SCABAL “IMAGE” & “COSMOPOLITAN”

SCABAL識者が語る“IMAGE”と“COSMOPOLITAN”ふたつの名作生地の魅力とは?

May 2024

スキャバルの春夏用生地の中で長らくトップの人気を誇っているのが「イマージュ」と「コスモポリタン」だ。世界中のエグゼクティブたちから圧倒的な支持を得ているその理由とは?
text yuko fujita
photography jun udagawa
styling akihiro shikata

本澤伸道氏 スキャバルジャパン(左)生地畑ほぼひと筋、35年以上のキャリアを誇り、これまでに英ハダースフィールドや伊ビエラを訪れたこと数十回にのぼる、筋金入りの生地のスペシャリスト。2016年よりスキャバルジャパン。日常的に使えるバランスのよさを備えながら、長く着られる生地を好む。

青島大樹氏 日本橋三越本店(右)1992年生まれ。2015年、三越伊勢丹に入社。日本橋三越本店のオーダーサロンで仕入れ及び企画を担当。スキャバルの生地では英国感たっぷりのスーパー140’s「ロンドナー」が好みだという。休日は東京湾や相模湾沖でのルアーフィッシングにはまっている。

 ベルギーのブリュッセルに本社を構えるスキャバルは、1950年に世界で初めてバンチブックを考案し、生地流通に革命をもたらした超名門生地マーチャントだ。1970年代には、当時においては極細ウールだったスーパー100’sによる生地を開発し、スーパー表記を生み出した。1974年にはスーパー120’sの壁を世界で初めて破り、2000年にはスーパー200’s を使用した「イクセプショナル」をも開発。今日ではスーパー200’sを優に超えるヴェリーレアウールを使用した「サミット」、ダイヤモンドをちりばめた「ダイヤモンドチップ」、ラピスラズリをちりばめた「ラピスラズリ」といった、究極のラグジュアリーファブリックも揃えており、こちらも確かな人気を獲得している。ただ、スキャバルの魅力は突き抜けたラグジュアリーファブリックだけにあるわけではない。デザインにおいても輝く個性を放っているスキャバルの魅力、春夏にオススメしたいトップ人気生地について、スキャバルをよく知るふたりに語ってもらった。

青島 スキャバルと聞いて最初に思い浮かべるのは、ステイタス性が非常に高い高級生地メーカーであるということです。お客様もスキャバルに対してそういったイメージをお持ちで、裏には品質に対する信頼が常にあるので、こちらも安心してご提案できます。特に春夏シーズンにオススメしている平織りのライトウェイトファブリック「コスモポリタン」、同じく春夏向けながら3シーズンご着用いただける綾織りの「イマージュ」は、今の時期大変オススメしたい生地になります。どちらも色柄が豊富ですので、お客様が探していらっしゃる程よくヒネリの利いた色・デザインが見つかりやすいんですよね。これまでたくさん仕立ててこられたお客様にも新鮮な気持ちで見ていただける生地コレクションになっていると思います。特に「コスモポリタン」はグリーンやオレンジの無地などもラインナップされていて、個人的にとても新鮮です。

春夏のスキャバルを代表する
人気ファブリック
上ふたつは230g/mの「コスモポリタン」。他ではなかなかない無地のバリエーションが充実している。下のウインドウペーンとサンクロスは260g/mの「イマージュ」。どちらも大変しなやかなタッチで、上質さをたっぷり感じられる生地である。

THE RAKE 実際にスキャバルの中でも、このふたつのバンチが春夏のベストセラーということなんでしょうか?

本澤 そうですね。三越さんだけでなく、実際に260g/mの「イマージュ」と230g/mの「コスモポリタン」は、スキャバルの春夏の生地の中で、人気があって長年最も売れているコレクションになります。普段着るのにちょうどいい塩梅なのと、あえて必要以上の個性を強調していないので、かしこまった場で着用してもとてもスマートに美しく見える点が、ふたつの生地の強みだと思います。特にイマージュは紺の無地ですと上品な艶が際立って、服の見栄えがとてもいいんです。さまざまな色柄を揃えているコレクションですのでそういった色柄にフォーカスしたいところではありますが、紺の無地は個人的には大変オススメしたい生地になります。

青島 昨今、ビジネスでもスーツの着用が必須ではなくなってきている中で、テーラードクロージングが好きだから着ている方がとても増えているように思います。その中でより強い個性をもった生地を求めている方には、とてもバランスがよくしなやかなタッチを備えたこのふたつの生地コレクションは大人しく感じられるかもしれません。一方で、当店では立場がおありの経営者や会社役員、スーツを着て人前に出る機会の多いお客様も多くいらっしゃいますので、スマートな上質感を備え、抜群のバランスのよさを備えた「イマージュ」と「コスモポリタン」は、そういった方たちに絶対の自信を持ってオススメできる生地になります。

本澤 スキャバルの生地は高額であるというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、こちらのふたつの生地は、スキャバルの中ではお求めいただきやすい価格になっています。それと青島さんがおっしゃったようにバランスのよさという点で抜きんでており、クラシックの定番的なものから程よくヒネリの利いた色柄までが幅広くラインナップされています。どちらもスキャバルの長年の歴史の中で導き出されたエレガンスの王道をいくウェイト&タッチですので、お選びいただいてまず間違いのない生地であると自負しております。共通して言えるのは、「最高のフツウ」であることでしょうか。

青島 実際、どちらの生地も細くてとても上質な原毛を使用していて、上品でとても控えめな艶があり、それでいて織りはしっかりしているんですよね。エレガントな中にもさりげなくタフさも備えているわけです。日常使いしても長くご愛用いただける生地として、本当にバランスのとれた素晴らしい生地だと思います。

2013年春夏に登場した「イマージュ」は、スーパーファインメリノウールを使用した、非常にバランスのよい260g/mの、ツイル織りのスーツ生地コレクション。流れるようなドレープ、心地よい柔らかさ、クールな手触りと耐久性の高さを兼ね備えている。そして何より、色柄のデザインのセンスが大変素晴らしい。

2020年春夏に登場した「コスモポリタン」は、真夏のコンクリートジャングルを生き抜くためにデザインされた、平織りのサマースーツ生地コレクション。スーパーファインメリノウールを使用した、230g/mのライトウェイトファブリックだ。柄もののデザインは同じく秀逸だが、無地のレアな色を揃えている。

THE RAKE 同じスーパー100’sの生地でも、スキャバルのそれはクオリティが他社と比べてちょっと高いんじゃないかなって。これは本当によく聞く話です。

本澤 数値以上の上質さを感じていただけるのはスキャバルの魅力のひとつだと思います。スーパー表記をしている生地であっても、その基準を他社より厳しくしているのは確かです。そういったところからブランドへの信頼が生まれているのかもしれません。「イマージュ」と「コスモポリタン」に関してはあえてスーパー表記をしていませんが、それでもお客様から絶対的な信頼をいただいて春夏の一番人気の生地として君臨しているのは、非常に喜ばしいことです。

青島 既製服ではほとんど流通していないこともあり、スキャバルの名前は知っていても、実際に着たことのある方となるとだいぶ限られてくると思うんです。そういった方にこそ、この機会にスキャバルの生地に触れていただきたいですね。

本澤 他社の生地とここがすごく違うというのは正直あまりないと思うんです。それでも、それぞれの生地に最高の原料を惜しみなく使って、とにかく正直に作っているのがスキャバルのよさですので、品質の高さは保証できますし、先ほどお話にも出ましたように、ベーシックでありながら、他にはない絶妙に変化に富んだ色柄の生地にも出合えると思います。よさは必ずや実感していただけるのではないでしょうか。

青島 せっかく作るならいいものが欲しいという中で、そういう流れに応えてくれるのがスキャバルだと思いますし、「イマージュ」と「コスモポリタン」に限らず、スキャバルはバンチのコレクションも大変豊富ですので、他のバンチも見ていただいてからこのふたつを見て触れていただくと、また違ったスキャバルの魅力が見えてくると思います。

本澤 宝石が入った生地が好みであるかは別として、でもそういったスキャバルならではの世界も見ていただいたうえで「イマージュ」と「コスモポリタン」を見て触れていただくと、より興味深くなるのではないかと思います。

スキャバルフェア開催!

6月5日(水) — 6月18日(火)
日本橋三越本店にて

あらゆるオケージョンに対応できるよう幅広い生地コレクションを揃えているスキャバルの生地を一堂に揃えたスキャバルフェアを、上記日程で日本橋三越本店本館2階 パーソナルオーダーサロンにて開催。スキャバルならではの大変貴重な高級生地なども並ぶ予定だ

SCABALのIMAGEで仕立てた
Mitsukoshi Premium
ネイビーブルーのマイクロチェックの色合いが美しい生地は、スキャバルの「イマージュ」。ハウスカッターが型紙を引き、国内の職人が仕立てるビスポークスーツは、控えめなエレガンス、軽やかな仕立てが見事に同居している。仮縫い込みで納期は約2カ月~。スーツ¥550,000(オーダー価格)Mitsukoshi Premium、シャツ¥44,000(オーダー価格)Minami Shirts、タイ¥29,700 Liverano & Liverano / all by Nihombashi Mitsukoshi(日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311) チーフproperty of stylist

ふたつのベストセラーには
魅力的な色柄が大充実

IMAGEバランスのとれた260g/m 春夏ベースの3シーズン対応ファブリック

「イマージュ」は260g/mのウェイトによる、春夏を中心とした3シーズン着用可能なスーツ用ファブリック。流れるようなドレープ、ソフトで滑らかでクールな手触り、耐久性、万人に伝わる上質さを備えながら、これ見よがしでないエレガンスを備えている。ストライプ、ウィンドウペーン、グレンチェック、マイクロチェック、さらにはソラーロ各色がラインナップされており、配色も絶妙。オーセンティックな中で新しさを感じさせてくれる、絶妙なツイスト感が魅力だ。

COSMOPOLITAN盛夏にもぴったり!230g/mの大変軽やかな平織りサマーファブリック

モダンで洗練され、実用性も兼ね備えた盛夏用のトロピカルウィーブ(平織り)ファブリックが「コスモポリタン」だ。230g/mのライトウェイトで、デザインや配色が変化に富んでおり、生地の軽やかさを引き立てる色柄が充実したコレクションとなっている。エレガントなストライプ、繊細で色調豊かなチェック、無地に関してはレーシンググリーンやバーガンディ、ブリックなどのほか、ネイビーやグレーは奥行きを持たせて計14色がラインナップされている。

本記事は2024年5月27日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 58

Contents