Wednesday, November 17th, 2021

スピードマスターの落札価格が
世界歴代最高額を更新

 ジュネーブのフィリップス・オークション・ハウスに出品されたオメガのスピードマスター CK2915-1が、予想落札価格の8万~12万スイスフランを大幅に上回り、世界歴代最高価格となる3,115,500スイスフラン(約3億8700万円)で落札された。

 このタイムピースは、1957年にプロフェッショナルウォッチ“トリロジー”のひとつとして発売されたオメガ スピードマスターの第1弾モデル。1957年から1959年にかけてのみ製造され、バリエーションはわずか3種類の「CK2915」である。第1世代の初期モデル「CK2915-1」は、コレクターの間で“ザ・グレイル(聖杯)”と呼ばれており、大変貴重なアイテムとなっている。

 特徴は、大きな”ブロードアロー”の時・分針、メタル製のベゼル、そして”OMEGA” の”O”の文字が楕円形になっていることなどで、それらが後継モデルとの主な違いだ。また、ベゼルにタキメータースケールを搭載した初のクロノグラフであり、頑丈で信頼性の高いムーブメントとして名高いキャリバー321を搭載した初のスピードマスターでもある。

 なんといっても目を引くのは、“トロピカル”と呼ばれるダイヤル。もともと黒だったダイヤルが、長年にわたって太陽の光を浴びることにより明るく鮮やかなミルクチョコレート色に変化したダイヤルのことで、これだけ全体が均一に変化しているものは貴重。何より、この時計がこれまで損傷を受けてこなかったことの証でもある。

 落札者は時計だけでなく、この時計が1957年11月22日に製造されたことを示すオメガのアーカイブ抄本、そしてオリジナルの製品資料も手に入れたという。オメガのスピードマスターが後世にまで価値を残すことが示されたオークション結果となった。