abrAsus house Fuji

キャンプとラグジュアリーの融合「アブラサスハウス富士」

June 2023

text kentaro matsuo

 

 

 

 

 2021年7月にオープンした山梨県鳴沢村に位置する「abrAsus hotel Fuji(アブラサスホテル富士)」は、県内で最も成功したホテルのひとつとなった。オープン以来の稼働率はほぼ100%を誇り、連日のようにゲストが押しかけている。人気の秘密は、都心から90分というアクセスのよさ、眼前に富士山を望むロケーション、キャンプ&別荘気分、ラグジュアリーホテル並みの設備、一日一組のプライベート感、好きなだけサウナと冷温水浴を楽しめること、ペットと一緒に宿泊できること、そして館内を貫くセンスの良さ、などであろう。とにかく今までになかった、新しい宿泊施設だったのだ。

 

 

 

 

 そのすぐ隣の敷地に、「abrAsus house Fuji(アブラサスハウス富士)」がオープンした。外観や基本的なコンセプトは同じだが、後発だけあって、さまざまな点がグレードアップされている。687㎡を誇る広々とした敷地に、広々とした専用ガーデン、アウトドア・リビング、ダイニング・キッチン、大小2つのベッドルーム、2つの浴槽を備えたバスルーム、サウナルームなどが設えられている。プライベート・エリアは高さ2mのウォールで囲まれており、外界とは隔絶された空間となっている。

 

 

 

 

 特筆すべきは、すべての部屋から富士山が見られること。アブラサス・シリーズが最もこだわっているポイントのひとつである。山との距離は近く、眼前に迫ってくるようだ。四季折々で表情を変える霊峰の姿は、訪れる人々に感動と安らぎを与えてくれる。

 

 

 

 

 建物前のデッキには、オープン・リビングが備えられている。ソファに身を沈め、テーブルトップ暖炉のゆらめく炎を眺めながら、親しい人と語らい、杯を傾けることができる。まるでキャンプで焚き火を囲んでいるようだ。石造りのサイド・ウォールから、流れ落ちる水の音が耳に心地よい。都会では得られない静寂を堪能できるスペースとなっている。この場所でのみ、喫煙も可能だ。

 

 

 

 

 ペットと一緒に宿泊できるから、愛犬家には特におすすめしたい。広々とした庭で走り回らせることができるので、ワンちゃんも大喜びだろう。ドライヤーやケージなど、ペット用のアメニティもリクエストに応じてくれる。

 

 

 

 

 キッチンとダイニング・スペースは、業務用のガスコンロ、ステンレスシンクやテーブルを中心に、センスよくまとめられている。オーナーがアパレル会社である所以だ。キッチンウエアはバーミキュラなどの一流ブランドが揃えられている。

 

 

 

 

 料理は“プリペアード・スタイル”と呼ばれる独特なもの。あらかじめカット、下処理された材料が用意されており、焼く、煮るなど最終段階のみ自分たちで仕上げるのだ。キャンプ料理の楽しさとレストランの手軽さのハイブリッド版といえる。仲間と一緒にワイワイとエンジョイしたい。

 

 

 

 

 メニューは六本木ヒルズ・西麻布に店を構える「豚組」が監修したもの。「ホットクックで作るじゃがいものポタージュ」、「バーミキュラポットヒーターで作る彩り野菜のラタトゥイユ」、「バーミキュラで作るポークスペアリブのジャム煮」、「溶岩プレートで焼く豚肉と鴨ロース」、「中が見える土鍋ごはん」などが供された。レシピはわかりやすく、調理器具は最新のものなので、誰でも失敗なく美味しい一皿を作ることができる。

 

 

 

 

 バスルームに足を踏み入れると、誰もが驚くことだろう。温水と冷水で分けられたふたつの浴槽は、レッドとブルーのLED証明で彩られ、天井にはミラーボールが回っているのだ。バスタイムはエンターテインメントの時間となる。

 

 

 

 

 浴槽の上には、ごろりと横になれるロフト・スペースが設けてある。天窓からは動く雲や星空を眺めることができる。浴槽に張られているのは、富士山に降った雨や雪解け水が、20年以上かけて浄化された天然の地下水である。

 

 

 

 

 バスルームの奥には、穴蔵のようなサウナルームが設えられている。4人程度なら同時に入室できる。サウナはコントロールパネルのスイッチにタッチするだけで、自動的に適正な温度となる。フィンランド製ハルヴィアのヒーターが採用され、サウナストーンに水をかけて、高温のロウリュを発生させることも可能だ。サウナと冷水浴を交互に繰り返し、身体と心を“整え”よう。

 

 

 

 

 バスタオル、バスローブ、パジャマ、バスソルト、シャンプー類、ハーブオイルなど、およそラグジュアリーホテルに備え付けられているアメニティはすべて揃えられているから、各人の着替えだけを用意して出かければよい。ブルートゥース・スピーカー、各種ゲーム類、アウドドア用の遊び道具なども揃っており、滞在を飽きさせない工夫がいっぱいだ。

 

 

 

 

 ベッドルームはふたつあり、ひとつには4つ、もうひとつには2つのセミダブルベッドが置かれている。2グループ、6名までの宿泊が可能だ。ベッドが4つある寝室には、マレーシア在住のアーティスト新田想氏による絵画が飾られ、ブラックライトで滝の絵が浮かび上がる仕掛けとなっている。

 

 

 

 

 ベッドが2つある寝室には、左官職人による富士の岩肌をイメージした壁画が掲げられている。それぞれフランスベッド社、日本ベッド社と異なるメーカーのベッドが置かれており、寝心地の違いを体験することができる。

 

 

 

 

 朝のコーヒーはロースターを使い、自らローストした豆を挽いて、極上の一杯を淹れることができる。焼き立てのホットサンドを頬張りつつ、楽しもう。

 

 ファミリーで、恋人と、そして大切な伴侶と、大自然に囲まれながらリラックスした一日を過ごすことができるアブラサスハウス富士は、新しい形のリゾートだ。大人気になるのも頷ける内容なのである。

 

 

https://abrasushouse.jp/