OSAKU “Kuzuri-Fabric Trousers”
THE BESPOKE MASTERPIECE 009:
オサクの葛利毛織生地トラウザーズ
June 2022
シルエット美が最高に輝く
尾作氏のシグネチャーとして知られる2プリーツトラウザーズ。アイロンワークによりM字型に生地を曲げることで抜群のシルエットを叶える仕立てのほか、腰回りに合わせてカーブさせたウエストバンドや段差を極力なくした玉縁ポケットなど、細部まで一切の隙なく作り込まれている。納期約1年〜。¥150,000〜
今や誰もが認める最高峰のパンタロナイオにして、自らを“愚直”と認めるほどにあくなき向上心を燃やす尾作氏。そんな氏が「自分の仕立てと最高の相性」と絶賛するのが葛利毛織のファブリックだ。日本の生地は非常に優れた品質を誇る一方、柄表現ではやはり海外勢が強い。ゆえにジャケットやスーツ用としては候補になりにくいが、パンツの場合それほど複雑な色柄は求められないため、国産生地に大きなアドバンテージが生まれてくるのだそうだ。
「葛利毛織の生地は、まるで良質なヴィンテージを思わせるクオリティです。英国生地のようにアイロンワークでシェイプを作りやすく、しっかりと形が残る。それでいて、ションヘル織機で織られているため空気をたっぷりと含んでいて、ふんわりとした柔らかさもあるのです。聞けば、織機に経糸をセットするだけで3日、そこから60m織り上げるのに3日かかるそう。とんでもなく時間を費やしているということです」
効率化など目もくれず、品質にとことん向き合う尾作氏と葛利毛織。同じ哲学を共有した職人によるシナジーは、想像以上のスーパー・クオリティとなって我々を驚かせてくれる。
ションヘル織機によって織られた葛利毛織「ドミンクス」の生地。仕立て映えするハリコシ、アイロンがよく効く保形性、上質な滑らかさを兼備している。目付けは360g/mで、真夏以外の2シーズン活用できるクオリティだ。
尾作氏別注生地も!葛利毛織に尾作氏が別注したWネーム生地でもオーダー可能。左はスーパー120’sの梳毛フランネル(500g/m)で、右は春夏向けのウールモヘア(300g/m)だ。ともにションヘル織機によるスローファブリック。
Hayato Osaku / 尾作隼人1978年生まれ。銀座の超一流テーラーを経て2007年にトラウザーズ専門の職人として独立。“パンタロナイオ”という言葉を世に広めたパイオニアにして、今もなお孤高のトップランナーとして邁進している。
オサク神奈川県川崎市多摩区生田7-10-6 PINE ONE生田102
※完全アポイント制
Instagram @osakuhayato039
https://milestone-spk.com/039
本記事は2022年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 44