ESPACIO THE HAKONE GEIHINKAN RIN-POH-KI-RYU

幽玄なる山間の宿で、“本物の美”を体験する

September 2024

箱根・早川渓谷の谷底に、ラグジュアリーの常識を超える宿「エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍」が誕生した。谷間の大自然に抱かれるように、独立した九つの棟が軒を連ねている。温泉、美食、そしてアートに彩られた異次元の空間をリポートする。
photography natsuko okada

最大の面積を誇る客室「匠」より、早川に面したプライベート・プールを望む。テラスは巨大なシンボルツリーにおおわれている。この部屋はふたつの屋外プールの他、露天風呂、サウナ、ジェットバスを含む多数の温浴施設を備えている。

 国道沿いの宮ノ下から早川渓谷の谷底までの高低差はおよそ100m。上と下とは一台のケーブルカーで結ばれている。小さな車室に乗り込み、ガタンゴトンと斜面を下りていくにしたがって、緑はいっそう濃くなり、せせらぎが次第に音を増してくる。

 谷底に到着すると、そこには外界と切り離された異空間が広がっている。いま話題の超ラグジュアリーホテル「エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍」である。そのアプローチは、訪れる人を幽玄の世界へと誘う、小さな旅のようである。

 周りを山々に囲まれた早川のほとりに、九つの独立した客室棟が軒を連ねている。客室は室内とテラスを合わせて90㎡以上の広さが確保され、最も大きな「匠」と呼ばれる部屋は385㎡もの面積を誇っている。

 すべての客室にプライベート・プール、露天風呂、内風呂が設えられている。建物はお互いの存在を感じさせないよう巧みに配され、滞在する人は眼の前の大自然を独占しているような気分に浸ることができる。

 各客室にはそれぞれ異なる趣向が凝らされている。インテリアには無垢の木材、漆喰、大理石など、選び抜かれた最高の素材がふんだんに使われている。加えて室内空間は、当代一流の作家によるアートで彩られている。

 これまでの高級ホテルの概念を超えた、まったく新しいラグジュアリースペースが現出している。訪れた人の記憶に、永遠に残る場所としたい―そんな思いから造られた、唯一無二の宿なのである。


渓谷電車でアプローチする日常から切り離された“異世界”駅伝で有名な箱根国道1号線沿いの宮ノ下から、渓谷電車(プライベートケーブルカー)に乗り早川渓谷の谷底を目指す。5分ほど斜面を下ると、外界から隔絶された桃源郷へと到着する。川のほとりに広がった約44,021㎡の敷地に異なる趣向の九つの客室棟が軒を並べている。いずれもスイート仕様、広々としたテラス、プライベート・プールと露天風呂が併設され、一部サウナが備わる客室棟もある

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