若きエリートの見る未来
“ニュー&リングウッド”

生かされていないブランド
　初めてニュー＆リングウッドというブランドのことが気になったのは、2015年に買収され、事業を拡大しようとしているときです。私はこのブランドのことをずっと知っていました。それは主にソックスのブランドとしてでしたが……。ジャーミン・ストリートのショップを歩いていて思ったのは、ここには大きな可能性があるのに、それが生かされていないということでした。どうすればいいのか？　当時の自分は何のキャリアもなかったので、まずはEコマースのスタートアップ企業に入社し、アクセラレーター・プログラムに関わりました。2019年の初めに、私の視点がブランドにとって興味深いものであるかどうかを確認するために、もう一度連絡を取りました。

人々はジャーミン・ストリートを歩かない
　多くのジャーミン・ストリートのブランドは、歴史は長いけれど、その規模は小さなものです。しかし、彼らが生産しているものは、巨大ブランドが作るものより、もっと価値があることが多いのです。問題は、ほとんどの人が日常生活でジャーミン・ストリートを歩かないということです。そして多くの人が、以前とは異なる方法でブランドを見つけています。ニュー＆リングウッドを見ていて感じたのは、ストーリーを新しい顧客に伝え、進歩的であることを表現すべきだということでした。どのようなブランドでも、自分たちのDNAとは何かをしっかりと考える必要があります。そしてそれを、環境に合わせて進化させていかなければなりません。例えばイートン校との関係は、私たちの素晴らしい財産です。

　イートン・ハイ・ストリートのショップでは、今でも生徒たちが制服を買っています。私たちのブランド、その商品や姿勢は、紳士服の中心地であるジャーミン・ストリートでの、100年の歴史の中で培われてきたものです。しかし、私たちが今、しなければいけないことは、ブランドのアイデンティティを踏まえつつ、物理的な場所や学校に縛られているのではなく、空間や時代を超えた存在になることではないでしょうか？

ニュー＆リングウッドのヒット商品、シルク製ドレッシング・ガウン。

ツイル製ジャケットとフラット・フロントのトラウザーズ、グリーンのベンガル・ストライプ・シャツ、グリーンのシルクタイ。

スカル＆クロスボーンズ・シルク製ドレッシング・ガウン。

イエローのレインコート、水玉のシルクタイ、プリンス・オブ・ウェールズ・チェックのスーツ。