皿。

 

 

29/F The Wellington, 198 Wellington St, Central

Email: info@wingrestaurant.hk

Instagram @wingrestaurant_hk

 

 

 

The Opposites

 

 2024年7月に中環に誕生した「The Opposites」は、バー業界で知らないものはいないスーパースター的存在のアントニオ・ライ氏が、「Quinary」でともに活躍していたサミュエル・クウォック氏と新たに始めた一軒。ここでは、ひとつのクラシックカクテルをもとに、ふたりの異なる視点で再解釈を行った、対照的なペアカクテルを楽しめる。メニューがアルコール度数の高い順に並んでいるのもありがたい。

 

 

「Pimm’s Cup」をもとに誕生した、ライ氏による「Selling Seashell」(左)はミント風味のゼリーやトマトウォーターを合わせた一杯。クウォック氏による「Son of Pimm’s」(右)はシソやライチを合わせた爽やかな味わい。

 

 

LG/F, Hilltop Plaza, 49 Hollywood Road, Central

Email: info@theopposites.hk

Instagram @theoppositeshk

 

 

 

Ella

 

 上の「The Opposites」から徒歩3分ほどの場所にあるビル「H Code」の26階に位置するのが、「The Trilogy」のジャズバー「Ella」。エラ・フィッツジェラルドにインスパイアされた同店は、ジャズ発祥の地ニューオーリンズの精神を体現。バーカウンターとテーブル席だけで20名ほどが入れるコンパクトな空間は生バンドとボーカルとの一体感を生み出してくれる。ジャズ好き必訪の一軒。

 

 

生バンドとの一体感が生まれる親密で居心地のよい店内。

 

 

カクテルやフードメニューも充実。ほうれん草クリームとパルメザンチーズをのせてグリルした「Rockefeller Oysters」はぜひ食べてほしい一品。

 

 

26F, The Trilogy, H Code,45 Pottinger Street, Central

Instagram @ellaxoxo.hk

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