PECO GINZA “Polo Coat”
THE BESPOKE MASTERPIECE 004:
ペコラ銀座のポロコート
June 2022
記念碑的マスターピース
基本的なデザインはマリオ・ペコラで学んだものを忠実に守りつつ、“見えないところにこそ入念に”という佐藤氏の信条のもと、ハ刺しひとつまで手間を惜しまず仕立てられている。パッチに見えるポケットはダミーで、中身は通常の切りポケットと同じ構造。モノを入れてもシルエットを崩さないようにという佐藤氏の配慮だ。納期は約4カ月〜。¥715,000〜
このポロコートがなかったら、サルト・佐藤英明は存在しなかったかもしれない。ミラノで本場の技を身につけた氏を手本とし、テーラーの卵たちが続々と旅立ちを決心したことを考えると、現在のニッポン・ビスポーク文化形成にも大きく影響している記念碑的なアイテムである。
もともとデザイナーを目指し、パリに学んでいた佐藤氏。ある日、アルバイト先のレストランで客から預かったコートを見て、電流が走ったという。タグを見ると“Mario Pecora”の文字。その瞬間に弟子入りを決意し、パリを離れてミラノへ。こうして佐藤氏はサルトへの道を歩み始めたのだ。氏にとって運命の一着となった存在だけあり、現在も非常に愛着をもって製作しているアイテムだという。
ところでポロコートは今、洒落者が密かに再注目するアイテム。カジュアルが主流となる中で、エレガンスを保ちつつスポーティに着こなすコートとしてこれ以上なく便利だからだ。これからの時代にいっそう輝く逸品である。
背中に大きなインバーテッド・プリーツを備えているのもポロコートの特徴。当然ながら手縫いで仕立てられているため、一着作るだけで相当な時間を要する。そのぶん、後ろ姿から立ちのぼるオーラも格別だ。
ロロ・ピアーナのビキューナ神の繊維と称されるビキューナ100%で織り上げた超希少生地。カシミアを超える繊細さをもつ。ちなみに仕立て価格は¥6,450,000〜。560g/m
Hideaki Sato / 佐藤英明1967年生まれ。1988年にパリへ、その後ミラノへ渡り、マリオ・ペコラのもとで修業。2000年に帰国し、ペコラ銀座を開く。最近、地元である千葉・館山に自身の生地コレク
ションを集めたギャラリーをオープンした。
ペコラ銀座東京都中央区銀座4-3-2 清水ビル3F
TEL.03-3535-6465
営業時間 11:00〜19:00※完全アポイント制
日曜・祝日定休
www.pecoraginza.com
本記事は2022年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 44