H. MOSER & CIE.

品質重視の名門時計、その息吹に触れる

June 2020

高品質と自社製造を貫く「H.モーザー」は、真の価値を追求する人に向けられた、名門ブランドである。

 

 

(左)ヘリテージ・センターセコンド ファンキーブルー

創業者が手がけたヴィンテージの懐中時計にインスピレーションを受けデザインされた「ヘリテージ」に、革新的な夜光化合物「グロボライト®︎」を組み合わせることで、伝統と最新技術を融合させた。美しさを放つファンキーブルーのカラーリングは、ブランドで最も人気のダイヤルのひとつ。自動巻き、SSケース、42mm。¥1,650,000 H.Moser & Cie.(イースト・ジャパン Tel.03-3833-9602)

(右)ベンチャー コンセプト ベンタブラック®︎

インデックスもロゴもない「コンセプト」に、1㎠あたり約1億個ものカーボンナノチューブの集合体である「ベンタブラック®︎」素材を文字盤に採用。可視光を反射しない、“地球上で最も黒い物質”は、究極のミニマリズムを追求した新次元のドレスウォッチを生み出した。手巻き、18KRGケース、39mm。¥2,950,000 H.Moser & Cie. (イースト・ジャパン Tel.03-3833-9602)

 

 

 

 上写真の右の時計を見てほしい。まるで宇宙の中に吸い込まれそうな反射もない漆黒のダイヤル。そこにはこれ見よがしに鎮座するブランドロゴも、「スイスメイド」の文字も見受けられない。時計として成立する究極にミニマルなデザインには、本質を追求するブランドの矜持が感じられる。スイス・シャフハウゼンの老舗ブランド「H.モーザー」である。

 

 H.モーザーはもともと、スイスの時計師一家に生まれたヨハン・ハインリッヒ・モーザーが1828年にロシアで創業したブランドだ。スイスのル・ロックルに工場を構えたのち、シャフハウゼンにて同地の時計産業化の礎を築いた。一時はロシア革命や跡継ぎの他界によりブランドは途切れたが、 2002年に復活を果たし、確かな品質が受け継がれている。

 

 世界一の時計産業国であるスイスに長い歴史を持つ老舗メーカーは数あれど、H.モーザーほどにスイス時計を名乗れるブランドは稀有である。

 

 というのも、「スイスメイド」という言葉は現在、その時計を形成する部品の製造コストの60%がスイスに出自を持てばよいことになっているが、H.モーザーは繊細なヒゲゼンマイも自社製造しており、アイコンとなる美しい文字盤もスイス屈指のサプライヤーと提携し、その基準を95%以上達成しているから。もはや「スイスメイド」を超越し、その表記すら不要な品質を持つのだ。

 

 完全にクオリティで勝負する姿勢とそのこだわりがゆえ、年間の生産本数は約1500本と極端に少ない。だからH.モーザーの時計は、本当に価値あるものを理解できる紳士にのみ愛される希少な時計となっている。

 

 日本でもH.モーザーを取り扱う店舗は大変少ないが、唯一の直営店が銀座に存在し、2020年1月に移転リニューアルオープンしたばかり。この機会にぜひ貴重なタイムピースの実物を自身の目で確かめてほしい。

 

 

 

国内唯一の直営店

H.モーザーの日本で唯一の直営店であり、希少なコレクションを豊富に取り揃える「NXONE GINZA」が国内初となる専用什器を導入し銀座8丁目に移転。ゆったりと落ち着いた雰囲気の中で珠玉の1本と出合える、時計愛好家にとって垂涎のお店である。

 

NXONE GINZA

東京都中央区銀座8-4-2

TEL.03-3573-7277

 

 

本記事はISSUE32(2020年1月24日発売号)にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。