PIAGET “Altiplano Ultimate Concept”
厚さ2mmに挑んだ夢の結晶、
ついに販売開始
April 2020
text hiroyuki suzuki
超薄型時計の創造にこだわり続けるピアジェが生み出した、現代における到達点。ベゼルまで一体化させた特殊合金製のワンピースケース(地板一体型フレーム)を採用することで、時計全体で厚さ2mmを達成した。
1957年に発表された厚さ2mmの超薄型ムーブメント「Cal.9P」で、近代時計史にランドマークを打ち立てたピアジェ。以降、ピアジェは一貫して超薄型時計を生み出すことに情熱を注いできた。なぜピアジェは薄型にこだわるのか? それが果てしない技術的な挑戦であると同時に、薄型であること自体がエレガントであると考えるからだ。
そんなピアジェが成し遂げた現代における到達点が、2018年のSIHHでお披露目された「アルティプラノ アルティメートコンセプト」(以下AUC)。発表された時点では、時計全体でCal.9Pと同じ厚さ2mmを達成するという技術的トライアルの成果だったが、それから約2年の熟成期間を経て、ついにこの夢の結晶が販売されることになったのだ。
ムーブメントパーツを組み付ける土台の部分と、時計本体の外装と一体化させる“地板一体型フレーム”を持つAUCは、その最も薄い部分で0.3mmしか厚みがない。いかにピアジェが“ゴールドスミス”(金細工師)としての手腕を誇ろうとも、これでは時計全体の強度が保てない。そのためAUCでは、コバルトをベースとした特殊合金を採用。製品版ではこのフレームのカラーオーダーができるほか、時ディスク、分針、受けのカラーリングを自由に選べるビスポークの生産体制を採り入れる。一部の受けにはエングレービングを施すことも可能だ。しかし非常に特殊な構造とマテリアルを採用するため基本的に受注生産となり、年間生産数は3〜5本に留まるという。
厚さ2mmという究極のエレガンスと、機構的な理由に裏打ちされたアヴァンギャルドなルックスが共存するAUC。実際の製品版ではラグの長さと角度が刷新され、より装着感が高められている。現代時計史に残るであろう最高の贅沢をオーダーするなら、今がチャンス。
「アルティプラノ アルティメート コンセプト」
910P-UCピアジェ自社製薄型手巻きムーブメント、ブラック加工されたコバルト合金製ケース、41mm。2気圧防水。ゼンマイの巻き上げ、時刻合わせを簡便化する専用アダプターが付属。¥42,800,000 Piaget(ピアジェ コンタクトセンター TEL.0120-73-1874)