8 RAKISH TIPS FROM PITTI UOMO
ピッティ・ウォモで見たトレンド・キーワード8選
April 2024
メンズ・ファッション界における最重要な展示会「ピッティ・ウォモ」。ここではピッティ2024で注目を集め、装いのインスピレーションとなる8のキーワードを厳選した。新しい息吹を感じさせる、クラシックなアイテムを中心にご紹介しよう。
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ピッティ・ウォモは、2024年で105回目を迎えた。
Keyword 01: THE LONG COAT
ロングコート
今シーズンのピッティ・ウォモでは、2024〜25年秋冬における重要なアイテムとして、ロングコートに注目が集まった。洗練されたテーラーメイドのコートから、よりリラックスした、流れるようなラインのトレンチやラップコートまで、さまざまなスタイルがあった。素材もリッチなウール、ラグジュアリーなカシミア、革新的な防水素材などバリエーションに富んでいた。フォーマルなスーツにコートを羽織る人もいれば、チャンキーなニットやリラックスしたトラウザーズに合わせる人もいて、スタイリングはまちまちだった。ロングコートは多用途で、エレガントで、劇的なインパクトを持っている。実用的な冬服がファッションの最先端にもなり得ることが証明された。
Keyword 02: BROWN HUES
ブラウンの色合い
ピッティ・ウォモでは、多くのサルトリアリストたちがブラウンをワードローブに加えていた。ネイビーやグレーのバリエーションがテーラリングの世界を支配していた時代は過ぎ去った。ブラウンはもはや都会的な装いに使う色として敬遠されることはない。エレガントで洗練され、ドラマチックで、深みがある。チョコレート、テラコッタ、バーンオレンジ、ブロンズなど、さまざまな色合いが揃っている。ジャケットやコートに単色で使われるのに加え、グレンチェック、ガンクラブチェック、フェアアイルなどのトラディショナルな柄と組み合わされたアイテムも多い。装いの基本的なカラーとして、ブラウン系をチョイスする人が増えてきた。
Keyword 03: WESTERN INFLUENCE
ウエスタンの影響
ここ数回のピッティ・ウォモでは、アメリカのミッドウエスタン・スタイルがちらほらと見受けられた。しかし、今回ほど多くの人がウエスタン・スタイルを取り入れているのは初めてだった。タッセルフリンジ・ジャケット、厚手のチェックシャツ、ほつれたカットオフデニムジーンズ、ハイヒールのスエードブーツなどだ。大きめのカウボーイハットやコンチャベルト、バンダナを身に着けている人も目にすることができた。イタリアのファッションブランド、バルバネーラを例に取るまでもなく、ウエスタンとクラシックなテーラード・スタイルは相性がいい。ウエスタン・アイテムは、端正なサルトリアル・ワードローブに、男らしいワイルドさを加味してくれるのだ。
Keyword 04: IMPECCABLE DETAILS
完璧なディテール
例年通り、ピッティ・ウォモではディテールへのこだわりが最重要視されていた。クラフツマンシップによって作られたユニークなアクセサリーに注目が集まっていた。スタイルに敏感な人々は、特注のボタンホールやユニークなカフスボタン、カラーピン、芸術的な柄のポケットチーフや個性的な時計など、さまざまな手の込んだ装飾を披露していた。中には特注のアンブレラ、ブートニエール、クラシックなカメラを着こなしのアクセントとしている人も見受けられた。重要なことは流行のアイテムを身に着けるだけでなく、それらをどのように組み合わせ、調和のとれた個性的なコーディネイトを作り上げるかにあるのだ。
Keyword 05: HERITAGE PLAID
ヘリテージ・プレイド
昨年はランウェイの内外で、タータンチェックなどのトラディショナルなチェック柄が多く見受けられたが、それらは定着しつつあるようだ。ピッティ・ウォモでも、多くの人がヘリテージ・プレイド(伝統的な格子柄)を着用していた。今年のチェック柄はクラシックなタータンだけにとどまらず、さまざまなカラーパレットや線の太さをミックスした斬新なデザインが多く見られた。単色使いの服も、大胆で対照的な色の組み合わせの服もあり、チェック柄の可能性が追求されていた。トラウザーズ、ベスト、帽子まで、いろいろなアイテムにチェックが取り入れられており、ヘリテージ・プレイドの順応性と不変の魅力が示されていた。
Keyword 06: ELEGANT HEADWEAR
エレガント・ヘッドウェア
今年のフィレンツェでは、エレガントなハットを被っている人々の姿がひときわ多く見受けられた。ピッティ・ウォモで話題となったのは、イタリアを代表するハット・ブランド、1857年創業の老舗ボルサリーノが素晴らしいコレクションを発表していたことだ。比類なきクラフツマンシップと時代を超越した魅力を備えたボルサリーノの帽子は、アクセサリーを超えた、ラグジュアリーアイテムである。アイコニックなフェドラからコンテンポラリーなデザインまで、どのヘッドウェアもボルサリーノのレガシーを受け継いでいる。メンズウェアにおけるエレガントなアクセサリーとしてハットの重要性は増すばかりである。
Keyword 07: VELVET ACCENTS
ヴェルヴェットのアクセント
今回のピッティ・ウォモにおいて、デザイナーのステファノ・キアッサイがプロデュースしたインスタレーション「ヴェルヴェット・ミ・アモーレ」は、ファッションにおけるヴェルヴェットの不変の魅力と進化を浮き彫りにした。豊かな歴史を持つヴェルヴェットは、何年にもわたり、新たなフォルムと機能性を獲得し、愛され続けてきた素材である。いま再びトレンドとなっており、今年の来場者にも身に着けている者が多く見受けられた。伝統的な素材は、それぞれの時代のファッション文脈に合わせて再発明されていくのだ。ヴェルヴェットの魅力は、そのゴージャスな雰囲気にある。古きよき時代への郷愁を感じさせる素材なのだ。
Keyword 08: VINTAGE INSPIRED DENIM
ヴィンテージ・デニム
ヴィンテージ・デニムを着こなしに取り入れることは、洒落者たちの間ですっかり定着したといえるが、今年は1980年代風の5ポケット・ジーンズやデニムジャケットに注目が集まっている。このムーブメントの中心となっているのが、1949年創業、イタリア最古のデニムブランド、ロイ ロジャーズだ。80年代の特徴であるレトロな「ソルト&ペッパー」風に色落ちしたデニムを数多く取り揃えている。ブランドのアーカイブより取られたグラフィックのパッチやステッカーもユニークだ。デニム職人のクラフツマンシップによってヴィンテージ・アイテムを復活させるこの試みは、時代を超越したタイムレスなスタイルを愛するTHE RAKEの姿勢と完璧に一致している。