Thursday, April 16th, 2015

インドのマハラジャ ーその知られざるライフスタイルー
in the land of KINGS

MAHARAJA OF BARODA
インド最大級の宮殿に住むマハラジャ

インド西部のグジャラート州にあるバローダ。
ここには敷地も建物も、その大きさで有名な宮殿がある。
マハラジャは今も、ここに住んでいるのだ。
photography takashi kobayashi
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HH Maharaja Samarjitsinh Ranjitsinh Gaekwad / マハラジャ・サマルジットシン・ランジットシン・ガイクワード1967年生まれ。母、妻、そして8歳と6歳の娘2人の5人で、この宮殿に暮らす。ビジネスとして、不動産業やゴルフ場経営も行う。ちなみに、ゴルフのハンディキャップは6。この日の服装は、インド人デザイナーに特注したリネンのジャケットスタイル。出席するイベントごとに服を注文するそう。

アート感覚溢れるセンス 法律によりアルコールが禁止され、タバコを吸う人も極端に少ないグジャラート州。そのためか、バローダは比較的にきれいな街並みが続く。そのなかでもひときわ目立つ宮殿がある。

 ここはインド最大級のお城。敷地は一般に開放されており、ゴルフコースや美術館も併設されている。そんな宮殿に住むマハラジャがサマルジットシン氏だ。

「元々は当時の王様夫婦二人だけのために作られた宮殿ですが、今は家族6人で住んでいます。一部は開放していますが、近い将来、ホテルにする予定です」

 宮殿を開放するのも納得だ。ため息が出るような美しい建築や装飾品の数々。マハラジャの鋭い感性が光る。

「代々アートを大切に考えてきました。常に海外から情報を取り入れてさまざまな美術品を購入してきましたし、父はロンドンで芸術を学び、絵を描いたり、アートの教師をしていたこともあります」

 自身が絵を描くことはないが、展覧会の企画やプロデュースに携わることも。なぜここまでアートにこだわるのか。

「次の代にきちんとこの美しい文化を伝えていきたい。人々にもアートの良さを知ってもらいたいので美術館を造りましたし、芸術家を育成するための学校も造りました。8歳の娘はまだ詳しくはわかっていませんが、既にアートに興味を持っていますよ」

What’s a Maharaja? マハラジャとは

 19世紀末、イギリス統治時代のインドには560あまりの藩王国が存在していた。イギリスはこの植民地を管理するにあたり、「マハラジャ」にそれぞれの国を治めさせた。「マハ」=偉大な、「ラジャ」=王、という意味が示す通り、彼らは広大な領土と圧倒的な権力、莫大な資産を所有し栄華を極めた。そして誰もが憧れるような、絵に描いたような生活を送っていたのだ。

 その後インドは、1947年にイギリスから独立。さらに71年の憲法改正により称号が廃止となったため、事実上、マハラジャはインドに一人もいないことになった。マハラジャたちの所有する領土や宮殿、所有物のほとんどは、中央政府に奪われた。そのため、中には没落していった王族もいるという。

 しかし今もマハラジャとその子孫たちは確かにインドに存在する。王侯の地位がなくなってもなお、その力は絶大だ。彼らの多くは、政治に携わったり、メンテナンスの目的を兼ねて、古くなった宮殿をホテルや博物館としてオープンするなどしている。彼らのライフスタイルとはいったいどんなものだろうか。6人のマハラジャのライフスタイルを探りに、インドへ向かった。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 02