Saturday, May 30th, 2026
伝説の時計師が現代に改めて問う超複雑時計「クロノメーター FB 2TV.1」
クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーは昨年の10周年というアニバーサリーを経て、新しい幕開けを告げるコレクション「Mesure du Temps 1787」を発表した。その第一章を飾る「クロノメーター FB 2TV.1」は、2015年に発表され、現代の時計製造に衝撃を与えた初代キャリバー「FB-T.FC」の系譜を継ぎ、その構造を完全に再設計した野心的な一機だ。
白眉は、伝説の時計師が1787年に刊行した著書に敬意を表し、複雑機構を文字盤側で余すところなく披露した点。フュゼ・チェーンとトゥールビヨンを組み合わせた象徴的な調速機構は、改良を経て、まるで緻密な“コレオグラフィー(振付)”を披露するかのようなオープンワーク構造へと昇華された。さらに、フライングトゥールビヨンのキャリッジ、そして時計そのものを停止させる機能と、センター秒針をゼロ位置にリセットする機能をも有している。
かつて経度測定に挑んだ時計師の執念とそのストーリーを、現代の技術によって文字盤という表舞台で視覚化した本作。18Kゴールドの重厚なケースに封じ込められた知的な建築美は、歴史という名のロマンを腕に纏うことを愉しむ、真の審美眼を持つ者へ向けたタイムピースだ。
text: Nobuhiko Takagi














