Tuesday, May 17th, 2016

金沢を存分に味わうなら
春を感じる浅田屋で

 金沢は450年もの間、争いごとを避け、芸術文化の保護と育成に力を注いできた。こんな町は世界中を探したとしても金沢くらいだろう。
 創業358年の老舗旅館、浅田屋は今から約40年前の1977年に客室数をそれまでの37室から、わずか4室にするというリノベーションを行った。おもてなしの目が行き届くように、という理由で4室にしたことは、結果として、セキュリティとプライバシーの両面が守られるとして、世界の財界、政界、芸能界に口コミで拡がり、その名を知られることとなる。
 そのスタイルだけでなく、料亭旅館として、料理もこの宿の魅力のひとつでもある。イギリスのリック・スタイン氏、ニューヨークのクリス・ミューラー氏など、日本料理のエッセンスを学ぶために滞在した有名シェフも多い。
 浅田屋が所有する加賀蒔絵の漆器や由緒ある掛軸は、桜をモチーフにしたものが多く、春にしか登場しない“お宝”で会席料理をいただけることも、この時期の最大の魅力。さらに桜が咲く時期限定で入り口にかけられる、桜暖簾(写真右上)も必見だ。
 桜を浮かべた地酒でほろ酔いになって、一歩外に出れば、5分も歩かぬうちにライトアップされた金沢城の夜桜が目の前に広がる。
 なくなりつつある“本物”の日本がまだ残っている金沢。行くなら断然、春がおすすめだ。

浅田屋 
住所:石川県金沢市十間町23 
TEL:076-231-2228