THE NEW TESTAMENT
若きエリートの見る未来
“ニュー&リングウッド”
November 2020
text nick scott
中国のスーツ工場での思い出
私が15歳のときに、私の未来を感じさせる出来事がありました。なぜか家族と一緒に中国のスーツ工場にいたのです。どうやってそこにたどり着いたのかはよく思い出せません。そこで仕立て職人のひとりが、ジャケットがどう作られるのかを説明してくれました。生地の巻き方や裏地を見せてくれ、自分でカスタマイズする方法を教えてくれたのです。外見はごく普通のスーツなのに、内側には素敵なライニングが付いている、とてもいいスーツでした。それが作られる過程に魅了されました。
大学では自分でジャケットのビジネスを始めたいと思っていました。コンセプトは、そのときにつまらないと思ったジャケットよりも、もっと面白くて奇抜なジャケットを売るというものでした。幸いなことに、そのプロジェクトは途中で断念しました。今ではローイング ブレザーズのほうが、当時の私よりもずっとよい仕事をしていると思います。
大学在学中にトーマス ピンクで初めてインターンシップをしました。友達はみんな経営コンサルタント会社や銀行に行っていましたが、それらのキャリアは自分には向いていないとはっきりとわかっていました。その夏は本当に目を見張る経験をしました。ブランドの内部を観察し、すべてのものがどのように組み合わされているのかを目の当たりにして、畏敬の念を抱きました。同時に、この業界で成功するために、マスターすべきことのリストがくっきりと見えてきました。