Haimurubushi, Kohama Island
【試泊記】石垣港からフェリーで30分、小浜島にある日本最南端のアイランドビーチリゾート「はいむるぶし」へ
Saturday, November 8th, 2025
東京から飛行機とフェリーを乗り継ぎたどり着いたのは、時間の流れがまったく異なる小浜島。この島にある、雄大な海と空、静寂、そして満天の星空に包まれる「はいむるぶし」は、開業から40年以上にわたり愛され続けるホテルだ。今年8月の大規模リニューアルを経て、さらに快適で上質な滞在が叶う場所へと進化した。「はいむるぶし」での時間は、便利さではなく“豊かさ”を思い出させてくれる。
砂浜の白色から水色、青色から深いネイビー……自然が生み出すグラデーションほど人の心に色濃く残るものはない気がします。珊瑚礁に囲まれた八重山郡には、西表島や竹富島など数えきれないほどの美しい島がありますが、なかでもあのドラマ『ちゅらさん』で有名な小浜島には、いまでも信号やコンビニエンスストアもなく、手付かずの自然が多く残っています。島を一周しても1時間もかからないほどの小さな島です。
あの有名なシュガーロードは島の真ん中に今も健在で、風になびくさとうきびと、まっすぐ伸びる道の風景を見るだけで、張り詰めた心が解かれていくのを感じるでしょう。そんな小浜島で昔から愛されて続けているホテル「はいむるぶし」が今年大きなリニューアルを果たし、快適でラグジュアリーに生まれ変わったと聞き、試泊に訪れました。ホテルの名前を聞いたことのある方や、実際に泊まられたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
石垣港からのフェリーに揺られること30分。周囲がコバルトブルーの海へと移り変わっていく景色を眺めているうちに、小浜島に到着します。フェリーを降りた瞬間、すでに東京とはまったく違う時間の流れを感じます。そしてバスでゆったりと走ること約5分、あっという間にホテルへと到着しました。
「はいむるぶし」がこの島に誕生したのは、1979年のこと。東京ドーム8.5個分もの大きな敷地内には、客室やプール、プライベートビーチ、さらには昆虫館や大浴場まで擁しており、さらに睡蓮の池には水牛の“あずきちゃん”が暮らしていたり、愛らしい仕草で人々の心を和ませる山羊たち、リクガメまで敷地内で飼育されています。この日私が宿泊したのは、クラブラウンジアクセス付きの、ビーチフロントに位置する「オーシャンビューバススイート」でした。
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敷地内でともに暮らしているリクガメと水牛。
「オーシャンビューバススイート」のベッドルームより。大きな窓の外には海と空だけが広がる。
客室「オーシャンビューバススイート」の外にはバスタブとテラス、シャワーも完備。海風を感じながらバスタイムを楽しめる。
クラブラウンジでのチェックインを終えて部屋に入ると、目に飛び込んできたのは、水色の海と緑豊かな山並み、そしてどこまでも続く空。室内にいるのに思わず深呼吸してしまいました。テラスにはデイベッドとバスタブもあり、この最高のビューを見ながらゆっくりバスタイムを楽しめる特権付きです。室内は、広々としたリビングスペースとベッドルームを備え、デスクやコーヒーマシーン、お茶、冷蔵庫の中にはオリオンビールやさんぴん茶まで揃っていました。室内のバスルームもゆったりとした造りで、アメニティも充実していました。
ディナーのご紹介の前に、館内の施設について詳しくご紹介していきたいと思います。はいむるぶしでは、レンタルカートを利用するのがおすすめ。 敷地が広すぎるため(!)、各自で自由に運転していろいろと散策ができるようになっているのです。
さまざまな本が置いてあったり、電源付きのデスクも備えているパブリックスペース「Library Lounge」。夜にはこの場所でライブも開かれる。館内を彩るアート作品はこの土地にゆかりのあるアーティストのものばかり。居心地のよい空間が広がる。
まずクラブラウンジでは、朝の11時から19時までカクテルタイムで、ソフトドリンクの他にアルコール類やスイーツを楽しむことができます。しかも17時から19時のサンセットタイムには、軽いオードブルも登場。落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと夕焼けの時間を過ごすことができます。クラブラウンジアクセス付きの客室は20部屋のみ。混雑とも無縁です。
南の島で楽しみたいものといえば、やはり海とビーチ。はいむるぶしでは、年齢を問わずに遊べるガーデンプールとメインプール(いずれも12〜2月はクローズ)のほか、1年中開放されている(他のプールがクローズ中は時間を限定して年齢を問わず利用可能)16歳以上限定で利用できる、冬季には温水になるクワイエットプールがあります。メインプールとクワイエットプールは砂浜の目の前に位置しているので、海とビーチを一度に楽しめることも魅力のひとつ。しかも近くには、サウナクリエイティブ集団TTNE社監修のサウナや深めの水風呂もしっかり備えられています。外気浴用のデイベッドもすぐ近くにたくさんあるので、ととのいたい放題です。
ビーチの目の前に位置しているメインプール。
すぐ近くにサウナもあるクワイエットプール。
サウナからも海を一望できる。
アクティビティが非常に充実していることも、リニューアルとともにバージョンアップしたポイントのひとつです。ダイビングやスノーケルといった離島ならではのものに加え、海岸線を馬に乗って散策できる乗馬コースや、月光浴をしながら行うプールでのSUPヨガ、プールに浮かびながらクリスタルボウルの倍音を浴びるナイトフ
新設されたスパもすでに宿泊者の間で人気を集めています。国内のスパで初めて導入されるフランスPHYTOMERのオーガニックライン「シフォリア オーガニック」や沖縄自社養蜂のハチミツを使った国産ブランド「2830」などの本格的なトリートメントメニューが揃い、南国らしい香りに包まれながら心身ともにリセットすることができます。トリートメントルームの窓からは、時間帯によって刻一刻と表情を変える空と海が見え、まさに“癒やしの楽園”そのもの。アクティブに過ごしたあと、ここで全身をゆだねれば、旅の疲れもすっかりほどけていきます。
プールに浮かびながらクリスタルボウルの倍音を浴びるナイトフローティングサウンドバスや、その日最も美しい夜空スポットへ案内してくれる星空ガイドもおすすめ。
スパのトリートメントルームもすべてコバルトブルーの海に面している。
さて、旅の楽しみといえばやはり食。はいむるぶしでは、島の旬を生かした料理を味わえるレストランが複数あり、なかでもおすすめはメインダイニング「ザ・ステーキ&グリル」。この夜は、島野菜や近海で獲れた魚介をふんだんに使ったプレフィックスコースをいただきました。前菜、スープ、メイン、お食事、デザートの計5品の構成になっています。アラカルトも充実しているので、その日の気分によってぜひ使い分けてみてください。
なかでも印象的だったのは、やさしい甘みと香ばしさが広がる黒毛和牛のフィレステーキとガーリックライス。中はしっとり、外は焼き目をつけて香ばしく焼き上げられた肉は、まずはそのまま是非召し上がってください。塩コショウが際立てる素材の味わいを楽しめるはずです。そのあとは玉ねぎをふんだんに使ったシャリアピンソースとニンニクと生姜を使った醤油ベースの和風ソース、2種類を合わせて味変を。ワインも充実しているので、ソムリエに委ねるか、好みのものを是非合わせて楽しんでみてください。
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黒毛和牛のフィレステーキとガーリックライス。
食後は、ぜひ外に出て夜空を見上げてください。周囲に人工的な明かりがほとんどない小浜島では、満天の星空がまるで手の届く場所にあるかのように瞬きます。波の音だけが聞こえる静かな夜は、都会では決して味わえない時間です。
天気がよければ天の川もしっかり見られる。満点の星空。
翌朝はレストランでのブッフェ朝食で一日をスタート。人気のラフテーカレーや八重山そばなど、地元の味を取り入れた料理とともに、フレッシュなトロピカルフルーツや搾りたてのジュースが並びます。朝の光にきらめく海を眺めながら、ゆったりとした時間を楽しみました。
チェックアウトの時間が近づくころには、もうこの島の時間の流れにすっかり身を委ねている自分がいました。便利さを手放し、自然の豊かさに包まれる――そんな感覚を、ここでは何よりも鮮やかに感じられます。「はいむるぶし」は、日常をリセットし、静かな時間を取り戻したい人にこそおすすめしたい場所です。
はいむるぶし
沖縄県八重山郡竹富町小浜2930-1
TEL. 0980-85-3111





















