クルマ雑誌業界一の「カッコいいオジサン」
加藤哲也さん
Thursday, December 10th, 2015
加藤哲也さん
株式会社カーグラフィック代表取締役
interview kentaro matsuo photography tatsuya ozawa
私も末席に連なる出版業界で、“カッコいいオジサン”といえば、まず名前があがるのが、この方、カーグラフィック代表取締役の加藤哲也さんです。ご覧のようなハンサム・フェイスに加え、その着こなしはいつ見てもスタイリッシュ。クルマ系はファッション・センスが?(ハテナ)な感じの人が多いなか、加藤さんのスタイルは、郡を抜いているといえます。
「カーグラフィックに入社した当時、編集長だった小林彰太郎さんに言われたのです。『人と会うときは、必ずブレザーにタイを締めなさい』と。彼は当時から、正統ブリティッシュ・スタイルを貫いていました。今の時代は、フォーマリティがなさすぎてつまらない。最近になってそう感じ始めました。昔は、ちょっとしたホテルでも、ジーンズ姿では入れなかった」
その後訪れたヨーロッパでは、クラシックなお洒落に開眼します。
「当時はアルマーニやヴェルサーチが流行っていましたが、ミラノに行ったら、誰もそんな服は着ていなかった。皆、普通の服を着ている。しかし、カッコいい。初めて社会性とお洒落は、両立するのだと知りました」
以来、月に1,2回は海外へ出張し、様々なシーンに触れることになります。
「クラシックカー・ラリーの取材をした時、昼間は汗みどろになってクルマを走らせているドライバーたちが、たとえ安ホテルでもディナーの席では、きちんとしたジャケットを着用しているのを見ました。やはり、ヨーロッパの人たちの伝統とはすごいなと」
なるほど、加藤さんご自身の経験値も相当なものですね。
スーツは、ジャンフランコ・ボメザドリ。スマートな体型をキープするために、食生活に気をつけ、週1〜2回、5kmほど走っているそうです。
シャツはユナイテッドアローズ ザ ソブリンハウス。
タイはアリシアアダムスアルパカ。その名の通り、素材はアルパカ100%です。
「実は娘がPR会社に務めていて、これは彼女が扱っていたブランドなのです。何本かまとめて買いました」
時計はスミス・アストラル。60年代あたりのアンティークで、英国車のメーターでも有名な、スミス社が製造したものです。クルマを生業とする加藤さんにぴったりの1本ですね。
シューズはエドワード・グリーン。ヒースロー空港で買って以来、もう何回もソールを取り替え、愛用しているそうです。
「気に入ったら、同じものをずっと使い続けます。レストランも気に入ったところへ何度でも通う。タワシタ、ビスボッチャ、エリオ・・」
今日の愛車は、アルファ ロメオ4C。CAR GRAPHIC誌の長期テストリポート車で、この1年で3万キロ乗ったそうです。
「まるでゴーカートのようなクルマ。しかし乗り心地もいい」とご満悦。
気づいた方も多いと思いますが、今回の撮影は、横浜の赤レンガ倉庫の前にて行いました。加藤さんは現在横浜にお住いです。
「実は生まれは麹町で、育ったのは四谷です。結婚を機に横浜へ住み始めたのですが、とても居心地のいいところです。都心からクルマで30~40分程度ですから、まぁ用賀あたりに住んでいるのと変わらない。しかし、横浜には独特の文化の香りがありますね」
それはかつて、LINDYやリキシャルームに集まった、横浜の不良グループが醸し出していた、ちょっとキケンで怪しげな匂いのようです。
「ここには、当時の残党のような人たちが、いまだに生息しているのです。そういった人たちの仲間に入れてもらえたので、ますますこの街が楽しくなりました」
おやおや、「代取」の肩書をお持ちのジェントルマンには、どうやら“もう一つの裏の顔”があるようです。