DUGDALE X THE RAKE X KIT BLAKE
トリプル別注のクリーム・トラウザーズ
July 2020
老舗のクロス・マーチャント、ダグデール ブラザーズと、トラウザーズのスペシャリスト、キット ブレイクがタッグを組み、THE RAKEのためだけに、絶妙なクリーム・ギャバジンのトラウザーズを製作した。
by christopher modoo
ファッションの世界では、クロス・マーチャント(布地商)の役割は過小評価されがちである。基本的な機能としては、ビスポーク・スーツの生地を販売したり、ミルから直接フルロールの生地を購入できない小規模なブランドのために、生地を提供することだ。
しかし、優れたマーチャントはそれ以上のことをしている。彼らは、最高の材料とプロセスを自由に選択できるように、原糸から最終的な生地に至るまでの、サプライチェーン全体を管理している。
ダグデール ブラザーズは間違いなく最高峰のマーチャントのひとつだ。1896年、ヘンリー・パーシーとフレデリック・ハーバート・ダグデールは、英国の高級ウーステッド産業の中心地、ハダースフィールドで布地商を創業した。ダグデールは2世代にわたり、繁栄の時代と厳しい戦争の時代を経て、後にキース・チャーノックと現在の会長、ロブ・チャーノックに買収されるまで、ファミリービジネスとして存続した。
$ 330 |
ハダースフィールドに残る最後の独立経営のクロス・マーチャントであり、世界中の仕立て屋やブランドにクラシック、コンテンポラリー、ラグジュアリーな生地を供給している。私はスチリストとしてのキャリアの中で、ダグデールと仕事をすることに、いつも喜びを感じてきた。スタートアップと仕事をしていても、世界で最も古いテーラード・ブランドと協業していても、常に私をサポートしてくれた。
彼らのコレクションはバリエーションが豊かで、似合うダグデールの生地が、誰にでも必ずある。“ニューファイン・ウーステッド”は、かつてシンガポールのラッフルズホテルのスタッフに着せていた、エドワード朝風のトロピカル織りのトラベルクロスだ。
“タウン・クラシック”は、グレンチェックからチョークストライプまで、英国生地に期待されるものすべてが揃っている。中には、ミディアム・ブルーのハウンドトゥースなど、とても洒落たものもある(私は、まだオーダーする勇気はないが・・)
“ロイヤル・ページェント”は、9オンス(260g)のシャープな質感を持つオールウール・ギャバジンだ。涼しげな肌触りで、軽い着心地だが、長めのメリノウール強撚糸を使用しているため、驚くほどの弾力性がある。
コレクションに入れる前に、すべての生地を個人的に試すのが、キット ブレイクの哲学だ。6208番のクリーム色で作られたトラウザーズを1本持っていたので、悪くないとはわかっていたが、ここまで良いものになるとは思っていなかった。
まず第一に、その色がいい。イエローすぎず、ベージュすぎず、完璧な“イングリッシュ・クリーム”だ。キット ブレイクの“アレクサンダー”モデルはフル・プリーツで、生地は完璧にドレープし、まるで9オンスよりも、ずっと重いかのように見える。しかし、着ていてとても涼しく、湿度の高い日でも肌に対して爽やかに感じる。プリーツと前立ては一日中シャープなままだが、膝裏の見苦しいシワはすぐに消えてしまう。実に“クレバーな”生地だ。
クリーム色のトラウザーズは、夏のワードローブをエレガントに格上げしてくれる。クリーム色のトラウザーズとニット・ポロのシンプルな組み合わせは、アパレル・アーツ誌(THE RAKEの1930年代版)のページから飛び出したようだ。
もしローファーを持っているなら(おすすめはクロケット&ジョーンズ) 今こそそれを着用する時だ。エスパドリーユやベルジャン・ローファーも、推奨される深いターンナップの下で見栄えがするだろう。もしプリーツ・トラウザーズを試したことがないなら、これは絶好の1本だ。スキニールックは完全に終わっている。より流麗でドレープ性のあるテーラーリングを試すには最適なチョイスだ。イージーフィットのアンコン・ジャケットや、よりフォーマルなメタルボタン付きのボーティング・ジャケットに合わせてもいいだろう。ストライプのレガッタ・ブレザーは、ギャバジン・トラウザーズと最高の相性だ。
より自信のあるドレッサーには、次の夏のブラックタイ・イベントで“逆タキシード”を試してみることをおすすめする。クリーム色のパンツに、黒やミッドナイトブルーのトロピカルのディナージャケットを合わせるのだ。クリーム色のディナージャケットとダークなパンツの組み合わせが一般的だが、これはちょっとした遊びなのだ。アクセサリーはシンプルにして、足元には刺繍の入った、ベルベット・スリッパーを履いてみてはどうだろう?
一度クリームを試してみると、そのバリエーションが、もっと欲しくなるだろう。スタイルに合わせて、故デビッド・ニーヴンを思わせるエレガントなオリーブドラブから、映画『カジノ』(1995年)のロバート・デ・ニーロのような明るい色合いまで、さまざまなカラーレンジがある。
私は現在、キット ブレイクの来春コレクションに、どの色をチョイスするかで悩んでいるところだ。