Harrisons: Savile Row's Timeless Elegance

英国きっての名門生地マーチャント“HARRISONS”の名作生地でエレガンスを楽しむ

September 2024

サヴィル・ロウで最も愛されている生地ブランドの筆頭にあげられるハリソンズ。160年を超える歴史を誇る名門中の名門の、三つの名作生地を紹介する。
text yuko fujita
photography takeshi wakabayashi
styling akihiro shikata

HARRISONSのPremier Cruで仕立てた
HENRY POOLE〔ヘンリープール〕
今や英国でも希少となったスペックを、通常よりもさらに打ち込みを強くして織り上げている「プルミエ・クリュ」は、仕立てあがった服に触れてその素晴らしさを実感してほしい。スーツは国内縫製のメイドトゥ メジャーで、納期は約6週間。3ピーススーツ¥600,600(オーダー価格)Henry Poole、シャツ¥66,000 Turnbull & Asser、タイ¥17,600 Stefano Cau、チーフ¥9,680 Mungai/all by Isetan Shinjuku(伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111)

名作生地01
PREMIER CRU〔プルミエ・クリュ〕
ハリソンズの中で、品質、時代とのバランスという意味で、最も調和のとれた生地との呼び声が高いのが「プルミエ・クリュ」だ。これ見よがしな派手さはないが、それは決して凡庸なわけではなく、長い歴史の中でハリソンズが導き出した、貴重な“究極の英国式オーセンティック”なのである。約18.5マイクロンのファインメリノウールを72番手に紡ぎ、経緯双糸使いした2×2の素晴らしい330g/mの綾織り生地で、全色柄がトップダイ(原料染め)。発色の美しさにエレガンスを感じる。

 ハリソンズは、1863年に後のエジンバラ市長サー・ジョージ・ハリソンによって創業された英国きっての名門生地マーチャントだ。6ブランドで構成されるハリソンズグループの中核であり、サヴィル・ロウの錚々たるテーラーに最も愛されている生地ブランドといっても過言ではないほど、トレードマークの朱赤のバンチは彼らにとって欠かせない存在となっている。

 スーパー150’sの「グラン・クリュ」などラグジュアリーな生地もオーセンティックなテイストが群を抜いて素晴らしいが、ハリソンズの生地をひと言で言い表すなら、「エレガンス」「クラシック」である。決してこれ見よがしにはならない、昔ながらの実直な作り、フィニッシングをした生地が今も変わらずラインナップされていて、絶対的な安心感のある高品質なものをいっときも絶やすことなく展開してきたからこそ、今日の地位を確立できたのである。そのハリソンズの中でも最も“サヴィル・ロウ的”といわれている三つの名作生地をご紹介したい。

HARRISONSのUniversalで仕立てた
TAILOR&CUTTER〔テーラー&カッター〕
有田一成氏が仕立てるテーラー&カッターの服は、そのダイナミックなカットで色気を表現しているが、アイロンでクセをつけやすく仕立て映えする「ユニバーサル」なら、その色気はパーフェクトに表現される。スーツは国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。3ピーススーツ¥429,000(オーダー価格)Tailor & Cutter、シャツ¥66,000 Turnbull & Asser、タイ¥22,000 Holliday & Brown、チーフ¥9,680 Mungai/all by Isetan Shinjuku(伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111)

名作生地02
UNIVERSAL〔ユニバーサル〕
ハリソンズの生地コレクションの中で、最もヘビーウェイトのスーチングとして君臨しているのが、約22マイクロンの極太原毛を使用し、465g/mの生地を中心に揃えた「ユニバーサル」だ。かつては同じハリソンズグループのリアブラウン & ダンスフォードのコレクションとして展開されていたため、昔からその名をご存じの方も少なくないはずだ。色とテクスチャーのバリエーションに富んでおり、ほかに370g/mと580g/mのコレクションも揃えている。とにかく硬派。古きよき時代の英国生地という言葉がぴったりなコレクションである。

HARRISONSのOysterで仕立てた
HENRY POOLE〔ヘンリー・プール〕
ストライプスーツの人気が高まっているが、これはまさに王道をいく、オーセンティックで非常に美しいストライプだ。48番手の経緯双糸で織られた「オイスター」は、サヴィル・ロウの伝統を象徴する、ヘンリープールにふさわしい生地である。スーツは国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約6週間。3ピーススーツ¥529,100(オーダー価格)Henry Poole、シャツ¥66,000 Turnbull & Asser、タイ¥26,400 Seaward & Stearn、チーフ¥3,300 Fairfax/all by Isetan Shinjuku(伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111)

名作生地03
OYSTER〔オイスター〕
「サヴィル・ロウ スタンダード」といわれる48番手の双糸を経緯ともに使用した400g/mの生地「オイスター」は、「ユニバーサル」同様に同じグループ内のリア ブラウン & ダンスフォードのブランドで展開されていた。現在はハリソンズのバンチとしてラインナップされている。ハリソンズの生地に共通していえることだが、着るほどに味わいを増し、身体に馴染んでくるので、ビスポークで仕立てるには最適で、特に「オイスター」に関しては、重厚感のある生地を好む人にぜひオススメしたい。ワイドピッチなども含め、ストライプのバリエーションが充実している。

欧米において華やかなパーティの場が飛躍的に増えているなかで新たに登場したのが、ハリソンズでは初となる、イヴニングシーンに向けたフォーマルウェアコレクション「マスカレード」だ。ディナースーツ(ジャケット、トラウザーズ)に最適で、ハイクオリティのコットンヴェルヴェット(415g/m)、ウールはバラシア(400/430g/m)とスコットランド製のタータンチェック(350g/m)をラインナップしており、気品溢れる装いを実現するバンチコレクションとなっている。

HARRISONS FAIR

10/2(水)— 10/15(火)伊勢丹新宿店

10/2(水)— 10/15(火)の日程で、伊勢丹新宿店メンズ館5階メイド トゥ メジャーにてハリソンズフェアを開催する。今回ご紹介している「プルミエ・クリュ」「ユニバーサル」「オイスター」を筆頭に、ハリソンズが誇るマスターピースが集結。スーパー150’sの「グラン・クリュ」やスーパー160’sの「プルミエ グラン・クリュ」といったラグジュアリーな生地も並び、サヴィル・ロウで愛されている名作生地の数々が一堂に会する貴重な機会に、ぜひ足を運ばれてみては。