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藤田雄宏が勧める、今オーダーすべき職人 06:KOSOEN

May 2023

天然藍染の魅力をポップに広める弟
text and photography yuko fujita

Toshiyuki Murata / 村田 敏行1990年生まれ。大学卒業後、人材系ベンチャー、宝石店での販売・営業経験を積み、2018年より壺草苑。2021年、4代目社長に就任。今秋、イタリア語で“染め直し”を意味する新ブランド「Ritinto」をローンチ予定。

 東京の青梅市にある壺草苑(こそうえん)は、自然の原料のみを用いた「天然藍灰汁(あく)醗酵建て」にこだわっている藍染工房。2018年、4代目の村田敏行氏が入ってから、今日のライフスタイルにフィットしたポップなアプローチがいい感じにはまっている。マーガレット ハウエルとのコラボレーションは好例だ。サルトリア コルコスの宮平康太郎氏やブリオのジョージ・ワン氏がションヘル織機で織られたスーツ生地やカルロ リーヴァのシャツ生地を藍染めにしているのも興味深い。

 さて、壺草苑では生地や服を持ち込んでの藍染め体験を受け付けている。特に相性がいいのはリネンとコットンだが、ウールやカシミアもOKだ。天然藍でしか表現できない澄み通った優しいブルーは虜になる美しさで、これはある意味藍染めのビスポークといえる。ちなみにサイクの村田博行氏は敏行氏の兄である。

蒅(すくも)と灰汁、日本酒、ふすま(小麦の外皮)、石灰を使用し、液を発酵させていく。建て始めから染められる状態になるまで約1週間を要する。素手で藍液に浸ける、絞って酸化させる、を何度も繰り返して染めていく。

上左:藍染めした生地で仕立てた村田博行氏の私物。左はP5でも着用しているサルトリア サラビアンカのコットンスーツ、右はカルロ リーヴァのコットンリネンでマロルにてオーダーしたシャツ。上右:村田博行氏の私物。左は藍染めしたカルロ リーヴァのリネン、中央は姫路のタンナーの白鞣しレザーを濡れた状態で納めてもらい、それを藍染めして濡れた状態でタンナーに戻し、再度鞣してもらったもの。絞りのタイプもあり。下は藍染めした倉敷帆布。下:某人気ブランドからの依頼で藍染めしたTシャツを干しているところ。

DATA

東京都青梅市長渕8-200
TEL.0428-24-8121
営業時間:10:00〜18:00 定休日:火曜
https://kosoen.com
info@saicfirenze.com
藍染め体験は予約制で、金・土・日曜、祝日の10:00〜と13:00〜の2回開催。

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 50