ALPINE EAGLE SUMMIT

ショパールが辿り着いた頂点

December 2023

ハイジュエラーでもあるショパールの技術を惜しみなく注ぎ込み、「アルパイン イーグル」の“頂点”となる新作が誕生した。

 

 

text norio takagi

 

 

アルパイン イーグル サミット

このダイヤルは新色で、アルプスの氷河の名を冠したジナルブルー。氷が太陽光の7色を部分的に吸収することで生まれるブルーやバイオレットの色味の変化を、PVDで表現した。ベゼルにセットしたサファイアも、ブルーとバイオレットのグラデーション。ショパールブティック限定販売。自動巻き、18KエシカルWGケース、41mm。©Patrick Csajko

 

 

 

 1963年、ショパール家からメゾンを引き継いだカール・ショイフレは、ドイツ・フォルツハイムを拠点とするハイジュエラーの3代目であった。ショパール家が3代にわたって研鑽してきた高精度で美しい時計製作技術と、ショイフレ家による宝飾技術とが、この時出合った。そして今、それぞれの技術と磨き上げた創造性が、4つの「アルパイン イーグル サミット」に結実した。その名の通り、2019年に誕生したメゾンの新アイコンにしてラグジュアリースポーツウォッチの新星「アルパイン イーグル」の最新作。完璧に統合されたケースとブレスレットは、いずれも18金製である。

 

 ショパールは、18金を自社で精錬するスイスでも稀有なメゾン。そして原料となる純金は、環境や社会的スタンダードに適合すると認められている供給源から100%調達している。これを称して「エシカルゴールド」。責任ある調達から生まれた18金製のケースとブレスレットは、ヘアラインとポリッシュに仕上げ分けることで高貴な輝きの造形美を際立たせている。この華やかな手仕上げは、長きにわたって培ってきた宝飾技術の賜物である。

 

 さらに2本1対のスクリューで4方向から固定されたベゼルには、4モデルそれぞれ異なるダイヤルカラーに呼応する色味のジェムストーンがセットされ、艶やかなグラデーションを奏でる。各宝石はバゲットカットが施されている。滑らかなカラーグラデーションを織り成すよう、色合わせされた宝石を調達することは難しい。しかもアルパイン イーグルのベゼルは、前述したスクリューで4ゾーンに分けられているが、ショパールは、それらすべてのゾーンと1対のスクリューの間において、繊細なグラデーションが完璧に同じ色調で繰り返されるよう表現してみせた。色合わせされた宝石を複数セットで確保できるのは、ハイジュエラーだからこそ。

 

 ジェムストーンによる豪華なグラデーションに取り囲まれたダイヤルは、やや荒々しくも複雑なラインで構成されたサンバースト加工で華やか。コレクションを特徴づけるこの独自の仕上げは、アルプスの大自然を上空から見守る鷲の目の虹彩をモチーフとする。そして4モデルそれぞれのダイヤルカラーは、アルプスの美しい風景を引用した。新たに生み出されたジナルブルー文字盤(P104)の色調は、蒸着で金属皮膜を形成するPVDによって生み出されている。皮膜自体は色を持たず、蒸着を重ねることで織り成す層と、複雑なサンバースト加工が光の反射に干渉することで色づいて見せる。蝶の羽根に見られる構造色によるダイヤルは、見る角度によって色調が変化し、ニュアンスが実に豊か。さらに植字のバーインデックスにはバゲットカットのダイヤモンドがセットされ、装いは一層絢爛である。

 

 隅々にまで美を極めた外装の内には、クロノメーター認証を取得した、高精度な自社製自動巻きムーブメントが潜んでいる。ショパールが有する高度な時計製造技術と宝飾技術が高次元で融合を果たして生まれたアルパイン イーグルの最新作。それはコレクションの頂点=SUMMITを名乗るのに、まさにふさわしい。

 

 

いずれもアルプスの自然にちなんだダイヤルカラー。すべてショパールブティック限定販売。自動巻き、41mm。左:モンブラン山塊のスイス側の岩肌にちなんだゴールデンピークダイヤル。ベゼルにはピンクとホワイトのサファイアをセット。18KエシカルYGケース。中:スイスで採掘される珪石の色を模したヴァルスグレーダイヤル。ベゼルのグリーンのグラデーションは、ツァボライトとホワイトサファイアによる。18KエシカルWGケース。右:朝日に染まった山頂をイメージしたドーンピンクダイヤルで、ベゼルにはスぺサルタイトとホワイトサファイアをセット。18KエシカルRGケース。