Monday, November 7th, 2022

宇宙飛行士ウォルター・シラーの
スピードマスター、約2億8,000万円で落札

 先日開催された『RRオークション』で、宇宙飛行士ウォルター・”ウォリー”・シラーが所有していたオメガの「スピードマスター」が、190万7千ドル(約2億8,000万円)で落札された。

 このスピードマスター(BA 145.022)は、希少性の高いバーガンディのベゼルを備えた18Kイエローゴールド製で、伝説のキャリバー321の直系機にあたる、キャリバー861を搭載。アポロ11号のミッション成功を記念した限定モデルとして、1969年から1973年にかけて1,014本製造された。限定番号1番はリチャード・ニクソン大統領に、2番はスピロ・アグニュー副大統領に贈られ、3~28番はNASAの宇宙計画に参加した宇宙飛行士たちに贈呈された。シラーの所有していたこの時計は、8番である。

 そもそもシラーは、オメガの宇宙開発の歴史における象徴的な存在。1962年10月3日、マーキュリー計画のシグマ7号ミッションの際に、彼は私物のスピードマスター(CK2998)を着用していたのだ。これが宇宙で着用された初のオメガの時計となり、それから数年後、NASAはスピードマスターをすべての有人宇宙ミッションにおける公式装備品として正式に認定した。

 オメガと宇宙開発をつなぐシラーが所有していたスピードマスターゆえ、今回の高額落札となったのである。

 

text: NOBUHIKO TAKAGI