SEIJI McCARTHY “Ethan”

THE BESPOKE MASTERPIECE 007:
セイジ・マッカーシーの“イーサン”

June 2022

手製靴のエレガンスと
米国顔が融合した新機軸

アッパー全体を横断するようにサドルを配したフルストラップのデザインや、力強いモカ縫いにアメリカンテイストを感じるローファー。キリリとした品格を放ちつつ、どこか親しみやすさも醸し出す独特の顔つきだ。アッパーはマッカーシー氏が好むホーウィンのシェルコードバン製。アメのようなツヤが魅力的だ。納期は約9カ月〜。¥506,000〜

 デビュー当初から異彩を放つ存在ではあったが、近年の成長ぶりには本当に驚かされる。

「かつては英国スタイルの靴作りを目指していたけれど、2015年に日本へ移住してから、自分のルーツであるアメリカに向き合おうと考えるようになりました。日本でいかにアメリカ文化が愛されてきたかを実感して、今までは見過ごしてきた母国の魅力に気づいたんです」とは本人の弁だ。

 すると瞬く間に、秘められていたさらなる才能が開花した。’21年に製作したばかりというローファー「イーサン」は、欧州スタイルを基盤とするビスポークシューメーカーが多い中で、飛び抜けた個性を放っている。米国的な力強さとビスポークの品格が見事に溶け合った絶妙なバランスだ。「ネイビーブレザーのように、ドレッシーにもカジュアルにも振れる“遊び”のある靴が僕のスタイルだと思っています」とマッカーシー氏。

 モデル名はブライスランズのイーサン・ニュートン氏へのトリビュートを込めたものだ。氏からはとりわけ強い影響を受けていると話し、イーサンもまた「セイジは最高にクールだ」と賛辞を惜しまない。創業して5年。その靴作りは、まだまだ進化しそうだ。

ウエストはグッと攻め込んだべヴェルドウエスト。アメリカンシューズにビスポークのエレガンスをミックスすることで、独自の作風を成立させている。インターナショナルな感性をもつマッカーシー氏ならではのバランスだ。

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スエードも
お気に入り素材
コードバンと並んでスエードも愛好するマッカーシー氏。「イーサン」を仕立てるなら、写真の2色がおすすめだそう。スエードの場合、ビスポーク価格は¥418,000〜

Seiji McCarthy / セイジ・マッカーシー1976年アメリカ生まれ。米国人の父と日本人の母をもつ。ロンドン、ベルリン、東京で靴作りを学んだのち、2016年に原宿のWFGマエストロサロンを拠点として活動をスタート。2021年に同じ原宿エリアに自らのアトリエを構えた。

セイジ・マッカーシーアポイントはメールにて受付。
info@seijimccarthy.com
Instagram @seijimccarthy

本記事は2022年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 44

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