InterContinental Osaka in Umeda
11周年を迎えた大阪屈指のラグジュアリーホテル「インターコンチネンタルホテル大阪」の魅力
August 2024
日本有数のターミナル駅、梅田。大型商業施設が軒を連ねており、京都まで繋がる阪急電車の始発駅でもあるこの駅の程近くで、11年前からゲストをもてなしてきたラグジュアリーホテルが、今回ご紹介する「インターコンチネンタルホテル大阪」だ。8年連続でミシュラン一つ星に輝くフレンチダイニングに、ライブミュージックを楽しめるモダンなバーも擁した、大阪屈指のラグジュアリーで上質な館の魅力に迫る。
text yukina tokida
インターコンチネンタルブランドのホテルは日本国内にいくつかあるが、関西地区では唯一のインターコンチネンタルブランドである「インターコンチネンタルホテル大阪」。駅直結の「グランフロント大阪」北館内に位置しているため、電車で来た場合でも地上に出ることなくビル内をほぼ直進するだけでアクセスでき、雨の日でも安心だ。
日本で唯一イギリス本国による直営ということもあり、日本の伝統とインターコンチネンタルブランドらしい品格が見事に調和する上質な空間が迎えてくれる。インテリアデザインは香港と日本のデザイナーによるもの。現代的なテイストの中に、石、木材、ガラスといった天然素材を用いることで日本ならではの洗練された美を表現している。
レセプションやラウンジ、ダイニングとバーが位置する20階のレセプションフロアをはじめ、館内に飾られているアート作品は、若手作家から熟練作家までさまざま。天井高およそ4.5メートルの開放的な空間を活かした、ダイナミックなアート作品も配されている。
客室からはシティービューまたは、淀川や山の稜線を望むことができる。
客室が位置するのは21階から32階。広さはいずれも50㎡以上あり、フル整備のキッチンや食器類を備えたレジデンスタイプの客室も用意されているが、今回THE RAKEがおすすめしたいのは、クラブラウンジアクセス付きの客室。ラウンジがある28階のみ(スイートルームのお部屋を除く)に位置しているため、朝食時やアフタヌーンティー、カクテルタイムにも気軽に利用しやすい。
28階に位置しているクラブラウンジ「クラブインターコンチネンタル」。
クラブラウンジの営業時間は6時30分から22時30分。フードプレゼンテーションは朝食(6:30~10:30)、アフタヌーンティー(14:30〜16:30)、イブニングカクテル(17:30〜19:30)で入れ替わる。カクテルタイムには、シャンパーニュ「ルイ・ロデレール」をはじめ、白赤ワイン、スコッチやバーボンはもちろん、ジャパニーズウイスキー、さまざまなリキュールまで一通り用意されているため、ディナー前のアペリティフに最適だ。
また、朝食においても、サラダやヨーグルト、ハムやサーモン、フレッシュフーツ、シリアルやパン、スコーンやデザート、冷やしそばなどまで揃う充実したブッフェに加え、卵料理や焼き魚、さらにはビーフサーロインステーキまでラインナップしている。
客室は、木材をメインに使用した温もり溢れる空間。シンプルなインテリアのなかに、モダンなアート作品や石とガラスでできたデスク、そしてベッド周りのカーペットがアクセントで用いられている。そして実はこのホテルは、幣誌が各部屋に備えられている一軒。ぜひ滞在の際は紙版の魅力を存分に楽しんでいただきたい。
同ホテルにおいてあまり知られていないのが、スパやフィットネスジム&プールに加え、日本式浴場があること。旅館を思わせる大きな湯船に、ドライサウナやスチームサウナを備えているため、トレーニング後やディナー前のリフレッシュにも最適だ。
ラウンジ&バー「adee」。
宿泊した際はディナー前のカクテルタイムにクラブラウンジでシャンパーニュを楽しむのが一番だが、大阪在住の場合やちょっと凝ったカクテルを楽しみたい場合にはバー「adee」でのハッピーアワー(17~20時限定)もおすすめだ。シグニチャーカクテルはもちろん、季節のフルーツをふんだんに使ったフレッシュなカクテルも多彩にラインナップしている。
金・土・日には、ボーカルやピアノ、ドラムスによるライブパフォーマンスも。天井いっぱいに聳え立つワインセラーや、頭上をカラフルに彩るアイコニックな照明が華やかな空間は、非日常の時間を演出してくれる。
フレンチレストラン「Pierre(ピエール)」。
カクテルを楽しんだ後には、このホテルで一番の目玉であるフレンチレストラン「Pierre(ピエール)」に移動したい。8年連続一つ星を獲得している同店では、シーフードを使ったフレンチを得意とするヘッドシェフの柴原仁崇(しばはらよしたか)氏を筆頭に、国産の食材を中心に使用した、繊細でモダンなフレンチキュイジーヌを提供している。
筆者が訪れた日には、アミューズブーシュ、メインやデザート、コーヒー&紅茶で構成される全6品のコースを堪能した。柴原氏の卓越した技が光る、丁寧かつ繊細に作り上げられた料理のなかでも、これからの季節提供されるコースの中からTHE RAKE的ハイライトをいくつかピックアップして以下にご紹介したい。
近江烏骨鶏を使用したソーセージが主役の一皿は、近江烏骨鶏の骨からしっかり煮込んだ旨みたっぷりのソースとともに。薄くスライスされたソーセージ上に、これまた薄く丁寧にカットされたさまざまな食材が繊細に重ねられている。グリル野菜やハーブ、イチゴやラズベリーなどが生み出すさまざまな食感と味わいに、食べ進める手が止まらなかった。プレート上にほんの少し添えられているラスエルハヌートというカレー粉のようなスパイスをつけることでまた異なる味わいを楽しめる一皿だった。
そのシルエットがアーティスティックなこちらは、じゃがいも(メークイン)を主役に使った一品。中央のカリッと焼き上げられているチップスは、じゃがいもの皮を使用したもの。菊芋と生クリームを使用したソースとともに。じゃがいもの甘みが存分に引き出された、クリスピーな味わいと見事な一皿だった。
同店のメインディッシュで主に提供されるのが、シェフが心底惚れ込んだというオリーブ牛。その繊細な味わいに感動し、メインとして必ずディナーコースに入れているんだという。筆者が訪れた日には、丁寧に焼き上げられたオリーブ牛とともに、モリーユ茸のソテーや牛テールを使ったリゾットが合わせられていた。非常にやさしく、全くしつこくないその味わいに驚かされた。
この日のフィナーレは、キルシュというさくらんぼのお酒を使ったデザート。一番下から、ブリオットチェリーのソースにチョコケーキ、チョコレートのサブレ生地。そしてシャンティクリームのアイスクリームにブリオットチェリーや赤スグリといった赤い果物、そして一番上には苦味のあるチョコレートが合わせられている。甘味と酸味、苦味が見事に調和した一皿だった。
ちなみにグラスシャンパーニュ+グラスワイン6種のペアリングが¥12,000というから驚き。コースは2種類で¥15,000〜用意されているため、気軽に使えるフレンチダイニングとして、「Pierre(ピエール)」を諸兄の定番リストに追加して頂きたい。
万博を控えた大阪には、現在猛スピードで新ホテルの開業が続いている。そんななか10年以上前から変わらずこの地で愛され続けているこのラグジュアリーホテルこそ、大阪屈指の上質なサービスを受けられる一軒としておすすめしたい。その空間、そして心地よいホスピタリティに、一流のホテリエならではの矜持を感じることができるだろう。
インターコンチネンタルホテル大阪
大阪市北区大深町3-60
グランフロント大阪北館タワーC
TEL.06-6374-5700