YAMAGAMI Masanori “KONPIRA”

THE BESPOKE MASTERPIECE 010:
やまがみまさのりの“KONPIRA”

June 2022

“あたりまえ”を突き詰めた
究極に誠実なドレスシャツ

最近になって「KONPIRA」と名づけた定番の襟型は、スーツのラペルやゴージとの相性を熟考して行き着いた独自のデザイン。納期は約4カ月〜。¥58,300〜

 山神氏のシャツはしばしば、“独特”とか“個性的”などと評される。しかしそれはむしろ、誰よりも真っ当に“あたりまえ”を追求した結果だ。かなり身頃側に入り込んだ位置に設定した袖山や、アームホールの上側を広く、下側を狭くする形で縫製した独自の袖付けは、いずれも肩回りの可動性を確保し、腕を上げても窮屈に感じないよう考案したもの。

“シャツの本懐は、ジャケットの下に着て、動いたときにストレスを感じさせないものである”。この至極真っ当な理念を形にするため、シャツ職人になる前にテーラーにも弟子入りし、キャリアの初期においてはわざわざジャケットの型紙を引いてからシャツの型紙を起こしていたそう。いやはや、眩しいほどに真っ直ぐだ。

 ドレスシャツ不況もどこ吹く風、山神氏のもとには顧客が引きも切らない。それはひとえに、氏が貫く究極に誠実なシャツ作りゆえだ。

「ボタンはシャツをシャツたらしめるアイデンティティ」と断言する山神氏。特注のボタンを製作し、留め外しのスムーズさを追求して根巻きの長さをひとつずつ変えるほどのこだわりようだ。もちろん山神氏自らの手縫いで付けられる。

ユニークな国産生地にも注目山神氏が今、注目するのはニッポンのシャツ生地。左は1897年創業の「林与」が手がけたシャンブレー、右は静岡を拠点とする福田織物のヘンプコットンだ。ともに独特な風合いが魅力で、程よいカジュアル感も備える。

Masanori Yamagami / 山神正則1976年生まれ。人間工学を研究したドレスシャツ作りで知られる。南青山のストラスブルゴ ハウステーラーズラボを経て2021年に独立。東京を中心に活動している。今後はアフターケアのサービスなども検討中とのこと。

やまがみまさのりオーダー場所などの詳細は下記にて要問い合わせ。
info@ymshirt.com
Instagram @masa_yamagami

本記事は2022年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 44

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