SANU STUDIO RAY Izu 1st

SANUで出合う“もうひとつの家” —— 自然に還る、伊豆の拠点——

July 2025

編集という、目まぐるしく何かに追われる仕事の合間、“整える時間”がほしかった。そんなタイミングで、SANUが展開するセカンドホーム「SANU STUDIO RAY 伊豆1st」での滞在を体験する機会を得た。静けさに包まれたキャビンで過ごす時間は、“ラグジュアリー”の定義を改めて見つめ直すきっかけとなった。

 

 

text nobuhiko takagi

 

 

SANU STUDIO RAY 伊豆1st」は、かつて絶景旅館として親しまれた「ホテル海」の跡地に誕生。伊豆の美しい海岸線に沿う“もうひとつの家”がここにある。©SANU

 

 

 

 海と森に挟まれた丘の上。目覚めの瞬間、窓を開けると野鳥のさえずりと澄んだ潮風が入り込む。目の前に広がるのは、誰にも邪魔されない水平線。そこに、ホテルのようなサービスはない。だが、いつもの生活の延長にあるのが、むしろ心地よい。ここが、自分を整える“もうひとつの家”——「SANU STUDIO RAY 伊豆1st」だ。

 

 

全室オーシャンビュー、源泉かけ流し露天温泉付きのキャビンは、建築家・芦沢啓治氏の設計。©SANU

 

 

 

「SANU 2nd Home」は、都市と自然を往復する現代人のための“セカンドホーム”を、日本各地に展開している、シェア型のセカンドホームである。会員は月額制の会費を支払う、あるいは向こう30年を1口年12泊・400万円で共同所有することで、いつでもセカンドホームを予約し滞在することができる。いわば「気軽に使える」別荘だ。

 

 ここ、「SANU STUDIO RAY 伊豆1st」は、今年6月末にオープンしたばかりの拠点で、SANUの中でも特徴的なロケーションにある。都心からクルマで約2時間半でアクセスできる伊豆エリアの、海に近い小高い丘の上に佇むキャビンは、ほどよく聞こえる波の音と野鳥の声に包まれる静けさが自慢。自然と無理なくつながる環境で、もちろん全室オーシャンビュー(朝日を眺める方角)。しかも全室のテラスに、源泉かけ流し露天温泉が付いているのだ。

 

 

刻々と表情を変える絶景を1日中堪能できる露天風呂。源泉かけ流しを楽しめる。©SANU

 

 

 

 デザイン性と機能性に優れた建築設計は、芦沢啓治氏が手がけた。ミニマルなキャビンは、木の質感が際立ち、自然の中に静かに溶け込んでいる。大きな窓からは自然光が入り、室内と外の境界が曖昧になるような心地よさがある。北欧を感じさせる温かみのあるインテリアもモダンで洗練されている。暮らしの温度感を損なわない絶妙なバランス感覚が、そこここに光っている。

 

 

水平線を望むダイニングエリア。大自然を邪魔しない落ち着いたインテリアが魅力。©SANU

 

 

 

 滞在中は基本的に、自分で食事を用意する。キッチンと食器や調味料が完備されているので、地元の旬の魚や野菜など食材を持ち込み調理するのも楽しみのひとつとなるだろう。ホテルのような“おもてなし”はないが、それがむしろ気楽に感じられるものだ。誰にも気兼ねなく、好きなように時間を過ごせる自由が、ここにはある。

 

 本格的なプライベートサウナを備えた部屋もある。ロウリュを楽しみながら、小さな窓から海を眺めることができ、サウナの熱気と外気の冷たさのコントラストの中に、自然の広がりが溶け込んでいく感覚が得られる。心も身体も「整う」体験が、SANUというセカンドホームで容易く実現する。

 

 また、敷地内には焚き火を囲めるスペースも設けられており、ゆったりと火を眺めるひとときも演出できる。さらに、愛犬を連れての滞在も可能な部屋も備える。ペットと自然の中で過ごす時間は、都市部では得られない特別なものとなるに違いない。

 

 

バレルサウナを完備した客室もある。小窓から見える景色は絵画のようだった。©SANU

 

 

 

 SANUの魅力は、滞在のスタイルが一様でないことだ。例えば、仕事を少しだけ持ち込み、ワーケーションとして過ごすのはどうだろうか。Wi-Fi完備で安心なのはもちろんのこと、別棟にはコワーキングスペースも用意されている。朝は鳥の声で目覚め、午前中に一気に作業を進めたら、午後はゆったりと散策や読書するのもいい。都市と自然を自在に往復するライフスタイルには、SANUの存在はとても現実的だ。

 

 あるいは、週末にひとりで車を駆り、整える時間を過ごすために訪れるのもいい。静けさの中で考えを巡らせ、陽が沈んだら部屋の明かりを落とす。誰にも邪魔されない時間と空間があるだけで、思考も感覚も研ぎ澄まされていくような気がする。

 

 もちろん、パートナーや家族と一緒に滞在するのもいい。今回私は、妻と5歳の娘と滞在した。いつも通りに家族で食卓を囲むが、いつも以上に会話に花が咲く。自然に囲まれながらのんびりと過ごし、夜はプロジェクターで大好きな映画を観ながら、持ち込んだウイスキーとアイスクリームを愉しんだ。ホテルのような非日常はなくとも、記憶に深く刻まれるような穏やかな時間を過ごすことができた。

 

 

窓側に設られたデスクスペース。自然をBGMに読書や仕事が捗る。©SANU

 

 

 

 “もうひとつの家”という言葉は、単に拠点が増えることではない。都市と自然、仕事と遊び、ひとりの時間と家族の時間。それらの間を無理なく行き来できる自由さが、ここにはある。日常の延長として、自然の中に身を置ける場所があること。それは、仕事、家族、そして自分自身と向き合う時間の余裕がもてるという最高の贅沢であるのだ。

 

 

SANU STUDIO RAY 伊豆1st

www.sa-nu.com/list/raym_izu1st

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