偉大なる名誉会長に捧げるパテック フィリップの限定モデルが発表

　パテック・フィリップは11月9日、現名誉会長であるフィリップ・スターン氏の85歳の誕生日を記念し、生誕年をリファレンス番号に冠した世界限定30本の特別モデル、「ミニット・リピーター・アラーム Ref. 1938P」を発表した。1993年から2009年まで当社の社長を務めた氏は、辣腕を振るった経営者として時計業界でもよく知られた存在である。

　この時計には、今後2度と使用されることのない新ムーブメントが搭載されている。フィリップ・スターン氏が深く愛しているコンプリケーション、ミニット・リピーター機構を搭載しており、さらにその同一のゴングによって選択された時刻を音で知らせる新しいアラーム機構が組み込まれているのだ。これはパテックフィリップが時計製作において長い歴史を持ち、特にチャイム機能を搭載した時計において名声を確立してきたことの一環であり、新しいムーブメントにはなんと4つの技術特許が取得されている。操作の容易さや安全機構も考慮され、ユーザーフレンドリーな設計となっている。

　またフィリップ・スターン氏へのトリビュートとして、本黒七宝の文字盤にホワイトとグレーの七宝細密画による肖像が見事に描かれている。オフィサータイプのプラチナ製のケースのダストカバーには、手彫金によって、“À mon père, 85 ans de passion horlogère（我が父と85年間の時計制作への情熱に捧げる）”という、現社長であり息子であるティエリー・スターン氏からの一文が刻まれている。

　パテック フィリップの歴史と美観、技術を融合し、究極のエレガンスを追求した特別なタイムピースは、時計愛好家たちにとっても大きなサプライズとなった。

text: nobuhiko takagi