若きエリートの見る未来
“ニュー&リングウッド”

メンズウェアの確定した未来
　メンズウェアというカテゴリーは非常に巨大で、多くのサブセクションがありますが、将来的には、どの分野にも浸透していくと思われることがあります。それは日常における着こなしは、どんどんイージーになっていくということです。それは間違いないと思います。一度快適になってしまうと、そうでない状態に戻るのは難しいですよね？　私たちが考えなければいけないのは、人々がよりリラックスした服を求めているときに、どうやってスタイリッシュさを保つかということです。

　私たちのコア・ヴァリューである、時代を超越した、アイコニックで、ユニークで、長持ちする服という伝統を守りつつ、生地や縫製技術にポジティブなイノベーションを導入する必要があります。難しいのは、快適さを追求しすぎてしてしまうと、耐久性やクオリティ、服を着る楽しみなどが失われてしまうところです。それに服が提供する快適さの第2の部分＝“TPOに合った装い”ということを犠牲にしてしまうかもしれません。まだ始まったばかりだというのに、部屋着ビジネスが爆発的に伸びているのは間違いありません。しかしだからといって、人々がパジャマやドレッシング・ガウンを着て街を歩くわけではありません。みんながどこでもトラックスーツを着ることもないでしょう。

　ロックダウン中に実感したことのひとつは、リラックスできる服というのは、よりフォーマルな服を着ることからの“休憩”であるということです。もしウィークデイがなければ、ウィークエンドの楽しみもないでしょう。それは陰と陽の関係なのです。