The new GLC
新しいライフスタイルが始まりそう
May 2023
Mercedes-Benz GLC 220 d 4MATIC(ISG搭載モデル)MP202301写真はAMGライン(オプション)で、立体的に配されたスリーポインテッドスターによるスターパターングリルが装着されている。ヘッドライトはDIGITALライトで、130万個の微少な鏡の屈折を利用し片側のみの解像度は130万画素を誇る。全長×全幅×全高:4,720×1,890×1,640 mm ¥8,200,000~(メーカー希望小売価格)※写真の仕様・装備は、日本仕様と異なります。※価格には付属品価格及び税金(消費税を除く)、保険料、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
1990年代、日本の自動車マーケットは“ワゴンブーム”に湧いていた。「ステーションワゴン」「ツーリング」「アヴァント」などと呼ばれたそれらのモデルは、そもそも食料品などをまとめ買いする慣習のある欧米のライフスタイルで重宝されていたボディ形状だった。その頃の日本では、輸入車のワゴンもあったとはいえその種類はまだ少なく、ボディ側面に会社名が書かれたような商用ユースの“バン”がほとんどだった。
1990年代というのは、実は日本に続々と輸入車メーカーの日本法人が設立され、積極的に日本導入車種を増やしている時でもあった。日本人にとって、“バン”とワゴンの差が曖昧だったところに現れた輸入車のワゴンは、スタイリッシュでモダンであり、明らかに“バン”とは異なる雰囲気を身にまとっていた。その都会的なデザインは、時にワゴンが持つ機能性よりも魅力的に映り、所有することで日々の生活に彩りを添えてくれると思われるようになっていった。荷物なんか積まなくてもその格好が気に入ってワゴンに乗る人が増えていったのである。
昨今のSUVブームはこのワゴンブームに似ている部分があると思う。オフロードを走ったり、ラゲッジルームに荷物を満載にしたりする機会などほとんどなくてもSUVが好まれるのは、スタイリングに惹かれるという理由も多い。SUVもひと昔前までは、道なき道を進むための道具みたいな無骨なスタイリングが多かった。ところが最近のSUVには、所有すると何か新しいライフスタイルが始まるかのごとき想像を掻き立てるエクステリアデザインも見られる。そのひとつが、メルセデス・ベンツ GLC である。
2015年に登場したGLCは2020年と2021年にメルセデスの中でベストセラーSUVとなったモデルで、全世界で累計260万台もの販売台数を記録(前身のGLKを含めた累計販売台数)。初代にしてメルセデスの屋台骨とも呼べる存在となった。
2代目となる新型GLCは、初代のコンセプトを継承しながらもデザインや技術、装備は最新のメルセデスのそれに準じたアップデートが図られている。
ボディサイズは従来型と比較して全長で50mm、ホイールベースで15mm、それぞれ長くなっているものの、幅の狭い道やパーキング時などに気になる全幅は1,890mmから変更ない。全長とホイールベースの延長は主に後席とラゲッジスペー囲気を身にまとっていた。その都会的なデザインは、時にワゴンが持つ機能性よりも魅力的に映り、所有することで日々の生活に彩りを添えてくれると思われるようになっていった。荷物なんか積まなくてもその格好が気に入ってワゴンに乗る人が増えていったのである。
昨今のSUVブームはこのワゴンブームに似ている部分があると思う。オフロードを走ったり、ラゲッジルームに荷物を満載にしたりする機会などほとんどなくてもSUVが好まれるのは、スタイリングに惹かれるという理由も多い。SUVもひと昔前までは、道なき道を進むための道具みたいな無骨なスタイリングが多かった。ところが最近のSUVには、所有すると何か新しいライフスタイルが始まるかのごとき想像を掻き立てるエクステリアデザインスの拡大に充てることで、快適性や機能性の向上を実現している。
ホイールベースを延長すると物理的に取り回しが悪くなる傾向にあるが、延長分はわずか15mmで操縦性に大きな影響は与えない範囲だが、それでもやっぱり気になるという声に応えるべく、オプションで後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」を用意した。最大で4.5度(欧州参考値)まで後輪に舵角が付くので、最小回転半径はわずか5.1mに抑えられている(リア・アクスルステアリング装着時)。快適性や機能性と引き換えに少しでも操縦性に影響が出るのであれば、それは最新技術によって直ちによりよい方向へ改善する。ある部分がたとえマイナスになっても、すぐにゼロかプラスに変えるメルセデスの技術力とプライドには、相変わらず頭が下がるばかりである。