LEXUS-SUPER GT WATCHING TOUR
レクサス-SUPER GT観戦ツアー
September 2016
レースの聖地、鈴鹿サーキットにエキゾーストノートがこだまする。コース上を駆け巡るレースカーは、抜きつ抜かれつの激しいバトルを展開している。迷走する台風の影響で、空模様は刻々と変わる。みるみると暗雲が広がり、土砂振りになったかと思うと、雲の合間から陽光が差す。スリックか、レインか、クルーたちは気まぐれな天候に翻弄される。レース展開は誰にも予想がつかず、すべてが手に汗握る瞬間となる・・・
今年のSUPER GTシリーズ第6戦『SUZUKA1000kmレース』は、無類の面白さとなった。変わりやすい天候は、特定のマシンの独走を許さず、あちらこちらで繰り返されるバトルに、観客たちは大喜びだった。
SUPER GTは、低迷するレース界にあって、近年ますます盛り上がっているシリーズだ。人気の理由はいくつかある。
まず、知っているクルマが走っていること。現実離れしたフォーミュラカーに比べて、GTカーは市販車がベースとなっている。レクサスRC F、ニッサンGT−R、ホンダNSXをはじめ、フェラーリ、ランボルギーニ、AMG、ポルシェなど、憧れのスーパーカーが勢ぞろいしている。だからレースに感情移入しやすい。
それから、レース展開の面白さ。SUPER GTでは、成績のよいチームに重量ハンディを与えて、それぞれの実力が拮抗するように調整している。だから、パワーに勝る強者がひたすらぶっちぎって終わりということがなく、いつも激しいテール・トゥー・ノーズのバトルとなるのだ。
最後に、会場に溢れるお祭り気分。SUPER GTには多くのレースクィーンが登場し、彼女たち目当てのファンも大勢集まるし、アイドルグループのコンサートなども、そこかしこで開かれている。主催者サイドの「とにかく来場者に楽しんでもらおう」という姿勢が感じられるイベントなのだ。
『レクサスSUPER GT観戦プログラム』は、このレースの魅力をより多くの人に知ってもらおうと、レクサスによって企画されたものだ。抽選で選ばれた36名に、サーキット内において、さまざまな特別プログラムが提供された。
例えば、VIP SUITEと呼ばれる特等席での観戦だ。外は大雨、炎天下でも、グランドスタンド最上階の空中ラウンジは快適そのもの。ラグジュアリーな雰囲気の中でビールやワインのドリンク類や、鈴鹿サーキットホテルのシェフによるランチが振舞われ、参加者は松坂牛や伊勢海老を使ったご当地グルメに舌鼓を打った。
パレードランに参加できるのも、目玉の一つだろう。これはLFAやLS、NXなど、レクサスの最新車種を自ら運転し、レース前のサーキットを一回りできるというもの。下り坂のメインストレート、Rのきついヘアピンなど、サーキットの構成がよくわかる。観客からの声援に応える参加者たちは、すっかりレーサー気分である。
ガレージツアー、サービスロードツアー、バックヤードツアーなど、普通では見られない場所の見学も行われた。タイヤを用意するブリヂストンのエンジニア、アクシデントに備えるサービスマン、何台ものモニターでコース上を監視するコントロール・スタッフなど、サーキットを支えるさまざまな人々の役割を知り、レースへの理解が一層深まった。
レクサスの新しいGTカーが初お目見えしたのもニュースだった。現行のRC Fに代わり次シーズンより、最新スポーツカーLC500をベースとした車両となる。さらにアグレッシブになったスタイルは、サーキットでの異次元の速さを予感させる。早くコース上を走る勇姿を見てみたいものだ。
レクサスのドライバーたちとの接の交流は、ファンにとって至福のひとときだっただろう。元F1ドライバーのヘイキ・コバライネンを始め、多数のスタードライバーを擁するレクサスチームの登場に、会場は大騒ぎとなった。お気に入りのドライバーと、記念撮影をしてサインも入手し一同ご満悦だ。
いずれもレクサス・サイドの、「とにかくゲストに、できるだけ楽しんでいってもらいたい」という心意気が感じられるプログラムだった。
さてレースのほうだが、第一日目の予選では、レクサス勢のタイムはあまりぱっとしなかった。PPはホンダNSXが獲得し、関係者の間に不安がよぎる。
第二日目の決勝レースは、前述の通り、雨が降ったり止んだりという難しいコンディション。しかしスタート直後よりレクサス勢は、ぐいぐいと前に出て、新型NSXそして長年のライバルであるGT-Rを抜き去ると、そのまま首位を獲得する。
ピットワークの駆け引きもそつなくこなし、クラッシュによるイエローフラッグで、一度は全車の差が縮まるも、かろうじてトップをキープ。
最終的には、レクサス・スタッフの努力と祈りが天に通じたとみえて、レクサスRC Fのワンツー・フィニッシュとなった。しかも1位から5位までのうち、4台がレクサスという大勝利である。
チェッカーフラッグの瞬間、スタッフとゲストの心はひとつとなり、会場は大きな歓声に包まれた。ゲストたちは、口々に「楽しかった。また来たい」と連呼しており、レースと観戦プログラムは、どちらも大成功に終わったのだった。