Friday, May 21st, 2021

四谷「すし匠」の味を継ぐ
新宿の隠れ家的鮨処「匠 誠」

 新宿駅にほど近いビルの6階にひっそりと店を構える鮨処「匠 誠」の大将の志村誠氏は、ちょっとユニークな経歴の持ち主だ。辻調理学校を卒業後、料理の腕を認められ数年職員として在籍。その後2003年に四谷「すし匠」へ入り、客船飛鳥に乗船したり(急な話であったため下着と包丁だけを持って船に乗ったとか)、韓国・明洞のロッテホテルで握ったりと、多彩な場での修行を経て、その腕を磨き上げてきた。そして2017年、満を持して独立を果たし、「匠 誠」が誕生した。修行時代の味を踏襲しつつ、季節に合わせたオリジナリティ溢れる握りやつまみは、ゲストの期待を裏切ることがない。

 夜は基本的におまかせで、握りとつまみが交互に出てくる“すし匠スタイル”も健在。名物はなんといっても、酢おぼろ〆の春子鯛の握りだろう。ふわふわの身が優しく握られたシャリと合わさって、ほろほろと口のなかで崩れていく。他にも、常連に人気の“おはぎ”(甘味ではない)から、馬肉の握りなどの志村氏ならではのアレンジの効いたものまで、多彩な握りがゲストを魅了する。

 店内は9席のカウンターだけで、内装のベースはかつてこの場所にあった「匠 達広」を受け継いだもの。やさしい鶯色の塗壁と木々の温もりが心地よい、なんとも落ち着く空間だ。ひとりひとりがゆったりと座れるようにと、そしてひとりでもふらっと来てもらえるようにとこの席数にこだわっているという。旨い鮨目当てにはもちろん、大将に会いに行きたくなる、そんな店のひとつだ。

 

(写真2枚目)

名物ともいえる「春子鯛」の握り。ふわふわの身は、食べる者すべてを虜にするだろう。

 

(写真3枚目)

つまみの一例。毛蟹を塩茹でして身をほぐしたあと、裏漉しした蟹味噌に和えて甲羅に収めたもの。あたたかい一品。カニ好きな大将の理想形だとか。

 

(写真4,5枚目)

「小肌」と「マグロ」の握り。ネタに合わせて、赤シャリと白シャリを使い分けている。

 

(写真6枚目)

大将の志村誠氏。

 

 

匠 誠

東京都新宿区新宿4-1-9 新宿ユースビル6階

TEL.03-6457-7570

営業時間:

月水金日:18:00〜23:00(L.O.22:30)

火木土:11:30~13:30(売り切れ次第終了) 18:00〜23:00(L.O.22:30)

定休日:日曜・祝日の月曜