CHOMA at Rosewood Miyakojima Brings the Spirit of the “Island of Prayer” to the Table

ローズウッド宮古島、その全貌。新ダイニング「苧麻(CHOMA)」が本格始動

April 2026

2025年3月に日本初上陸を果たした「ローズウッド宮古島」が、この4月、メインダイニング&バー「苧麻」を本格始動させた。宮古上布の精神を着想源に、宮古島の文化や祈り、豊かな自然を食体験へと昇華したこの一軒は、滞在の価値をさらに引き上げる存在となっている。島の歴史と真のラグジュアリーが溶け合うこの場所の魅力を紐解く。

 

 

text yukina tokida

 

 

 

 

 東京からおよそ3時間、直行便に身を委ねると到着する、コバルトブルーの海に囲まれた宮古島。2025年3月にこの島に誕生した「ローズウッド宮古島」が佇むのは、空港から車で20分ほど走るとたどり着く、島の北西部。地元の人々にも愛されてきたプライベートビーチを擁する静かなエリアだ。

 

 日本初上陸となるこのホテルが目指したのは、単なる贅沢なリゾートではない。島が長い時間をかけて大切に紡いできた歴史や文化に触れ、研ぎ澄まされた空間に身を置くことで、ゲスト一人ひとりの心身が自然と浄化するような場所。もはや聖域とも表現したくなるような、現代人が求めるすべてを備えた究極のホテルだ。

 

 ホテルが掲げるテーマは「その土地らしさ」。細部にさりげなく落とし込まれたこの地で築き上げられてきた文化や歴史、過度な装飾を削ぎ落とした宮古ブルーの海と一体となるような建築美、付かず離れずの程よい距離感のサービスは、訪れる人を虜にする。

 

 

かつてこの地で生活を営んでいた人々の面影をあえて残し、植物や大木もあえてそのままにしている箇所も。

 

 

 

 

 全55棟の客室は、全室プライベートプール付きでいずれも湾に面したヴィラタイプ。そのなかには3棟だけの、キッチンやBBQ設備付きの150㎡をこえるハウスと呼ばれる客室もラインナップしており、いずれも圧倒的なプライベート感が魅力だ。

 

 ダイニングは全部で4軒。オールデイダイニングであり、イタリアンと和の技法を融合させた「NAGI(ナギ)」、その日獲れた新鮮な海鮮を使ったシーフード料理を楽しめる「MAAS(マース)」、プールサイドバー「YUKUU(ユクウ)」、そしてこの4月にオープンを果たしたメインダイニング&バーの「苧麻(チョマ)」だ。

 

 

 

 

 寿司・天麩羅・鉄板焼き・焼き鳥の4つのスタイルでゲストをもてなすダイニング「CHOMA」の名前の由来は、“トンボの羽”と讃えられる最高級麻織物のひとつ「宮古上布」の原料「苧麻」。職人の手によって数万回、数十万回と指先で髪の毛の細さまで割き、紡ぐことでようやく一本の糸になり、それを染めて織りあげられる。1日30〜40センチほどしか織ることができないため、非常に貴重で高価な織物なのだ。

 

 同ダイニングは、まさにその宮古上布の精神を料理で表現する一軒で、上布づくりに宿る価値観を、寿司や鉄板焼きの繊細な技、、焼き鳥のライブ感あふれる臨場感、そしてそれぞれの素材本来の力を引き出す調理に落とし込んでいる。

 

 ダイニングは、焼鳥・・寿司のカウンターを備えた棟、鉄板料理棟、バー、そしてプライベートダイニングという複数の棟からなり、それぞれの料理に最適な空間で食事を楽しむことができる。穏やかな湾に面したビーチフロントにはテラス席も備わっているため、水平線に沈んでいくサンセットを望みながら、かけがえのない時間を過ごすこともできる。目の前に広がる海と、優しい潮風、そしてオープンキッチンから放たれる熱気……今の宮古島で最も贅沢な時間といえよう。

 

 

 

 

 筆者が訪れた際には、本ダイニングを舞台にルイ・ロデレール「クリスタル」の特別イベントが開催されていた。世界最高峰のシャンパーニュが、宮古島の潮風と共鳴した一夜。特別コースの一部をご紹介したい。

 

 この日のお刺身は「白身魚(アカマチ)の昆布締めと車海老の湯霜」。柚子の香りがふわっと心地よい一皿で、自家製のポン酢とともにいただくスタイル。ドサージュを使用しない、2018年ヴィンテージのブリュット・ナチュールの、果実味を感じながらもキリッとしたバランスのよい味わいとの相性が抜群だった。

 

 メイン直前には、本鮪の中トロをつかった「手毬寿司」が提供された。「クリスタル 2016」の芳醇なアロマと繊細な味わいとのマリアージュはまさに完璧。口一杯になることのない小ぶりな手毬寿司とのバランスが、特別なシャンパーニュのよさをさらに引き立て、その完成された上品な味わいに真正面から浸ることができた。

 

 

 

 

 メインには、「石垣島和牛テンダーロイン」が登場。石垣牛の魅力である重すぎないさっぱりした脂のサシが、ペアリングされた「クリスタル・ロゼ 2014」と完璧にマッチしていた。付け合わせの、炭火焼きにされた宮古島のカボチャやピーマン、トマトといった野菜や、いちじくの香ばしさと、バルサミコ酢と日本の赤ワインを使ったソースもその調和をさらに引き立てており、参加したゲストが皆その豊かな余韻に浸っていたことはいうまでもない。

 

 

 

 

 ディナーのあと、ぜひ足を運びたいのが「苧麻バー」。ここで供されるのは、単に南国らしい一杯ではない。宮古諸島に根ざした伝説や風景、人々の暮らしに着想を得たカクテルで、まさに“宮古島の文化を飲む”ためのバーだ。各カクテルは海や大地、日々の営みの記憶を映し出すものとして構成されており、一口ごとに島の物語をたどるような体験へと誘ってくれる。

 

 なかでも象徴的なのが、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている宮古島の伝統行事「パーントゥ」に着想を得た一杯。パーントゥは、泥をまとった来訪神が人々や家々に泥を塗ることで厄を払い、無病息災や幸運をもたらす祭り。カクテルは地元の陶芸家による特注のオリジナルマグで供され、グラスには“泥”に見立てたチョコレートもあしらわれている。あえて指先にチョコレートがつく仕掛けにしているのも、ゲストに福が訪れるようにという願いを込めてのことだという。

 

 こうしたオリジナルグラスの制作にも、このバーの本気度が表れている。とりわけ「パーントゥ」を表現したマグは、井崎氏が地元の人々と丁寧に関係を築きながら、長い時間をかけてようやく形になったものだとか。単なる器ではなく、この土地への敬意と対話の積み重ねが結実した存在なのだ。ベースに使われている泡盛も含め、島の文化が一杯の中にしっかりと息づいている。

 

 

オリジナルカクテル2種。左:「パーントゥ」、右:「シーサーガウガウ」。

 

 

 

 もうひとつぜひ飲んで見ていただきたいのが、「シーサーガウガウ」を題材にしたカクテル。旧暦の十五夜に、子どもたちが手作りのシーサー面をかぶって集落を歩き、お菓子や小遣いを受け取るという、どこか宮古島版ハロウィンを思わせる風習をモチーフにしている。こちらは、口を開けたオスと口を閉じたメスという対の意味をもつシーサー文化まで落とし込まれた一杯で、ガーニッシュには子どもたちに渡すお金を思わせる「千円」とかかれたチョコレートも添えられる。目にも楽しく、背景を知ればさらに味わいが深まるはずだ。

 

 バーを率いるのは、パーク ハイアット 東京で約20年にわたりバーやラウンジの世界観を築いてきた井崎宇太郎氏。ローズウッド宮古島では「YUKUU」「MAAS」「苧麻」のバーコンセプトを牽引し、この土地ならではの文化や伝統をグラスの中で表現している。美しい景色を前に一杯を傾けるだけでなく、その背後にある物語まで飲ませる――そんなバーは、日本全国を見渡してもそう多くはない。

 

 次の日の朝食は、オールデイダイニング「NAGI」で。穏やかな海をイメージして名づけられたこのレストランでは、イタリア料理に和の感性を重ねた料理が供されている。

 

 朝食メニューは、コンチネンタル、アメリカン、和朝食に加え、アサイーボウルやホワイトオムレツを組み合わせたウェルネスブレックファストまで幅広く揃う。シークヮーサージュースや宮古モリンガティーをはじめ、焼き立てのパンや放し飼い卵料理、沖縄県産ポークベーコン、宮古島チーズなど、地元の食材を積極的に使用しているのも魅力だ。海を望む静かな空間でゆっくり朝を始めれば、このホテルが目指す“心身を整える滞在”を、より体感できるだろう。

 

 

オールデイダイニング「NAGI」から臨む景色。

 

 

 

 滞在中、時間が許すならぜひ体験したいのが「Asaya Spa」だ。ローズウッドが世界各地で展開するウェルネスの哲学を受け継ぎながら、ここでは琉球の癒やしの知恵と、宮古島の自然に寄り添う感覚を融合している。トリートメントルームはすべて独立した個室となっており、小さなジャングルのような中を通っていくその道すがらでさえ、この島の静けさそのものを体内に取り込んでいくような時間が流れる。

 

 トリートメントの中核をなすシグネチャーメニューの「ミヤコジャーニー」は150分の施術。全身トリートメントとフェイスマスクによって、深いリラクゼーションと内側からの再生へと導いてくれる。加えて、シンギングボウル・セラピーなど感情のバランスに寄り添うメニューも用意されており、単に身体をほぐすためだけでなく、心まで整えるための場所としてゲストを癒やしている。

 

 また、ウェルネス施設としてはスパに加え、サウナとスチームルーム、温水プール、ジャグジー、ピラティスやヨガのためのムービングスタジオ、24時間利用可能なフィットネスセンターも備えている。

 

 

「Asaya Spa」では、施術前に丁寧なヒアリングを実施。自身の不調や内面と向き合いながら、その日の状態に合わせたトリートメントへと導いてくれる。

 

 

「Rosewood Explorers Club(ローズウッド・エクスプローラーズ・クラブ)」。充実したプログラムも魅力だ。

 

 

 

 また、ローズウッド宮古島の魅力は、大人のための静かな隠れ家であることだけにとどまらない。4歳から12歳の子どもを対象にした「Rosewood Explorers Club(ローズウッド・エクスプローラーズ・クラブ)」では、充実した遊具だけでなく、宮古島の自然や文化に触れる体験型プログラムを無料で提供している。静けさと洗練、そして懐の深さ。そのバランス感覚もまた、このホテルが特別視される理由のひとつだ。

 

 情報をむやみに外へ広げずとも、本当に価値を理解する人だけがこの地へたどり着くのは、ここが単なるラグジュアリーリゾートではないから。島の歴史、祈り、手仕事、食、そして癒やし。そのすべてが過不足なく織り合わされることで、ローズウッド宮古島は、宮古島の豊かな“精神”に触れられる聖域となっている。これは、ただ泊まるためのホテルではない。島と深くつながり、自分を取り戻すための、おだやかな安息の地でもあるのだ。

 

 

ローズウッド宮古島

沖縄県宮古島市平良荷川取1068-1

TEL. 0980-79-8899

www.rosewoodhotels.com/jp/miyakojima

 

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