Thursday, August 19th, 2021
機械式時計の歴史から
機構までを網羅したバイブル
デジタル化、スマート化が進む一方で年々盛り上がりを見せる機械式時計。このパンデミックを経て安定資産としての価値も見出され、複雑機構を搭載した超高級モデルを筆頭にますます人気を博している。とはいえ、その奥深さゆえに難解でマニアックなイメージを持つ人も少なくないだろう。その長い歴史と複雑な機構を理解するに最適な、本格的な時計本が登場した。
複雑機構とその歴史を周到に調べ上げ、知識と情熱を持って書き上げたのは、あの山田五郎氏。小学生時代からの時計好きが長じて、「イギリス古時計協会」や「ジュネーヴ時計グランプリ」アカデミー会員となるほどの知識を持つ氏が、豊富な図版とともに400ページにわたり機械式時計を解説している。定義と基本構造や、13世紀から語り継がれる数々の逸話の真偽といった時計愛好家に興味深い内容はもちろん、業界の現状やブランドの特徴、選び方と買い方、使用の注意など、初心者にも理解しやすく有益な情報が満載だ。
機械式時計は、やはり知識を得てこそ愛着が増すというもの。知的探究心を刺激するこの本が、多くの愛好家のバイブルとなるに違いない。
『機械式時計大全』
山田五郎 著
講談社 選書メチエ
¥2,860
四六判 400ページ
ISBN:978-4-06-523368-9