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最高級の世界

#03 モータークルーザー:
LEXUS、海へ。

August 2021

1989年から世界の高級車市場に一石を投じ、実績を重ねてきたレクサスが、今度は新たな航海に出る。

車と同様に、既存のものとは一線を画したそのデザインは、ライフスタイルブランドの新たな提案のひとつとして、世界の注目を集めている。

 

 

text jun nakano

 

 

 

 2017年の1月、トヨタ自動車の豊田章男社長はマイアミにいた。世界各国のジャーナリストを集めたイベントで、新しいコンセプトのプロトタイプを発表するのがその目的だったのだが、驚いたことに氏は海からボートに乗って現れる。

 

「 新しいレクサスのコンセプトと、ストーリーをお話しするために」と語り出した氏は、いつもより楽しげに見えたと記者はいう。大学時代はホッケー部に属し、日本代表にも選ばれた。アメリカ留学時代はゴルフに没頭し、投資銀行を経てトヨタ自動車に入社してからは、テストドライバーとして自身の腕も磨いた。以来モータースポーツはもちろん、サッカーやバスケットボールにも理解を示す根っからのスポーツマン。風を切るマリンスポーツも、氏の範疇のひとつなのだろう。

 

「チーフブランディングオフィサーとして、レクサスをカーブランドから“ライフスタイルブランド”へ昇華させたい。さまざまな仕掛けが必要で、そのひとつがボートでした。海で体験できる感動的な物語を、レクサスというブランドで伝えたい」

 

 

光を十分に取り入れることができる開放的なキャビン。フロアにはレクサスのエンブレムを模したグラフィックが入る。

 

 

 この日、氏が乗ってきたボートはコンセプトモデルのパワーボートだったが、昨年秋に発表されたモデルは最大乗員15名という、よりラグジュアリーなモデルとなり、2019年後半にアメリカで、20年春に日本で発売予定だという。価格は未発表だが、ヤマハの豪華クルーザー「EXULT43」が全長43フィート(14.84m)で1億5000万円弱。この数字を上回るのは確実だと予想されている。

 

年配の読者なら、かつて日本車は北米で 「安全で快適だが退屈」と言われていた時期があったことを覚えているだろう。「LEXUS」はそのイメージを打破するために作られた。以来30年余り。レクサスの「L」は「Luxury」の「L」であり、「Leading edge」の「L」であることを彼らはもちろん、私たちも知っている。海を行くレクサスもそのコンセプトで、豊田氏の愛する暮らしのひとつを、具現化してくれるに違いない。

 

 

LEXUS LY650

車を通して伝えてきたデザインフィロソフィーを、今度は全長65フィート(約20m)の船という形で具現化する。そのデザインは、これまで海ではなかなか出会えなかった「色」を始め、船首から船尾に至るまでの立体的なフォルム、優雅な曲線、クーペを思わせるルーフラインなどのスタイリングに表れている。

主要諸元:全長:19.96m/全幅:5.72m/最大人数:15人/エンジン:Volvo Penta IPS1350/1200/燃料タンク容量:3800ℓ/清水タンク容量:850ℓ/客室数:3部屋(ベッド6名対応)/価格:未発表 Lexusレクサスインフォメーションデスク Tel.0800-500-5577

 

 

 

 

本記事は2019年5月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue28