FENDI 100 YEARS ANNIVERSARY

伝統と革新という二面性が紡いだ100年

March 2025

2025年、創業100周年を迎えたフェンディ。新モチーフ「フェンディ クレスト」が、メゾンの歴史を象徴しつつも、新たな未来へと導く。

創業時から続く「セレリア」で仕立てたアイコンバッグ創業当時、地元の工房だけが馬具製造に使っていたカーフレザーの「クオイオ ローマ」。この最高級レザーを日常的に愛用できる製品へと昇華させたのが、フェンディの「セレリア」ラインだ。熟練職人の手作業によるハンドステッチと、内側に取り付けられたシルバープレートが特徴。クラフツマンシップと美学が融合した「ピーカブー」は、優れた品質と機能美を兼ね備えたアイコンバッグであり、現代人にとって最高のステイタスシンボルだ。左:「ピーカブー ソフト ミディアム」H31×W38×D11cm ¥847,000 右:「ピーカブー ソフト スモール」H20×W25×D10cm ¥748,000 both by Fendi(フェンディ ジャパン Tel.0120-001-829)photo: Daniele La Malfa

 イタリアを代表するブランド、フェンディは、1925年にローマの小さなファー工房併設の皮革小物店として誕生した。創業者アデーレ・カーサグランデ・フェンディと夫エドアルド・フェンディが築いたブランドは、その後5人の娘たちによって発展し、1965年にカール・ラガーフェルドを迎えることで世界的なメゾンへと成長した。

 フェンディのアイデンティティを象徴するのが「二面性」だ。伝統と革新、過去と未来、エレガンスと遊び心―。対極にある要素を融合させ、常に新たな価値を生み出してきた。そのひとつの例が、カール・ラガーフェルドが「ファン ファー(Fun Furs)」という概念の頭文字をデザインした「FF」ロゴである。毛皮という伝統的な素材に遊び心を加えることで、メゾンの革新性を示すシンボルとなった。

 創業100周年を迎えた今年、フェンディは新たなモチーフ「フェンディ クレスト」を発表した。これは、メゾンの過去・現在・未来をつなぐ4つの象徴的なエレメントで構成された盾の紋章だ。まずは先述の「FF」ロゴ。そして、1983年に誕生し、控えめな贅沢さを象徴する、メゾンのトレードマークとして愛されているストライプパターン「ペカン」。また、ローマ神話のヤーヌス神をモチーフにした「ジャーノ・ビフロンテ」も重要な要素だ。物事の始まりと終わり、過去と未来を司る神であり、ローマとの強い絆を表現している。

 最後は、創業者アデーレへのオマージュ「フェンディ スクワレル」。夫エドアルドが「リスのように」と表現したアデーレの忙しく働く姿は、メゾンの礎を築いた情熱そのもの。彼女の献身と努力を讃えたリスのモチーフは、フェンディの根幹にある家族の絆をも象徴する。

「フェンディ クレスト」は今季、アイコンバッグ「ピーカブー」をはじめ、さまざまなアイテムに取り入れられている。100年という歴史を紡いできたフェンディは、そのレガシーを大切にしながら、これからも進化し続ける。次の100年に向けた旅は、今まさに新たな幕を開けた。

“フェンディ クレスト”をあしらったピーカブー最新作柔らかな「クオイオ ローマ」レザーと調和するよう、同色の光沢仕上げで「フェンディ クレスト」を施したスモールサイズが新登場。シームレスでなめらかな質感を実現。フェンディ イエローとライトダスティブルーの展開。「ピーカブー ソフト スモール」H20×W25×D10cm 各¥748,000 both by Fendi(フェンディ ジャパン Tel.0120-001-829)

左:30年代の、創業者アデーレ・カーサグランデ・フェンディ。夫エドアルド曰く「リスのように」働いていた情熱のある女性。ローマ・ピアーヴェ通りのブティックの店内にて。右:同じくローマのプレビシート通りにあった、フェンディの1号店(1926年撮影)。

左から:「ジャーノ・ビフロンテ」が施されたレザーバッグ(1985年)/ブラウンとタバコカラーのストライプ「ペカン」(1983年)/忙しく働いていたアデーレの象徴となったリスのモチーフ。

本記事は2025年3月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 63

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