LET’S TAKE A TRIP
ホテルや街角、会員制クラブからクルーズ……世界のラグジュアリーシーンの今
January 2025
DUBAI
街にさらなる輝きを与える注目スポットが続々オープン
ドバイ世界貿易センターの近く、ドバイ国際空港から車で約15分の場所に、2024年2月に誕生した「シロ・ワン・ザビール、ドバイ」はウェルビーイングがテーマ。客室にもさまざまな機器が備えられている。©NATELEE COCKS
最高のおもてなし
2022年、アラブ首長国連邦に住む富裕層の数は5万5000人から6万8000人へと急増しており、この地域のビジネスハブは、住むにせよ、働くにせよ、遊ぶにせよ、グローバルエリートが好んで移住する場所となっている。増え続ける彼らのニーズに応えるため、今年、素晴らしいホテルが2軒オープンした。そのうちのひとつが、「ザ・ラナ、ド・ザ・ドチェスター・コレクション」だ。フォスター+パートナーズが建築を手がけたこのホテルには、225室の客室とスイートルームを完備。3人のミシュランスターシェフ、ジャン・アンベールとマルティン・ベラサテギ、そしてパティシエのアンジェロ・ミュザによる4軒のダイニングをはじめ、ホテルが独自に考案した4軒の全8軒のレストランが揃う。施設全体の随所には、パリのジル&ボワッシエがデザインを手がけ、国内外のアーティストが創作した50点以上のアート作品が展示されている。
もうひとつの、ワン&オンリーが手がけるホテル「シロ・ワン・ザビール、ドバイ」は、2000㎡近いジムを備えた都会のオアシスだ。ホテルが入るふたつのタワーを世界最長のカンチレバー構造でつなぐ複合施設「ザ・リンク」には、ダビズ・ムニョスによるシアターレストラン「ストリートXO」など、世界的に有名なシェフが率いるレストランが軒を連ねる。100mの高さに浮かぶザ・リンクの屋上には、ドバイ屈指の絶景を誇る素晴らしいインフィニティプールも備えている。ビジネスベイの27階建て複合施設にもうすぐオープンするホテル「ママシェルタードバイ」も、称賛に値する活気と勢いを注入してくれるだろう。
ユニークな建築も注目されている新ホテル「シロ・ワン・ザビール、ドバイ」の「リカバリー・ラボ」(上)と「ヨガスタジオ」(下)。専任トレーナーの指導のもと行われるフィットネスをはじめ、ヨガや瞑想、安眠プログラムなど、ウェルネスプラグラムが非常に充実している。©NATELEE COCKS
ドバイ初上陸の人気レストラン
「世界で最もセレブが集うレストラン」と『Vanity Fair』誌に評されたニューヨークの名店「Carbone」が、2025年、アラブ首長国連邦に上陸する。スパイシーなリガトーニ、ボンゴレビアンコ、子牛のパルメザン焼きなど、ニューヨークスタイルのイタリア料理を堪能できる。
「Carbone」では、50年代のニューヨークを彷彿とさせるダイニングルームで、タキシード姿のサービス・キャプテンがサーブする、ニューヨークスタイルのイタリア料理を堪能できる。ドバイは、香港やラスベガス、マイアミ、ドーハ、ニューヨークなどに続く9店舗目となる。©NOAH FECKS
<Interview>
THE CHEF
Jean-Georges Vongerichten
ジャン-ジョルジュ・ヴォンゲリステン氏
彼はニューヨークでその名を知られるようになったが、世界進出を果たし、ミシュランの星をいくつも獲得した今でも常に世界各地を飛び回っている。
2024年はどちらへ行かれましたか?
5月初旬に東京でレストランの10周年を祝い、その後、京都のホテル「The Shinmonzen」内にあるレストランの1周年もお祝いしました。そして、アジア旅行の最終目的地だった上海で、「Threeon the Bund」内にある「ジャン ジョルジュ」の20周年を祝い、姉妹店の「メルカート」にも訪れました。6月にはセントバーツを訪れ、チームに会い、新メニューの試食をし、パートナーや新しい仕入れ業者とも顔合わせをしました。その後ニューヨークに数日滞在し、ラスベガスにも行きました。ここ数年、夏の間は、ニューヨークで家族と過ごすようにしているのです。
現在どういったプロジェクトに取り組んでいますか?
2024年に入ってから、3月下旬にダブリンのThe Leinsterに「ジャン ジョルジュ」を、ロンドンのThe Emoryに「abc kitchens」をオープンしました。2024年後半から2025年初めにかけて、ニューヨークでさらに2店舗のオープンを予定しています。たとえフィラデルフィアにいてもドーハにいても、世界中のチームを訪問することは、私にとって常に最優先事項です。どこであろうと、彼らと直接顔を合わせて話す時間を確保することが重要だと思っています。
旅のトレンドとは?
世界中のチームを訪問するための旅程を組んでいると、数年前はもっと気軽に旅行の予約ができたのに、最近では、きちんと前もって準備をしなくてはいけなくなったな、と実感しています。人々の世界に対する好奇心が高まっているように感じます。ソーシャルメディアを通じて多くの情報が共有され、実際に訪れる前にその場所について知ることができるうえ、旅行ガイドやクリエイターからもさまざまな情報を得られるようになったことも関係している気がします。未体験の場所に飛び込む人々が増えており、旅行や世界への関心が飛躍的に高まっているのでしょう。