THE MOST EXCLUSIVE PRIVATE CLUBS IN THE WORLD
世界最高級のプライベートクラブを知る
February 2024
名声と特権……謎めいた社交界をかたどる、世界で最も高級な11のプライベートクラブをご紹介する。
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translation shuntaro takai
上流階級、秘密主義、豪華絢爛、唯一無二。一部の特権階級のためであり、全ての紳士を対象とはしていない。これから紹介するのは世界で最も高級なプライベートクラブであり、ミーティング、ビジネス、リラクゼーション、ウェルネス、そして楽しむための魅惑的な場所である(もちろん多額の手数料を支払う必要があるが)。各クラブのメンバーの中には、有名人、ビジネスマン、作家、俳優、モデル、デザイナーなどがいる。謎に包まれた社交界をかたどる、ベルベット・ロープの向こう側をのぞいてみよう。
アメリカ
イエローストーン・クラブ(モンタナ)
モンタナ州のロッキー山脈に位置するこのプライベート・レジデンス・コミュニティは、トム・ワイスコフ設計の18ホールのゴルフコースと2,700エーカーの世界クラスのスキーゲレンデを擁している。15,200エーカーの広大な敷地が広がっており、エクスクルーシブでラグジュアリー、かつプライバシーを保証する驚くべきレジャー施設だ。
会員になるには200万ドルから2500万ドルの物件を購入する必要があり、入会金は40万ドル(年会費は44,000ドル)。2001年にティム・ブリクセスと彼の元妻エドラによって設立されたこのクラブは、2009年(前年にブリクセスが破産宣告を受けた後)、ボストンを拠点とするアメリカの投資会社クロスハーバー キャピタル パートナーズの共同設立者兼マネージングパートナーであるサミュエル・T・バーンによって買収され、1億1500万ドルが投資された。クラブのメンバーには、トム・ブレイディやジゼル・ブンチェン、ジャスティン・ティンバーレイクやジェシカ・ビール、ビル&メリンダ・ゲイツ、グーグルの元CEOエリック・シュミットなどがいる。
コア・クラブ(ニューヨーク)
マンハッタンの中心部、イースト 55th ストリートに位置する超富裕層のパラダイス「コア・クラブ」は2005年にジェニー・エンタープライズによって設立された。メンバーは、ヘイン・セレスティアル・グループ(オーガニック・ナチュラル食品の巨大企業)の創業者アーウィン・D・サイモン、スカイブリッジの創業者アンソニー・スカラムッチ、ヘッジファンドの億万長者スティーブン・A・コーエン、スターバックスの元CEOハワード・シュルツ、マイクロソフトの元最高技術責任者ネイサン・ミルボルドなどだ。
このクラブは、アンディ・ウォーホルなど一流の現代アーティストを含むアート・コレクション、以前はシェフのベルナルド・リベラトーレが、現在はダヴィデ・ヴェントゥリーニが経営するレストラン、スパ付きジム、スキンケアとアンチエイジングのための最先端のシステムと設備を備えている。最後に、2階には4つのスイートルームと、プライベート上映やムハマド・ユヌスやジェフ・クーンズなどの講演が行われる映画館がある。会費は年間5万ドル。
ドバイ
キャピタル・クラブ(アラブ首長国連邦)
ドバイの金融街に位置する中東の中心的存在で、ドバイで最も影響力のあるビジネスマンが集う場所である。クラブにはレストランに加え、約100銘柄の葉巻を取り揃えたシガールームやモダンなウェルネスセンター、アートギャラリー、ルーフトップバー、24時間バトラーサービス付きの豪華なジュニアスイート4室がある。招待制のみ。
香港
アバディーン・マリーナ・クラブ(アバディーン)
アジアの大都市で、最も格式の高いプライベートクラブのひとつであることは間違いない。1984年に設立されたこの威風堂々たる建物は、街の喧騒から離れたウォーターフロントを見下ろす場所にある。ヨットの係留やメンテナンス・サービスに加え、バドミントンコート、ボーリング、プール、ヘルス&フィットネス・プログラムなど、さまざまなレジャー施設を提供している。また同クラブはグルメな紳士にも理想的な場所。レストラン「The Marina Grill」では西洋料理、「The Horizon」では中華料理を、「The Deck」ではインターナショナルブッフェやアジア料理を中心としたアラカルトメニューを楽しめる。「La Cave」では高級ワインも取り揃えている。
モンテカルロ
サーティナイン(モナコ公国)
モナコ在住のスコットランドの元ラグビー選手ロス・ビーティーによって2006年に設立されたこのクラブは、贅沢かつ、健康的でバランスの取れたライフスタイルを実現するためのリラクゼーションとウェルネスを用意したオアシスである。このクラブでは、会員が最先端のスポーツ器具やパーソナル・コーチング・プログラムを利用することができる。
「サーティナイン」の料理は、ゴードン・ラムゼイやゲイリー・ローズの元で働いた後、モンテカルロ・ビーチ、Avenue 31、Twiga、Ciprianiで腕を振るったニュージーランドの若手シェフ、デイヴィッド・ナップに任されている。この施設には、会員でなくても利用できる美容院とスパを備えた「Studio 39」があり、権威あるメゾン「ビオロジック・ルシェルシュ」の天然製品を使用したスパが最近ビオロジック・アワード・オブ・エクセレンスを受賞した。テラス付きのプライベートラウンジ「Blue Room」もある。また、SBMグループの全ホテルおよび「ル・メリディアン・ビーチプラザ」の割引料金、ウィーンのスポーツジム「ペントハウス・スポーツ」への無料入場、シンガポールの「タワークラブ」とアテネの「タトイクラブ」へのアクセスなど、会員ならではの特典も用意されている。個人年会費は4,900ユーロ。
パリ
シレンシオ・クラブ
アレクサンドル・ギルキンゲによる「シレンシオ・クラブ」は、2区のパリ証券取引所からすぐ、ヴィル・リュミエールの中心に位置し、かつては社会主義者ジャン・ジョレスの『リュマニテ』や、ドレフュス事件で有名なエミール・ゾラの公開状《私は弾劾する!》が掲載された『オーロール』などの左翼雑誌があった歴史的建造物のなかにある。デイヴィッド・リンチが、デザイナーのラファエル・ナヴォ、建築スタジオのエニア、照明デザイナーのティエリー・ドレフュスと共同で設計したシレンシオは、2011年以来、デザイナー、作家、ミュージシャン、俳優など、芸術家や最も華やかな社交界のエリートを迎え、さまざまなイベント(シャネル、エルメス、バレンシアガ、カニエ・ウェストによるパーティなど)を開催している。
金箔を貼った迷路のようなトンネル、ドモー&ペレーズの特注家具、鏡張りの天井、アート作品、大理石の壁など、細部に至るまで2001年の代表作『マルホランド・ドライブ』のクラブを彷彿とさせる。700平方メートルのスペースには、写真ギャラリー、プライベートエリア、フモワール、2つのバー、映画館、図書室、ステージがある。気になる会費は、ラ・カルト・プラスで年間1,680ユーロ、ラ・カルトで900ユーロ、30代以下とフランス国外在住者は600ユーロだ。
ロンドン
マークス・クラブ
メイフェアの中心に位置し、英国のエレガンスと高級感を象徴している。「マークス・クラブ」は、卓越したサービス、豪華なインテリア、静かなガーデンテラスで知られる会員制プライベートクラブ。1972年に設立されたこのクラブは、ロンドンのエリートが集う憧れの場所となり、食事や社交、プライベートイベントに最適な空間を提供している。クラブは厳格なドレスコードを守っており、そのクラス感と秘匿性で有名だ。
アナベルズ
ロンドンの社交界で伝説的な存在である「アナベルズ」は、起業家マーク・バーリーが1963年にオープンして以来、国際的なジェットセッターたちを迎えてきた。最近、クラブは豪華に改装され、クラシックな魅力を失うことなく、21世紀の見事なプライベートクラブに生まれ変わった。折衷的で華やかな内装の「アナベルズ」では、ワールドクラスのダイニング、ナイトクラブ、シガーサロン、幻想的なガーデンテラスなど、さまざまな体験ができる。
アルバーツ(チェルシー)
ケンジントンからチェルシー中心部のキングス・ロード354番地に移転したプライベート・クラブ「アルバーツ」は、ボーフォート・ハウスの3フロアに渡り、終日営業のレストラン、2つのカクテルバー、ナイトクラブに加え、ランチ/ディナーやイベント、ミーティング用のプライベート・ルームを備えている。英国のラグジュアリーな雰囲気に浸りながら、リラックスするのに最適な場所だ。
ミラノ
1930
2013年2月22日にオープンしたこの店は、イタリア系フランス人のフラビオ・アンジョリージョ(リパ・ディ・ポルタ・ティチネーゼにある「Mag Café」と世界最小のバー「Backdoor 43」のオーナーでもある)のアイデアから生まれた、2階建ての隠れ家的なクラブだ。住所はトップシークレット。ロイヤルカスタマーのなかでもカードを受け取った顧客だけがアクセスでき、彼らは30という小さなカフェの前にたどり着くこととなる。そのカフェの入口を入ったところに、魅惑的なベル・エポックの神殿へと続く魔法の扉が現れる。部屋を囲む鏡、酒瓶や絵画、ヴィンテージのミシンが入ったショーケース、片隅に置かれた黒いピアノ……。アンティークのアームチェアに座り、BGMを聴きながら、極上の洗練されたカクテルを飲んでリラックスできる。若い客層が多く、特別な夜を過ごすのに最適だ。