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袖を通せる奇跡

ERMENEGILDO ZEGNA “12 MILMIL 12 Suits”

Thursday, November 7th, 2019

photography tatsuya ozawa

 

原毛はオーストラリア産の最高級ウール。類を見ない細さは、直径12ミクロンを誇る。カラーはシンプルに紺無地で、他では得られぬ風合いと光沢を持つ。総裏仕上げとなっているが、着ると驚くほど軽い。このクラスのスーツを「体感」できるのはエルメネジルド ゼニアだけなのだ。スーツ¥1,544,000、シャツ¥39,000、タイ¥24,000、チーフ¥14,000 all by Ermenegildo Zegna(ゼニア カスタマーサービス TEL.03-5114-5300)

 

 

 原則的に、ウール地のよし悪しは、原毛の細さで決まる。原毛が細ければ、糸はしなやかになり、織り上げた生地は薄く、なめらかになる。だからウール生産農家は、より細い原毛を生み出そうと鎬を削る。

 

 ここで紹介するのは、世界最高クラスの生地を使用したスーツである。原毛の直径は12ミクロン。一般的に人の髪の毛が70~80、通常の羊毛が19~24、カシミアでさえ14~16ミクロンといわれているから、これがいかに凄い数字かがわかるだろう。

 

 今回エルメネジルド ゼニアは従来オーダーのみで扱われてきたこの生地で、プレタポルテのスーツを提案。その着心地を誰でも体感できるのだ。

 

 袖を通してみると、そのあまりの軽さに驚く。まさに羽衣のようだ。手触りはシルクのようにすべすべである。体の動きにつれて、刻々と変化するドレープに見入ってしまう。人の体にこれだけ追随する生地を他に知らない。スーツにおける新たな地平を、ぜひショップにて体験していただきたい。