ローマの歴史が息づく宮殿ホテル「アナンタラ・パラッツォ・ナイアディ・ローマ・ホテル」

古代ローマの浴場跡が残り、19世紀の優美な意匠が宿るホテル。壮大な歴史、美食、そして温かいホスピタリティが包み込んでくれる「アナンタラ・パラッツォ・ナイアディ・ローマ・ホテル」へ。

 

 

text yukina tokida

 

 

ホテルがあるのは中央に「ナイアディの泉」が鎮座する共和国広場。イタリア全土をはじめ、ヨーロッパ各地からの列車が絶え間なく発着するテルミニ駅のほか、トレビの泉やスペイン階段、サンタ・マリーア・マッジョーレ教会といった観光名所も徒歩圏内。

 

 

 

　優美な曲線を描く外観に、重厚な大理石のファサード……その圧倒的な美しさに誰もが目を奪われるだろう。ローマの中心部に位置する「アナンタラ・パラッツォ・ナイアディ・ローマ・ホテル」は、タイを拠点に世界57カ国に560軒以上を展開する「マイナー・ホテルズ」に属する一軒だ。なかでもこのホテルは、建築美と歴史の長さで抜きん出た存在感を放っている。

 

　館内はまるで博物館のようだ。例えば地下には、かつて13haもの広さを誇ったローマ帝国最大の公衆浴場跡が保存されており、いつでも見学ができる。また4階には、かつて公共穀物倉庫として使われていた空間が広がり、梁や天井には当時の面影が残っている。このフロアには客室もあるため、実際に宿泊することもでき、館内を歩くだけでも壮大な歴史の一片に触れられる。その他の客室は、メゾネットタイプやテラス、ジャグジー付きの部屋からエキゾチックでモダンな部屋まで、全232室の多彩なゲストルームが揃っている。

 

 

ソフィア・ローレンがローマを訪れるたびに滞在するという、1室だけの「プレジデンシャル・スイート」。室内には彼女の写真やゆかりの品なども飾られている。

 

 

公共穀物倉庫の面影が色濃く残る4階。

 

 

 

　ダイニングも魅力のひとつだ。1階のバー＆ラウンジ「Lobby Bar」は吹き抜けの開放的な空間が心地よく、ルーフトップのバー＆ダイニング「SEEN By Olivier」でアペリティーボを楽しめば、日が沈むにつれて美しく表情を変える景色に、心がほどけていくだろう。ここではイタリアンをはじめ、寿司やブラジル料理など、ジャンルを超えて幅広く堪能できる。

 

　また、ミシュランガイドにも掲載されている、ローマ出身シェフのエロス・デ・アゴスティニスが率いる「INEO」も外せない。特に手作りパスタのマッケロンチーニを、シェフの母のレシピで作ったラグーと合わせた一品は、なぜだかほっこりする、記憶に残るおいしさだった。

 

 

バー＆ラウンジ「Lobby Bar」は、吹き抜けの開放的な空間に輝く華やかなシャンデリアやモダンアート、随所を彩る芸術的な装飾が印象的。

 

 

「SEEN By Olivier」には、写真のバーに加えてダイニングエリアや寿司カウンター、プールバーもあり、シーシャも楽しめる。サンセットとともに、美しい街並みを一望できるのも魅力。同ダイニング自慢の寿司は、別会場の朝食でも味わえる。

 

 

 

　立地も抜群で、オペラ座やスペイン広場など名所の多くが徒歩圏内。ヴェスパのサイドカーやゴルフカートで街を巡るツアー、ティラミスやピッツァの名店を訪ねるグルメ体験など、ローマを満喫できるアクティビティも充実している。

 

　そして何より印象に残るのは、スタッフたちのこまやかなサービスだろう。チェックインの瞬間、迎えてくれた笑顔にふっと肩の力が抜けたのを覚えている。レストランでのさりげない声かけや、館内ですれ違うたびに交わされる挨拶も、すべてが自然で温かい。単に贅沢というだけではない、“人のぬくもり”が感じられるホテル。ローマの街の懐の深さを、そのまま体現しているかのようだった。

 

 

 

 

アナンタラ・パラッツォ・ナイアディ・ローマ・ホテル

Piazza della Repubblica, 48-49 Roma, Itália

TEL. +39-06-489381