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ジェイエムウエストンは
私の初恋だった靴

My First Love Shoes, J.M. WESTON

Friday, December 7th, 2018

 

 次に買ったのは、#180シグニチャーローファーだ。たぶんジェイエムウエストンで一番有名な靴だろう。場所は憧れのシャンゼリゼ店である。パリ出張が叶い、ドキドキしながらドアを開けたことを覚えている。薦められたのは、相当に小さめの一足で、「小さすぎる」と必死に訴えたが、「いまに革が伸びるから」と押し切られてしまった。

 

 ここで私も、往年のウエストン・ファンなら誰もが経験した苦行を強いられる。足が痛いのだ。パリで買った一足を東京で履いてみたら、フィッティングした時以上にキツく感じた。それでもがんばって、半年は履いたと思うが、ついにギブアップして、泣く泣く人に譲ってしまった。ジェイエムウエストンのローファーは丈夫だし、サドル部分は“伸びないよう工夫して”取り付けられているので、コトは容易ではなかったのだ。

 

 それにこれは後から、有名インポート靴店Wの店主に聞いたのだが、海外へ行くと、人の足のサイズは変わるそうだ。

 

「人によって、大きくなったり小さくなったりする」そうで、私の場合は、どうもヨーロッパへ行くと、足が小さくなる(ような気がする)。だから、ジェイエムウエストンの靴を買うなら、絶対に日本のほうがいい。その一件以来、私は買うなら国内と決めている。

 

 定番のローファーには、昔からアリゲーターとリザードを使ったモデルがある。これは「いつかは手に入れたい靴」として、昔から洒落者たちが憧れの一足である。私は友人より「中古で」リザードのローファーを譲り受けたが、その圧倒的な存在感ゆえに、履きこなすのがなかなか難しい。お洒落好き&靴好きの最終到達点のひとつといってよい。

 

 

#677ハントダービー。ジェイエムウエストンのラインナップ中、最もクラシックな一足。¥320,000  J.M. WESTON

 

 

 #677ハントダービー(当時は“ド・ゴール”と呼ばれていた)にも心底驚かされた。分厚いダブルソールに、無骨なノルヴェジアン仕上げ。まるで小振りの岩のようで、その存在感は圧倒的だった。よく口の悪い靴ファンの間では、靴のハード〜ソフト感を表す際、「その靴で人が殴り殺せるかどうか」という表現を使うが、ハントなら殴られたほうは即死だ。今でも、武器としては世界最強の靴だと思う。それでいて、トゥやモカ部分のシャドウ・ステッチには、繊細な職人技が見てとれる。ハード&メロウ。鑑賞の対象としても、これ以上の靴はない。

 

 

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