SARTORIA JUN “Black Linen Safari Jacket”
ブラックリネンを秋に着る
August 2022
text and photography yuko fujita
ミディアムウェイトのリネンを使用しており、真夏よりは秋口から冬に入る一歩手前にかけてガンガン着たいサファリジャケット。黒が印象を引き締めて、とてもクールなスタイルを築けるはずだ。サイズ感のバランスも素晴らしく、ビスポークの自然体でリラックス感のあるフィットを好む方にぴったりの一着である。カーキの高密度コットンもあり。¥148,500 Sartoria Jun / Afterhours
チッチオの上木規至氏を筆頭に、ラファニエロの東 徳行氏、シルヴァーノの菅沼知央氏、トラモントの佐々木聖男氏ら素晴らしい仕立て職人を輩出してきたナポリのアントニオ・パスカリエッロ氏は、人を育てることにも長けた素晴らしいサルトだ。
今は韓国人の弟子2名を抱えているが、韓国人の弟子第1号となったのが、2008年から4年間工房に住み込んで学んだジュン・ビョンハ氏だ。今ではソウルに自身の工房「サルトリア ナポレターナ イン ソウル」を構えて大活躍しているジュン氏が仕立てる服は、“ナポリ組”からの評価も非常に高い。北京のジョージ・ワン氏の店「アトリエ ブリオ ペキーノ」でもトランクショーを開催しており、ワン氏が「ジュンさんの服はとにかくエモーショナルだ」と絶賛するほど、ナポリまんまのイキイキ躍動感溢れる服を仕立てる職人である。
そのジュン氏が手がける既製服ブランドが、「サルトリア ジュン」。サファリジャケットにブラックリネンという組み合わせが実にいい。温暖化著しい昨今、シックな雰囲気のブラックリネンを紅葉の時季まで愛用するのが、今クールかな、と。
Jun Byungha
ジュン・ビョンハ
1978年ソウル生まれの43歳。2008年当時の韓国にはまだナポリのようなソフトでエモーショナルな服を仕立てる職人はおらず、それを体得するべく同年ナポリに渡り、アントニオ・パスカリエッロ氏に師事。4年間工房に住み込んで、徹底的に鍛え上げられた。技術はもちろん、職人としての心の持ち方を学べたのが大きかったという。ジュン氏はパスカリエッロでの修業組から“チッチオ コレーノ”の愛称でも親しまれており、ナポリで修業した日本の“ナポリ組”ともとても仲がいい。