幽玄なる山間の宿で、“本物の美”を体験する

「やま岸」監修、夜のコースより「八寸」。旬の味覚が大皿に盛り込まれた前菜。夕食ではワインのペアリングや、赤星慶太氏が監修する日本酒ペアリングが堪能できる。

極上の味―目と舌が喜ぶ、皆の顔がほころぶ

　旅の楽しみには食にあり―この点でも「エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍」は傑出している。2015年に創業し、たった2年でミシュラン1つ星を獲得した京都の名店「やま岸」が料理を監修しているのだ。

　京料理の伝統と茶懐石のおもてなしの精神を軸に、箱根の豊かな自然の恵みを生かした品々が提供されている。海にも山にも近い土地ゆえ、新鮮な材料には事欠かない。「雲丹ドック」をはじめとする、やま岸のユニークなシグネチャーディッシュも供されている。

朝食は和食と洋食から選ぶことができる。写真は和食の一例。上：美しい小鉢でサーブされる珍味の数々。氷で器ごと冷やす心遣いが嬉しい。左下：バトラーが特製のいくらをご飯の上にたっぷりと。右下：蒲鉾3種とワサビ漬け3種を食べ比べることができる。地元の味を楽しませる工夫にあふれている。

　料理はレストランで食べるのではなく、それぞれの客室に運ばれ、客室に併設されたパントリーで料理人が仕上げをして供される。自らが滞在する部屋の中で、ゆったりとした食事を楽しむことができるのだ。

　大自然の懐に抱かれつつ、四季折々の美味に舌鼓を打つ。日本人に生まれてよかったと思う瞬間である。

国道沿いに面したアッパーレセプションのエントランス。箱根登山電車・宮ノ下駅より徒歩5分。クルマだと東名厚木ICまたは東名御殿場ICからのアプローチとなる。