THE RAKE × FUJITAKA

機能的でモダン、しかも長持ち。渾身の“黒トート”&“黒長財布”

November 2023

独ワインハイマー社のカーフは、世界最高のクオリティだといわれる。この至高の素材を生かすため、シンプルかつ機能的な、コラボ・プロダクツを企画した。

 

 

text kentaro matsuo

photography tatsuya ozawa

 

 

シンプルなトート&長財布。独の名門タンナー、ワインハイマー社の看板素材、ブラックのシュリンクレザーを使用。この素材は数々の名作シューズやバッグに使われてきた。イタリアやフランスの革を華やかとするならば、ワインハイマーは「質実剛健」そのものである。黒トート:W35×H34×D10cm ¥297,000(限定10個) 黒長財布:W19.5×H10×D2.5cm ¥96,800(限定10個)Fujitaka 

商品についてのさらに詳しい情報、価格、購入方法などはこちらからFUJITAKAのサイトへ。

 

 

 

 前回Issue49(2022年11月)にて発売したTHE RAKEとFUJITAKAのコラボ・バッグが大好評だったゆえ、早くも第2弾がリリースされることとなった。FUJITAKAは、1941年創業の老舗である。モノづくりの街、東大阪・八尾市に専用工房を構えている。革の加工・縫製の技術力は日本有数といわれており、欧州の一流ブランドにさえ引けを取らない。FUJITAKAの鞄は、日本人らしい丁寧な仕事で知られている。革の厚み調整や内部の構造など、目に見えないところに手がかけられている。その結果、卓越した機能性と高い耐久性を得ているのだ。

 

 今回、素材として採用したのは、独ワインハイマー社のカーフ・レザーである。ワインハイマーはかつての名タンナー、フロイデンベルグの流れを汲む名門で、ここのボックスカーフは世界一と言ってよい。色は黒と昔から相場が決まっている。厚手だがしなやかで、もっちりとした質感を持つ。緻密な肌は、決して他では得られないものである。世界中の一流ブランドに愛されており、引っ張り凧になっている。国内の流通量は少なく、大変希少なレザーである。だから、今回のプロジェクトは、この素材ありきで始まった。最高級素材をいかにして生かすか。デザインはごくシンプルに、金具類も決して目立たぬように……。そしてオール・ブラックのコンセプトが固まった。

 

 金具はすべてがブラックアウトされている。こうすると製品全体がシャープに引き締まり、革の持つ素材感がより強調されるのだ。近頃は、トラッドな装いにもブラックを取り入れモードっぽく仕上げる着こなしが注目されているが、そんなコーディネイトにもピッタリである。

 

 

 

世界の超一流ブランドに愛されるワインハイマー社のカーフレザー

ドイツ、ワインハイマー社のカーフは80以上ものプロセスを経て製作される同社の看板製品である。その品質は折り紙付きで、世界の超一流ブランドに愛されている。ワインハイマー社の前身は1849年に創立された、ハインツェ&フロイデンベルグ社である。クローム鞣しを開発し、かつては欧州最大のタンナーとして名を馳せた。2003年にワインハイマーとして独立し、150年以上にも及ぶ歴史を継いでいる。

フロイデンベルグのレシピを継承したワインハイマーの工場では昔ながらの製法により極上の皮革が作られている。左はステーキング(ヘラ掛け)という作業。専用機でもみほぐし、革に柔軟性や弾力性を与えている。工場内にはさまざまな種類のレザーが並べられている。

 

 

 

究極のトート

 

 ひとつめはトートバッグである。昨今ブリーフケースに代わって、通勤鞄の主役はトートに移ったようだ。オンとオフ両方に似合う汎用性がウケているのだろう。しかし出自がカジュアルだけに、大人の男が持つに足る、ハイクオリティなトートは、なかなか見受けられなかった。今回の“黒トート”は、高級ビジネスバッグとして十分通用するモデルを目指している。端正な正方形に近いデザインは、美しさと機能性を両立させたものだ。一見シンプルだが、内部構造にこだわり、使いやすさを追求している。A4サイズの書類は十分収納できるが、混雑した公共交通機関や飲食店での置き場を鑑み、不必要に大きくはしなかった。

 

 メインコンパートメントはセキュリティ面に配慮しファスナーによる開閉式とした(トートバッグ最大の弱点は盗難・紛失に弱いことである)。しかしトートならではのアクセスのよさも残すため、両脇に大きなスリットを設けてある。とにかく、「かゆいところに手が届く」ことを目指した。

 

 

左:一見すると縦型だが実は横幅のほうが長い。膝の上に置いてはみ出ないことに留意した。ハンドル部分の作りには特にこだわり、丁寧なコバ仕上げなどで持ちやすさを追求した。中:マチは大きすぎず、小さすぎずの10cm。床や机上に置いたとき、自立することにこだわった。エッジのパイピング部分の芯にもレザー素材が使われ、耐久性を高めている。右:内装にはグレーのスエード調生地を使用。中身がよく見え、取り出しやすい。また携帯電話やタブレットを入れたときに、表面が傷つかないよう滑らかな素材となっている。

 

 

マチ付きポケットで開きやすい!

メインコンパートメントの両脇のスリットには、特殊なマチが付けられ、書類や携帯などの出し入れがしやすい。

 

 

左:本体と同じ素材で作られたオールレザー製のショルダーストラップが付属する。ギボシによって長さの調節も可能。右:金具はマット調のブラックが採用されている。本体のみならず金具まで黒で統一され、実にシャープな印象である。

 

 

 

あえて今、長財布を

 

 さて、もうひとつの製品は長財布である。それも大容量を誇る大型のものだ。近頃、財布のサイズはどんどん小さくなっているという。キャッシュレス時代なので、もはや財布そのものを持たない人も多いらしい。しかしながら私の場合、財布に入れなければいけないものは増えるばかりである。クレジットカード、メンバーカード(最近はどこへ行っても会員にならないかと言われる)。そして領収証の山……。クルマで移動する際は、どうしても現金も持たなければならない。これは駐車場のせいだ。自動精算機が発達した日本では、皮肉なことにキャッシュレス化が進まないのだ。

 

 そこで発想を変え、思い切り収納力の高い財布を企画した。これもカーフの素材感を生かしたシンプルな意匠。180度開く大きなラウンドファスナーで、財布全体をぐるりと閉じることができる。内側には19枚分ものカードスリットや、大きなマチ付き札入れ、ポケットが装備されている。財布自体のマチテープが広いので、収納力に十分な余裕がある。携帯電話を中に入れて持ち運ぶことも可能だ。これひとつで、外出用のポーチとしても使えるというわけだ。

 

 

 

19枚も入るカードスリット、マチ付き札入れ×2、ポケット×3を備える。本体は180度大きく開き使いやすい。マチテープは2.5cmと広めのものが使われており、収納力に優れている。このデザインの財布は古くからFUJITAKAにて作られているロングセラーであり、各部分が考え抜かれており使いやすい。ロゴは富士山と鷹を組み合わせた縁起のよいもの。

 

 

 

 楽しみなのはエイジングである。ワインハイマーのカーフは、使い込むほどに味が出ることで有名だ。そしてFUJITAKAの鞄作りは、とにかく長く使えることを一番としているのである。黒トート、黒長財布は、あなたのよき伴侶として、末永く寄り添ってくれるだろう。

 

 

完成した鞄と財布を持つ、THE RAKE JAPAN編集長・松尾。どちらも携帯するのにぴったりなサイズ。デザインがシンプルなので、合わせる服を選ばない。スーツやジャケット・スタイルはもちろん、カジュアルにもよく似合う。日々の鞄と財布は、このふたつだけで事足りるはずだ。

商品についてのさらに詳しい情報、価格、購入方法などはこちらからFUJITAKAのサイトへ。

 

 

 

 

FUJITAKA
大阪を、そして日本を代表するレザー・ファクトリー

FUJITAKAは創業1941年の老舗である。東大阪・八尾市に工場を構えている。FUJITAKAブランドについては、100%自社生産を貫いている。600坪を誇る広い敷地内に、モダンな社屋が建てられており、50名を超える職人が働いている。FUJITAKAの製品を手掛けられるのは、その中でも選りすぐられた一部のエキスパートのみである。特に優れているのは、経験から導き出された複雑なパターンの設計、革の厚みを自由自在に調整する削ぎのテクニック、パイピングやコバの処理などの丁寧な仕上げなどである。目に見えないところに手間をかけることを信条としており、芯地や内部構造にも決して手を抜かない。海外の超一流ブランドにも引けを取らない技術力は、日本のみならず世界的な評価を得ている。

工場長の和地康晃氏(中央)とスタッフ。

革は使う部位によって細かく厚さを調整される。仕様書には革の厚さがコンマ2桁ミリまで指定してある。

丁寧なコバ磨きの工程。

 

 

お問い合わせ先

イケテイヴィラ東京 TEL.03-3861-6276